読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2024年ドラフトに向けた読売ジャイアンツの戦力分析① 先発投手編



NPBは31日、今季の新規支配下登録期限を迎え、補強期間が終了した。

 巨人はヘルナンデス、モンテスと外国人野手2人をシーズン途中に補強。育成選手からは京本、中田、ウレーニャ、立岡、伊藤の5選手が支配下登録され、2件のトレード含め積極的に動いて戦力を活性化させた。

 ◆3月以降の巨人の動き(日付は公示日)

 ▽3月6日 京本真投手、中田歩内野手を育成契約から支配下登録

 ▽3月11日 若林晃弘内野手との1対1トレードで日本ハムから郡拓也捕手が入団

 ▽4月4日 ルーグネッド・オドーア外野手が自由契約になり退団

 ▽4月19日 エスタミー・ウレーニャ内野手を育成契約から支配下登録

 ▽5月13日 エリエ・ヘルナンデス外野手を獲得

 ▽5月21日 立岡宗一郎外野手を育成契約から支配下登録

 ▽6月25日 松原聖弥外野手とのトレードで西武から若林楽人外野手が入団

 ▽7月11日 ココ・モンテス内野手を獲得

 ▽7月24日 伊藤優輔投手を育成契約から支配下登録

【巨人】支配下69人で今季の補強期間終了 育成から5人昇格、トレード2件、外国人2人獲得で活性化 - スポーツ報知

 

【31日が終了し、巨人は支配下69名で終了】

 7月31日付で支配下登録期限が終了。これ以降全球団は支配下登録が出来なくなるため、巨人は24日の伊藤優選手の支配下復帰を最後に補強が終了しました。

 今年はオドーア選手の2軍拒否退団から途中加入ながら3割6本塁打と救世主となったエリエ・ヘルナンデス選手の補強。松原選手とのトレードで西武から若林選手を獲得など、積極的な動きを見せました。

 そこで今回はシーズン中盤に差し掛かる中で、2023年と比べ各選手層がどう変化したか。それに伴いドラフト戦略をどう変えるべきかを見ていきます。

【1軍先発】

※先発で2試合以上投げている選手のみを対象。データは2024年8月23日時点の公式サイトより引用

 

 先発はウォーカー選手とのトレードでソフトバンクから高橋礼・泉選手を獲得。泉選手は中継ぎのため、高橋選手を先発要員として確保しました。 

 またドラフトで西舘・森田・又木選手の3名を即戦力先発として獲得。助っ人外国人投手の新規加入は支配下ではケラー選手のみのため、新戦力はこの4名となります。

【1軍先発のプラス要素】


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 新戦力としては5年目の井上温大選手がここまでで6勝をあげる活躍をしていること。23年は先発を任されることはあれど2巡目まで持たず崩れ、主にロングリリーフで起用されるにとどまっていました。

 今年も阿部監督の方針で負け試合のロングリリーフからスタート。しかしソフトバンク戦で4回完全を達成しその後の逆転勝利に貢献。ここで自信を掴み先発として起用されるようになりました。

 既存戦力では23年は腰痛もあり5勝5敗にとどまった菅野選手がまさかの大復活で11勝2敗で防御率も3.36→1.87と改善しています。

【1軍先発のマイナス要素】

 去年まで5勝5敗ながらも先発で4番目のイニング数を投げたメンデス選手がまさかの大乱調。2軍で調整を続け徐々に成績は良化しているものの、来年も契約があるかは不透明となっており、先発ローテ不安定の大きな要因となっています。

 また赤星選手もここまで0勝。去年は桑田コーチからカーブを習得し1軍ローテとして成長しましたが、今年は元々の課題だった決め球不足が再燃。黒星はすでに去年を上回る勢いとなっています。

 ドラフト組の不調も大誤算。序盤薄かった中継ぎを強化するためにリリーフに回された西舘選手はともかく、解禁済のオールドルーキーである森田・又木選手がまさかの0勝は痛手となっています。

 

 

【2軍先発】

※先発で2試合以上投げている選手のみを対象。データは2024年8月23日時点の公式サイトより引用

 

 すっかすかです。16試合に登板した松井颯選手は結果を残せておらず、京本選手も中継ぎ調整に失敗し防御率5.16。直江選手も3軍でフォームを大きく変えている状態。高橋選手も3軍暮らしとなっており、23年に比べると先発数の少なさが浮き彫りとなっています。

 石田・代木選手もTJ手術を受け来年まで投げられないため、新戦力は西舘・又木選手の2名のみ。去年まで先発はわずか2試合だった堀田選手が先発ローテに入ってるくらいで、2軍先発については去年よりも戦力層は悪化しています。

【2軍先発のプラス要素】

 23年に比べ2軍先発層は悪化。2軍勝利数トップ5だった選手たちは、井上選手を以外全員が3軍または中継ぎ転向で成績悪化となっており、去年まで1軍ローテだったメンデス選手が調子を上げられない結果2軍メインとなりトップの5勝。1年目の又木選手が2軍ローテで防御率2点台と好投しているように見えますが、又木選手は3年目のオールドルーキー。本来は1軍で投げていないといけない選手であるため、戦力全体見ればマイナスです。

 唯一のプラス要素は去年まで1軍では結果を残せなかった井上選手が1軍ローテ入りしたことくらいでしょう。

【2軍先発のマイナス要素】 

 去年まで2軍先発ローテだった松井・京本・直江・高橋優選手が誰一人ローテで投げおらず、先発の駒は非常に薄くなっています。現在3軍で好投を続ける木下・鴨打・園田・千葉選手をあげても薄さは変わりません。

 現状では横川ーメンデスー堀田ー西舘選手に赤星、松井、又木選手が1軍状況によって先発・中継ぎを兼ねている状況です。現状の成績ではメンデス選手は来年戦力外の可能性があり、1軍も戸郷ー山崎ー菅野ーグリー井上選手とローテ不足のため、ここから西舘選手や赤星選手が1軍に昇格すれば、さらに2軍ローテは足らなくなります。

 中継ぎ不足解消のために中継ぎ調整していた京本選手2軍を見ても、先発の頭数不足が課題となっています。

 

【24年ドラフト市場は即戦力先発不作年】

 ドラフト戦略を考えるうえで重要なのが、補強ポイントが豊作か不作か。残念ながら24年ドラフト市場を見ると、即戦力先発は不作。即戦力先発として名前が挙がるのが関西大・金丸選手や愛知工業・中村選手、法政大・篠木選手。社会人ではトヨタ・増居選手やNTT西・伊原選手。解禁済となる三菱W・竹田選手や西濃運輸・吉田選手。ただ全体でみると伸び悩んでおり、素材型が多くなっています。特に左腕は大卒・社会人全体で見ても候補が少なく、即戦力左腕が欲しい球団は競合しそうです。

 一方で高卒投手は右腕では報徳・今朝丸選手や広陵・高尾選手に前橋・清水選手、福岡大・柴田選手、神戸・村上選手といった上位候補が揃い、198センチの知徳・小船選手や195センチの立命館・十川選手といった恵体投手や個性派も揃います。

 左腕でも東海・藤田選手、京都国際・中崎選手や北照・高橋選手、大宮東・冨士選手が注目株。しかし高卒の上位候補の多くが進学を表明。2~4位で指名されるクラスの選手が一気に減ってしまったことで、高卒投手確保にも暗雲が出始めています。

 

【先発のドラフト戦略について】

 来年で36歳になる菅野選手が同様の働きが出来るかが不透明であり、堀田選手も一時先発ローテになるも交流戦を境に失速。阿部監督からも「なぜ抑えられているのかわらかない」というなんともいえない評価で、2軍でも6試合で防御率5点台と結果を残せていません。

 しかしドラフト市場は即戦力先発不足。近年はFAによる獲得も難しくなっており、今の巨人の編成を見れば野手の底上げが必須。1位指名枠を使わなければ即戦力候補の指名は厳しいため、今年のドラフトは割り切って将来的なエース候補+野手中心指名。

 巨人は過去5年で支配下指名の高卒投手は堀田・井上・石田・代木・花田選手の5名のみ。そのうち2名がTJ手術を受け、花田選手も故障の多さで育成落ち。2軍の崩壊具合を見ても、支配下で高卒投手を1名確保したいところです。

 25年ドラフトは早稲田・伊藤選手や中京・髙木選手、日本大・市川選手、東北福祉大・堀越選手,青山・中西選手。左でも仙台・渡邊選手、国学院・飯田選手、青山・ヴァデルナ選手に加え、社会人も粒揃いだった23年組の解禁年となるため、即戦力は25年に賭ける手もあります。

 1位で即戦力先発をとれなかった場合は諦めて左腕中継ぎや高卒投手をメインに獲得。支配下で2名。育成でも2~3名。今年は育成4年目になる投手も多いため、ある程度投手から戦力外が出てくることから支配下・育成両方で