読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2022年ドラフト指名選手の巨人における起用方針と課題  育成3位指名 明徳義塾高 吉村 優聖歩選手 高卒左腕投手

20日プロ野球ドラフト会議で、明徳義塾高の左腕投手、吉村優聖歩(ゆうせふ)君(17)が巨人から育成3位指名を受けた。昨年は代木大和投手が巨人に6位指名されて入団しており、昨夏の甲子園を沸かせた2人がプロでも同じチームでプレーすることになった。

 高知県須崎市の同校で指名後に会見した吉村君は「レベルの高い選手がたくさんいるチームで僕も負けないように頑張りたい。自分の独特なボールをいかしていろいろな投球を身につけたい」と抱負を語った。

 熊本市出身。左横手から打者に一度背を向けて投げる独特なフォームが特徴。昨夏は代木投手とともに甲子園8強入りに貢献し、2年連続出場となった今夏の甲子園は初戦の九州国際大付(福岡)戦に先発し、チームは敗れたものの2失点で完投した。その後、米国であったU18(18歳以下)のW杯の日本代表にも選ばれ、銅メダルを獲得した。

 馬淵史郎監督は「1軍で投げるためには並大抵の努力じゃダメ。変則投手の持ち味をいかして1軍に早く上がって戦力になってほしい。(左の)ワンポイントの中継ぎができるようになればプロの世界で長くやれるのではないか」と励ました

ドラフト巨人育成3位 明徳義塾高・吉村優聖歩投手が決意語る:朝日新聞デジタル

 

【吉村選手の紹介】


www.youtube.com

182センチ75キロ

変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ

 

 セットからセカンドに顔を向けるほど大きく体を捻り、そこからサイドスローの角度で投げるフォームから最速140キロ、常時135前後のストレートを投げ込む左腕投手。120キロ台のスライダー、120キロ台のスクリューのような軌道のチェンジアップを投げ込んでいきます。

 武器は腕の振りが見にくいフォームに加え、低い角度から投げ込むストレート。またランナーがいない場面でもクイックで投げ込んだりと、出どころの見にくさ、タイミングの取りづらさなどを武器に芯に当てさせない投球が持ち味となっています。

 現在の変則フォームになったのは高校に入団してからとなり、なかなか球速が伸びる伸び悩んでいたところに監督からのアドバイスで横手投げに変更。かかさず行っていた肩甲骨周りのトレーニングより柔らかい肩甲骨もいかし、今のトルネード投球を確立すると球速も伸び始め、チームのエースとして活躍するほどとなりました。

 チームでは先発で起用。U18WBSCではリリーフとして4試合に登板し、エラーに泣かされたもののわずか2失点と好投。クイック時でも捻りを入れた変則で投げ込むため、非常にタイミングと球の出どころがわかりにくい変則として獲得されました。

 

【なぜ獲得されたのか】

 桑田監督と阿部コーチから「変則左腕が欲しい」という要望により、育成9位の森本選手とともに獲得候補となった選手。巨人は高梨・中川・大江選手と変則中継ぎが近年一定の成績を上げており、右でも5位で獲得した船迫選手や、日ハムが6位で獲得した宮内選手を獲得候補に挙げていたように、変則投手を戦力として高く評価しています。

 一方でドラフト市場では変則投手は少なく、その中でも変則左腕はドラフト候補にかかるほどの選手はめったに出ません。オーソドックスなフォームから変則への転向は伸び悩む中での苦肉の策として行われることが多いため、変則投手は安定的に確保できるポジションではありません。

 

 そのため高卒から変則として実績を積んだ選手を狙う方針となり、さらに変則は伸びしろ面から高卒では評価が落ちるため、育成で変則左腕を2名を獲得しました。

 吉村選手についてはソフトバンクの動きも強く意識しており、4軍設立のため育成選手の大量指名を続けていたことから、育成下位では獲られる可能性を考慮し、育成3位での獲得となりました。

 

【1軍起用への課題】

 吉村選手は変則左腕ですがコントロールや変化球の精度で打ち取るタイプではなく、球の分かりづらさ、タイミングの取りづらさで打ち取るタイプ。そのため制球はばらつきがあり、打者もどのゾーンに絞ればいいかわからず見逃しや大きく外れた空振りが多くなっています。

 

 制球型でなくカウントを整える球がないため、四球から崩れ失点することも多くなっています。タイプとしても制球を磨くよりも、球速を上げ打者に見極める時間を与えず空振りをさせるスタイルが将来的な形となります。ストレートは常時140前半、また右打者に向かってくるように見えて一気にブレーキを効かせ落ちるスクリューのようなチェンジアップを持つため、このスクリュー系チェンジアップがある程度計算出来る制度になれば、対右にも使える中継ぎとなるため、需要は高くなります。

 現状ではストレート・変化球共に多少ばらつきがありカウントが不利になる場面も目立つため、変化球は精度アップ、ストレートは球速アップが必要となります。