読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

195センチのロマン左腕 巨人・鴨打瑛二選手の3年目となる成長と課題。支配下は望めるか

独立リーグ交流戦 巨人3軍10―0BC茨城(4日・ジャイアンツ球場)

 巨人3軍は、BC茨城との独立リーグ交流戦を行い、10―0で大勝した。

 先発の195センチ左腕・鴨打瑛二投手は、140キロ超の直球にカーブ、スライダー、チェンジアップなどを交えて6回3安打無失点、6奪三振と好投。今季は3軍で8試合に登板して3勝1敗、32イニングを投げて自責2の防御率0・56と好調を維持する長身左腕だが、「3回まではある程度いい感じにまとまった投球ができたが、4回以降は投げる体力がもたなかった。球速自体も落ちたりして、ちょっと物足りないと思います」と冷静に振り返った。

【巨人】195センチ左腕・鴨打瑛二、6回0封で防御率0・56に良化も「ちょっと物足りない」…3軍のBC茨城戦 - スポーツ報知

 

【鴨打選手の紹介】


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195センチ90キロ 左投げ左打ち

変化球:スライダー・カーブ・チェンジ

 

 セットから足を上げた後しっかりとタメを作り、スリークォーターよりも高い角度から最速147キロ、常時140前半のストレートを投げ込む左腕投手。120キロ台のスライダー、110キロ台のカーブ、120キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。

 武器は高い角度から投げ下ろす力のあるストレートと落差のあるカーブ。そして抜いたような軌道で打者のタイミングをずらすチェンジアップのコンビネーションとなります。

 21年育成5位で創成館から入団。担当した武田スカウトからは先発としての将来性を評価され、和製ランディジョンソンになれる素材といわれています。現在は3軍で先発として起用されており、2軍登板は22年の1試合のみ。さらなる成長が期待されている高卒左腕となります。

 

【3年間で見せた成長】

 鴨打選手は入団時は85キロ、現在は5キロ増の90キロと大きくなっています。球速も最速138キロから最速147キロ、常時140前半を投げ込めるようになっています。フォームを変えたわけではなく、現在も当初の力感のないフォームで投げ込んでいるため、3年でしっかりとスケールアップしています。フォームも入団当初と全く変わらないわけではなく、1年目は腕の振りを抑えあまり体が突っ込まないように意識したフォームでしたが、3年目になり下半身がしっかりしたことで、ある程度腕を強く振っても体が保てるようになっています。

 球場によっては140中盤を記録することもあるものの、一番多いのは140前半のため、安定していて出せる出力が140前半コースになります。鴨打選手の武器はブレーキが効いたスクリューのようなチェンジアップ。このチェンジアップの調子がいいときは奪三振マシンとなるほど圧倒できます。

 

【これからの課題】

 鴨打選手の課題はスタミナが切れてきたてからの投球。右打者に対しては角度のあるストレートがクロスファイア気味に投げられるため、打者は差し込まれ多少甘めにいっても押し込まれファウルになることが多く、鴨打選手もある程度広く投げられるため、しっかりと腕を振って低めへのストレートを投げ込めています。

 3~4回までは140キロ前半のストレートでどんどん押していく投球ができていますが、5回前後から130中盤から後半にまで球速が落ち込んでしまうため、右打者から空振りが奪えなくなり、打者に向かって投げ込むストレートも死球を恐れ腕の振りが小さくならないようアウトコースメインになるため、アウトコース中心の高めの球はタイミングが合うようになり、カーブは反応してもらえなくなります。チェンジもすっぽ抜ける割合が増えるため、スタミナが落ちてくると苦しくなっています。

 

 一方で左打者については右に比べストレートを捉えられることが多いものの、スライダー・カーブがより効果的になるため、スライダー・カーブが制御できる日は左打者も安定して投げ込めています。そのためスライダーが抜けるとストレート一辺倒となり、コースを意識するため腕の振りも弱くなり、しっかりと引っ張られ痛打されています。

 現状の課題は5回以降も安定して投げ込めるスタミナ。そしてスライダー・カーブ系の安定感のアップ。そして決め球ではなく、2ストライクまで持っていく小さな変化のカウント球が一球種欲しい所です。

 

支配下について】

 今年で自由契約となる3年目ですが、鴨打選手は元々195センチ高卒左腕という時間がかかることが承知のロマン枠。2mの長身左腕だった阿部剣選手は3年で戦力外となりましたが、阿部選手は故障の多さ。長身左腕の弱点である上半身が突っ込むゆえの腕の振りの弱さを改善できなかったのが致命的でした。

 鴨打選手は成長を見せているものの、3年間で2軍登板は1試合のみ。勝負は大卒1年目と同じになる4年目の夏ごろに2軍で2~3イニングを投げる2番手投手としてデビュー。そして大卒3年目と同じ6年目までに2軍ローテ定着が出来ないと立場が厳しくなります。