読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

16年育成3位ドラフトの巨人・山川和大選手の支配下への課題

 

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イースタン・リーグ公式戦 巨人―楽天(1日・ジャイアンツ球場)

 巨人の育成右腕・山川和大投手(25)が先発し、5回1失点と好投。勝ち投手の権利を持って降板した。

 初回は2死から連打と死球で満塁のピンチを招くも中村を左飛に打ち取り無失点。両軍無得点の4回に耀飛にソロを許したが、最少失点で抑えた。

 山川は「前回同様、一人ひとり丁寧に打ち取っていく事に集中しました。(支配下登録の)期限は過ぎてしまいましたが、気持ちは高く持ち続け、アピールしていく立場に変わりはありません。先発のチャンスを頂けた事に感謝して、今後もガムシャラに必死に投球していきたいです」とコメントした。

【巨人】育成右腕の山川和大が5回1失点の好投「今後も必死に投球していきたい」 : スポーツ報知

 

 

【山川選手の巨人での軌跡】


巨人・身長166センチの山川和大 「時間差投法」で無安打無失点 1軍VSファーム 3回裏 2020年2月4日

 16年育成3位で巨人に入団。166センチと小柄ながら最速152キロを記録する小柄な右腕投手。投手転向2年ながら結果を残していたことから「近い将来、投手陣の中心に入ってきてもらいたい。ボールに力があるし、伸びしろがある」と評価されていました。

 しかし入団間もなく上半身のコンディション不良でノースロー調整が続き、4か月近く実戦登板無し。翌年は実践復帰するも3軍での先発起用では結果を残せず3年目となる19年まで2軍登板0という内容になっていました。

 3年目からは2軍で21試合に登板し32(1/3)回で防御率3.34と主に中継ぎとして起用。この年は自由契約となる3年目のため、本人も戦力外を覚悟したようです。

 勝負となる4年目では現在16試合に登板し、ロングリリーフで起用されていますが、シーズン後半からは先発起用されています。成績も16試合で4勝2敗防御率2.70と結果を残しています。ここにきて新たな先発候補として期待されます。

 

【なぜ支配下にされないのか】

【①:球威のなさ】

 最速150キロを誇りますが、先発での山川選手の球速は140前半と右腕としてはあまり速いほうではありません。山川選手自身は「球速でなく質で勝負したい」と語っていますが、現状ではまだ質に伴ったストレートにはなっていません。

 低めのコースに投げられているうちはいいですが、真ん中高めにいこうものなら容赦なく長打にされています。球威が無いため高めが誘い球にならず、リードも厳しめのゾーンに構えざるを得ないため、少しでも指にかかると投げた瞬間ボールとわかる球が多く、カウントを悪くしています。

 実はストレートでの空振りが少ないのもそれが原因となります。

【②:決め球の少なさ】

 決め球はチェンジアップで左投手相手にはそれなりに有効ですが、右に対してはあまり使えていません。ならばスライダーとカーブはどうかといわれれば、スライダーは決まる時はきまるが困ったときに頼れるほどの精度はない。カーブは高めに抜けやすいと、大崩れしていないがどれも平均レベルの球種止まりです。

 

 ならばどうやって相手を抑え込んでいるのか、それは意図的なタイミングのずらしです。山川選手のフォームはセットから大きく足を上げ、そこで少し静止した後に振り下ろすというものですが、あえて静止せずに投げたり、ランナーがいなくてもクイックで打者に対し統一したリズムで投げないようにしています。そこにチェンジアップでストレート狙いの打者を打ち取る、というのが主な打ち取り内容です。

 

【来年に向けての課題とは】

 先発としてはある程度結果を残せていますが、内容をみればまだ2軍の先発止まりです。先発は不足しておりドラフトでも獲得した先発候補は平内選手のみ。先発は依然足りない状況が続いており、来年は支配下枠を62~63人にするといわれており、育成ドラフト参加のためにはシーズン中に65人にする必要がある支配下昇格前提の編成のため、兆しが見えれば即支配下の期待を持てます。

 しかしモタ・沼田・山下・ディプラン選手と支配下したはいいもののその後の結果が伴っていないことから、ある程度持続的に結果を出さないと候補にはなりません。ならば来年に向けて何をすべきかについてですが、やはり変化球の種類を増やすことです。

 ここから大きく球速を伸ばすことは難しく、かといってフォームを変えて打ち取る手法ではランナーが出たときに常時クイックとなるため使えません。

 

 現在は縦のスライダーとカーブ、チェンジアップのみでスプリットはあまり変化しないため封印しています。ストレートが平均的である以上これだけでは足りません。引っかけさせるための変化球、右打者から空振りを奪うための変化球。タイミングずらしをより強力なものとするカーブの精度アップ等、変化球に関する課題が多くなっています。