社会人で2年後のドラフト指名を狙う。東北福祉大(仙台6大学)の佐藤悠輝外野手(4年=飛龍)が15日、社会人野球の三菱重工West(兵庫)に入社内定した。今秋、大卒プロ入りを目指してプロ志望届を提出も指名漏れ。悔しさを糧にさらなる飛躍を誓った。
佐藤は今秋リーグ戦で公式戦デビューを果たした遅咲き派。3度の猛打賞を含む42打数17安打を放ち、打率4割5厘でベストナインに輝く活躍で7球団から調査書が届いたが、吉報は届かなかった。「ドラフトにかからなかったのは、自分の実力不足。悔しさもあるけれど、やってやる気持ちが強い」。社会人では1年目からレギュラーに定着し、全国2大大会(日本選手権、都市対抗)出場で、NPBスカウト陣に猛アピールする覚悟だ。
下積みの苦労が、精神面を強くさせた。入学直後から同学年選手のレベルの高さを痛感。ヤクルト2位山野太一投手(4年=高川学園)、同4位元山飛優内野手(4年=佐久長聖)は別格だった。「周囲は甲子園で活躍したり、各チームの4番打者。レギュラーの壁は厚かった」。1、2年時の定位置はバックスクリーンのスコアボードの中。手にはバットではなく筆を持ち、リーグ戦に出場する選手の名前を書き上げた。「山野と元山は1年からリーグ戦に出場。名前を書くときは、悔しかったですね」と何度もくじけそうになった。気持ちを奮い立たせ練習に励み、ラストシーズンで結実させた。
球友との再会も心に誓う。阪神ドラフト3位佐藤蓮投手(上武大4年)とは三島シニア、飛龍と6年間チームメートだった。毎年正月には地元静岡で一緒に自主トレを行う仲だ。「先日、電話で『オレの球を受けてくれよ』と連絡がきました」と年明けも練習を約束した。新年は女房役でスタート。「同じ舞台で戦えるように追いつきたい」と力を込めた
【佐藤選手の紹介】
185センチ86キロ 右投げ左打ち
ポジション:ライト・レフト
解禁年:2022年
チーム1の飛ばし屋と評価される、ライト・レフトで起用されている左の巧打種。下半身の重心を落とす低い姿勢であまり足を上げないすり足のフォームをしており、振りぬいたスイングで長打を狙うだけでなく、左右を問わず変化球に対してもしっかりとバットで拾い上げて安打を量産。都市対抗でも2試合で6打数4安打で打率.667を記録。安打量産機として結果を残しました。
東北福祉大ではなかなかレギュラーを勝ち取れず4年春まで公式戦出場は0.しかし4年秋でついにレギュラースタメンを勝ち取ると、42打数17安打で打率.405を記録。デビュー年で首位打者を獲得、その後三菱WESTに入社すると1年目からライト・レフトで起用されています。
実績は少ないものの高いバットコントロールを持った巧打者として注目されます。
【指名への課題】
佐藤選手はすり足であまり足を上げないため、スイングするまでの動作が少ない分、タイミングを外されても当てるだけでなく本来のスイングができるため、変化球に対してもしっかりと拾い上げてセンター方向に打ち返すことが出てきます。
しかし長打を狙おうとした引っ張りのスイングになるとあまりタイミングが合わず早く打ちにいきすぎてファウルになる場面も目立ちました。シングルヒットであればある程度は打てますが、ライト・レフトは長打力も求められるポジションであるため、強振になるとタイミングがずれていて長打にならないのは課題となります。
遠投100mで肩はそこそこですが、50m6秒とセンターとして見るには少々遅く、ここからセンターにコンバートするにしても打撃型となるため、センターができてもある程度長打は必要となります。
【指名順位予想】
変化球にうまくタイミングを合わせられるバットコントロールがあるため、ある程度安打は期待できますが、やはり長打が少ないのが課題となります。
センター守備については三菱重工WESTのセンターは1歳上の根来選手が守っており、打撃面でも結果を残しているため、チーム事情からセンターへのコンバートの可能性は低く、ライト・レフトでの指名となります。
しかしこれらのポジションで社会人左野手が指名されたのは17年4位の菅野剛士選手が最後であり、多くがセンターを守れる選手です。ライト・レフトは右打ちのスラッガーか高い身体能力を持つ恵体選手が多く、左打ちでライト・レフトメインとなると年間3本塁打以上で打率3割以上でないと指名は厳しくなっています。
ただしセンターが出来れば打率3割中盤にシーズン2本塁打がライン。それをクリアすれば4~5位が指名ラインとなります。