巨人の育成2年目・平間隼人内野手(24)が13日、3、4月度のファーム月間MVP賞に選出された。3、4月は25試合に出場して打率・387の成績を残し「今年が勝負だと思ってやっているので。なんとか今しがみついてやっている途中です」と表情を引き締めた。
打撃好調の要因については、阿部2軍監督や松本2軍野手総合コーチらの指導を受けながら取り組んできた成果だという。「自分のスイングが内から出すというイメージが強すぎてその感覚のずれがあったんで、それを直してもらったというか矯正して。その中で自分の感覚が良くなったので、継続して意識してするようにしてます」と話した。独立リーグ・徳島インディゴソックスから19年の育成ドラフト1位で入団。俊足も魅力の24歳は支配下登録に向け「期限が7月いっぱいまでなんで、そこまではなんとか頑張って支配下取って、1軍で出られるようにしたいです」と意気込んだ。
巨人育成・平間がファーム月間MVP 打撃好調で「今年が勝負だと思っている」― スポニチ Sponichi Annex 野球
【平間選手の紹介】
173センチ75キロ 右投げ左打ち
ポジション:セカンド・ショート・レフト
経歴:鳴門高-徳島IS-新田電設(軟式)-徳島IS
19年育成ドラフト1位に巨人に入団。徳島ISでは主にセカンドを守るも一度徳島を退団。しかしNPB入りを諦められず、再度徳島ISに入団。OBで15年育成1位で巨人に入団した増田大輝選手と自主トレを行い武器となる守備走塁を鍛えた結果、19年のシーズンでは自身最多の43盗塁を記録。打撃でも粘りを見せ、打率.276ながら36四死球を選び、巨人スカウトからも足と守備、巧打を高く評価され育成1位で入団。
巨人入団後は1年目に1軍キャンプに抜擢されるも、シーズン後は主に3軍起用が多く、1年は2軍出場は9試合7打数に留まりました。
2年目になるとそれまでファームでセカンド・ショートを守っていた山本選手をトレード、吉川大・比嘉・山上・折下選手を戦力外にしたことで、空いたポジションに入る形でレギュラー起用されるようになりました。3、4月で打率.387を記録し、加えて5月13日の日ハム戦では公式戦初本塁打を記録。支配下候補の一人として名前が挙がるようになりました。
【支配下にいたるための課題】
巨人の支配下数は65人と、まだ5人の余裕があるにもかかわらず、今年は支配下昇格が0。坂本選手の離脱。増田大選手の盗塁成功率の低下と1軍内野も決して安泰とはいえません。にもかかわらずなぜ支配下登録されないのか。
【①:独特のフォームによる内角への対応】
平間選手は膝を大きく曲げ、重心を落とし低く構える独特のフォームをしています。これによりストライクゾーンを低くし、高めを投げにくくすることで四球を誘い、2ストライクになるとさらに重心を落とします。
このストライクゾーンの低さにより、相手バッテリーはいつも以上に低めに投げることを意識せざるを得ず、結果制球が乱れ出塁率の高さに繋がっています。また重心が低くなることで上半身がぶれにくくなり、粘りのカットや低めに体が流されないことも四球率の高さの一因となっています。
ただしこのフォームにも課題があり、上半身が固定されるため、腰を捻って体をまわしながら打つインコースへの対応が難しくなっており、バットを立てて構えることもあり、膝元への球に引っ掛けてしまうことが多くなっています。
【②:得意と苦手なコースがはっきりと分かれた打撃】
平間選手のヒットはアウトコースをレフト・センター方向に運ぶヒットが多く、ライト方向への引っ張りはあまり多くありません。その原因が①で説明したインコースへの対応です。
インコースへのストレートなんて1軍スタメン選手でもそう簡単に打てるものではなく、ほとんどの選手はインコースに投げて甘く入った球をヒットにしています。平間選手もインハイへの球に対しては引っ張ってライト方向へのヒットとしていますが、平間選手にとって痛い存在が同じ左打ちのショートで育成12位の加藤廉選手が、インコースを上手く引き込みライト方向へのヒットをそれなりに量産していることです。同じ左打ちで内野の支配下を争うライバルが出来てしまっていることは、平間選手にとって目の上のたんこぶとなっています。
【⓷:ショートでのアピール不足】
坂本選手の離脱以降、廣岡選手・吉川選手・若林選手を中心にまわしていますが、廣岡選手は打撃の波が極端。吉川選手は良くも悪くも守備が派手でポカも多く、守備率は.933。若林選手も.962と吉川選手よりましですが、もともと内野守備自体に不安があるため、安定してショートスタメンにできる選手がいません。
平間選手は2軍では途中出場含め6試合でショート守備についていますが、機会数は2軍で湯浅・廣岡・ウレーニャ選手に次ぐ4位とアピールが必要です。増田大選手が膝の故障以降盗塁能力が落ち込んでおり、2軍最多盗塁の湯浅選手が1軍帯同していますが、湯浅選手は打撃面があまり期待できないため、ショートでも計算できると判断されれば支配下から即1軍帯同の可能性も出てきます。
【まとめ】
現状一番不足しているのは投手のため、谷岡・戸田選手が優先候補ですが、坂本選手の離脱で安定した守備固め要員に1番・2番が出来るリードオフマンが長年いないこともあるため、支配下候補の一人であることは間違いありません。