＜センバツ高校野球：金光大阪4－3木更津総合＞◇25日◇2回戦
金光大阪が木更津総合（千葉）との延長タイブレークを制し、初の8強入りを決めた。13回表に2点を失うも、その裏に押し出し死球でサヨナラ勝ち。エース古川温生（はるき＝3年）が160球を投げ抜き、2試合連続完投勝利を挙げた。
サヨナラ死球を受けた背中を押さえ、金光大阪の福冨がうめきながら一塁に走る。タイブレーク突入の延長13回。2点を失ったその裏に、3点を取り返した。四球で追いつき、死球でサヨナラ勝ち。「逆転で勝てたことがうれしすぎて…。でも体が痛くて立てなかったです」となんとか一塁にたどり着き、ホームで待つナインの輪にのみ込まれた。
古川が懸命に投げた。その姿が、一丸8強を呼んだ。8回、味方の失策で追いつかれ、延長12回も内野の失策で1死二塁のピンチを招いた。それでも崩れない。「しっかり岸本のミットを信じて。そこは信頼」。女房役のミットこそ、苦境での支えだった。横井一裕監督（47）も「心が折れない。素晴らしい投手、素晴らしい人間だなと思えました」と胸を震わせた。途中出場の左翼・岡治が美技でもり立てる。全員で守り、サヨナラで勝った。
前日24日、サッカー日本代表が苦闘の末に、W杯切符をつかんだ。決勝点を演出したMF守田英正（26）はサッカー部のOB。クラブ同士、学校をあげて応援するのが金光大阪のカラー。野球部は初の8強と、うれしい日が続く。
次戦は強敵・近江戦。160球を投げ抜いた古川は「（昨秋）近畿大会の近江戦で170球投げました」と頼もしい。京都先端科学大新3年生の兄・優生さんは、金光大阪の捕手だった19年夏の大阪大会準々決勝で延長14回タイブレークの末、大阪桐蔭を撃破。1－3の14回裏に逆転サヨナラ勝ちと、この日と同じような展開で勝った。だが決勝で履正社に敗退。兄の熱くて悔しい夏を見た弟が、長い春を支える。劇勝後の次戦も、必ず勝つ。
【センバツ】金光大阪・古川温生160球完投勝利「岸本のミットを信じて」タイブレーク勝利８強 - センバツ : 日刊スポーツ
【古川選手の紹介】
１７０センチ７０キロ 右投げ右打ち
変化球：スライダー・カーブ・チェンジ
ノーワインドアップからオーバースローより腕を下げた角度から癖のないフォームで投げ込むフォームから最速１４４キロ、常時１３０中盤のストレートを投げ込む右腕投手。１２０キロ台の落差のある縦のスライダーに１００キロ台のスライダーと似た軌道で落差のあるカーブ、１２０キロ台の横に逃げていくチェンジアップで打ち取っていきます。
武器はコントロール良く投げ込むスライダーとカーブのコンビネーション。大きく縦に割れるスライダーをコースに投げ込めるため打者の多くが見逃してしまい、カウントを稼ぐ球にも決め球にも使えています。スライダーに絞ると２０キロ近くの球速差があるカーブでタイミングを外され、さらに伸びのあるストレートをインコースに投げ込まれています。
選抜では３試合すべてに先発登板。２試合完投し２８イニング７失点で防御率０．３２を記録。コントロールとキレ、スタミナを兼ね備えた投手として注目されます。
【指名への課題】
癖もなくスライダー・カーブの両方でカウントを整えられ、ストレートもコントロールよく投げ込めています。しかしチェンジアップの精度はまだいまいちでストライクを奪えておらず、全体的に出力不足となっています。
そのためスタミナが切れてくるとスライダーの割合が多い現状では高めに抜けて痛打されるリスクが高く、またストレートも浮き上がってくるタイプのため、スタミナが切れると全体的に高めに集まるようになります。
長打こそ少ないものの、強めのバウンドのゴロや守備の間を抜けるヒットが増えてきます。特に右打者がアウトコースにしっかり踏み込んで振れているため、右打者のインコースを攻める球が必要となります。
【指名順位予想】
小柄で素材型としてはあまり評価されないため、実戦型として高卒ながらある程度将来の姿を計算できるようになれば指名候補となります。
そのためには平均球速を１４０前半にまで伸びる成長性と、変化球を新たに１球種、さらにチェンジの精度アップで変化球を習得できる器用さをアピールすることが重要となります。
上記課題を達成できた場合６～７位となりますが、達成できなければ育成１～２位となります。コントロールにスライダー・カーブのキレがありフォームもあまり癖がないため、ある程度は形になると判断しての獲得となります。
