今年のドラフト会議で1位指名を受けた大学生は6名いた。23年の9名に続き逸材がそろっていたが、2025年の大学生の陣容を見ると、3年連続でドラフトの中心になるのは間違いない。有力な大学生を紹介していきたい。
投手では仙台六大学の剛腕2人が牽引する。東北福祉大の堀越 啓太投手（花咲徳栄）は常時150キロ台中盤の速球で圧倒する剛速球右腕。この秋の投球は凄まじく、12回を投げて、18奪三振、防御率0.00。速球は空振りが奪える球質に変化し、変化球の精度も高まっている。37人の打者と対戦してわずか2安打しか許していない。今年ドラフト1位指名を受けた中村 優斗投手（諫早農-愛知工業大）のような評価を受けるかもしれない。大学代表入りの期待もかかる堀越は圧倒的な投球でドラフト1位を手繰り寄せたい。
仙台大の渡邉 一生投手（日本航空）は高校3年生の時に取材をしたが、迫力あるストレートに目を奪われた。探究心が強く、仙台大ではメキメキと成長。常時140キロ台後半の速球、鋭く落ちるチェンジアップを武器に打者を翻弄する投手へ成長した。秋季リーグでは15.2回を投げて、25奪三振、防御率0.57の快投だった。今年の先発型左腕では金丸 夢斗投手（神港橘-関西大）が人気が集まったが、来年は渡邉に注目が集まるだろう。
東京六大学では、完成度の高い投球を見せる伊藤 樹投手（仙台育英-早稲田大）が先発候補として面白い。明治大では常時140キロ台後半の速球、フォークを投げ込む高須 大雅投手（静岡）、左腕から140キロ台後半の速球を投げ込む久野 悠斗投手（報徳学園）ら逸材が多い。どの投手もアピールできれば、チャンスはありそうだ。
大学代表に選出された右腕・髙木 快大投手（栄徳-中京大）は伸び上がるような速球が持ち味で、投球フォームも森下 暢仁投手（広島）のように完成度が高い。球質を重要視する球団から高評価を受けるのではないか。
野手ではスラッガータイプの選手が揃う。大学代表入りした創価大・立石 正広内野手（高川学園）はリーグ戦で三冠王を獲得した経験のある右のスラッガー。打球速度は今年、プロ入りした大学代表の強打者たちを上回るほどだ。
日本大・谷端 将伍内野手（星稜）は春に首位打者を獲得し、1年間で6本塁打を記録した。中央大・繁永 晟内野手（大阪桐蔭）は春に3本塁打を記録して、ベストナインを獲得し、大学日本代表にも選出された。高校時代は守備型の選手だったが、強打者へ成長した。
遊撃手では城西大の松川 玲央内野手（関西）が人気になるだろう。大学2年冬に大学日本代表候補入りを果たし、50メートル走では参加選手1位となる5秒88を記録している。近畿大の勝田 成内野手（関大北陽）は高いバットコントロール、スピーディな動きを得意とする二塁手で、春秋ともに打率3割以上を記録した。
外野手では高校時代からドラフト候補として注目されてきた東洋大・花田 旭（大阪桐蔭）は今年、東都二部で4本塁打を記録。強打者として成長を見せている。
【2025年大学ドラフト候補紹介】来年もドラフトの中心は大学生！“仙台の剛腕コンビ”が一歩リード！野手はスラッガー豊作年に｜記事一覧｜高校野球ドットコム
【２５年ドラフト市場の傾向】
２５年ドラフトは投手中心の年。投手では高卒・大卒に目玉選手がおり、高卒では健大高崎・石垣元気選手は最速１５６キロに達した右腕投手。大卒では小柄ながら圧巻の成績を残す仙台大・渡邉 一生選手が即戦力左腕として注目され、右腕では１年生から１５０キロを連発した東北福祉大・堀越啓太選手。ストレートが魅力の大型右腕、中京大・髙木快大選手。早稲田大・伊藤樹選手も高校時代から順調に成長する先発投手となります。
野手は創価大・立石正広選手は天性のスイング技術を持つスラッガー内野手。他にも日本大・谷端 将伍選手や東洋大・花田 旭選手といった大型スラッガーが注目候補となります。
全体的に見れば投手の方が注目株が多い年であり、即戦力投手や未来のエース候補が欲しいチームにとってねらい目の年となります。
【巨人の現有戦力から見る指名の傾向】
【投手】
【先発】
１軍先発：戸郷ー山崎ー井上ーグリー赤星ー横川
次点：新外国人ー西舘ー又木ー堀田ー森田
菅野選手が海外FA。メンデス選手が活躍できず戦力外となりました。一方で井上選手が２５試合を投げ８勝５敗とローテとして大活躍。次代のエース候補として侍ジャパンにも選ばれました。
横川選手も先発・中継ぎと流動的な起用ながらきっちりと役割をこなし、来季は先発ローテに入りたいと語っていることからも先発候補の一人。西舘・又木選手もプエルトリコで好投しており、この辺りが６番手の候補となります。
しかしその多くが１軍で投げ続けていない未知数の戦力。先発の頭数も少なく、先発候補の獲得は必須。水野スカウト部長も２４年ドラフトでは先発ローテで金丸選手を狙いましたが、指名を外し、２位指名の時点で狙っていた先発が皆取られたため野手指名に切り替えたと話す通り、首脳陣も先発不足を課題としています。
２軍先発：高橋礼ー森田ー京本ー松井（育）ー木下（育）ー戸田（育）ー田村（育）
３軍先発：園田（育）ー千葉（育）ー鴨打（育）ー森本（育）ー堀江（育）
２軍先発はくふうはやてで好投した木下選手とWLで好投を続ける田村選手が昇格。ただ田村選手は徹底した登板管理が敷かれており、３年目も２軍でガンガン投げるというわけではなく、中１０日くらいで先発としてスタミナや投球術を身に着けていく運用となります。
３軍では先発で投げていた高橋優、笠島選手が戦力外となったため、育成入団の堀江がローテに入っています。３年では先発メインだった育成３位の鈴木選手。素材型の４位・石田選手と育成４位・吹田選手はローテには入れていません。
育成からの昇格から即ローテが期待できる選手も少なく、２５年ドラフトでは即戦力先発を最低１名以上が必須となります。
【中継ぎ】
１軍中継ぎ
左腕：宮原・高梨・バルドナード・中川
右腕：伊藤優・船迫・平内・泉・ケラー・大勢
１軍中継ぎはドラフト５位の宮原選手を左腕中継ぎに編入。TJ手術をえて育成から支配下再契約を果たした伊藤優選手も１軍中継ぎにいれています。
阿部監督の１軍先発起用への道のりが２４年と同様に「まずは敗戦処理で結果が残せれば先発で試す」方針に変わりがないなら必要な中継ぎの数も減るため、中川・平内・宮原・伊藤優選手が６回以降のビハインド場面や延長戦で投げる。勝ちパターンでは高梨・泉選手。８回はケラー・バル。９回を大勢選手となります。
２軍中継ぎ
左腕：今村・大江・山田（育）・富田（育）
右腕：田中・近藤・馬場・畠・菊地（育）・ルシアーノ（育）
３軍中継ぎ
左腕：三浦（育）・吉村（育）・西村（育）・黄錦豪（育）
右腕：直江（育）・鈴木（育）・吹田（育）・石田充
ファーム中継ぎも大きな変化はなし。台湾から入団した黄錦豪選手はフェニックスでお披露目が予定されていましたが登板はなし。想定よりも時間がかかっていると考え、３軍中継ぎにしています。４位・石田充選手と育成４位・吹田選手は中継ぎというよりも、まだ体が細く長いイニングは投げられないため途中で１イニング程度を投げる器用になることから中継ぎとしています。
やはり右に比べると左の薄さが目立ちます。左の中継ぎが欲しい所ですが、２５年は左腕候補が少なく、次点である故障のリスクがある大勢選手への負担を減らすため、勝ちパターンを見込める中継ぎを１名を獲得が求められます。
【野手】
【捕手】
１軍：大城・岸田・小林
２軍：喜多・山瀬・亀田（育）
３軍：坂本達（育）・大津（育）・坂本勇（育）
捕手は育成１位で坂本達選手を獲得。しかし捕手は投手ごとの配球や相手選手のデータを覚える必要があるため、一度固まってしまうと起用される選手がなかなか変わらないポジション。
捕手は甲斐選手の獲得次第ですが、獲得するにしてもしないにしても、捕手はなかなか世代交代が難しいポジションのため、獲得しても４～５年は塩漬けが珍しくないポジション。取るにしても高卒か育成で、獲得の優先度は低くなっています。
【内野手】
１軍
ファースト：岡本・大城
セカンド：吉川尚・中山
ショート：門脇・浦田・泉口・増田大
サード：坂本・岡本・中山
２軍
ファースト：秋広・荒巻
セカンド：湯浅・増田陸
ショート：石塚・泉口・中田（育）
サード：ティマ（育）・荒巻・平山（育）
３軍
ファースト：三塚（育）・竹下（育）
セカンド：北村（育）・田上（育）
ショート：村山（育）
サード：平山（育）・宇都宮（育）
２４年ドラフトで石塚・浦田・荒巻選手。育成では竹下選手を獲得しました。石塚選手は１年目はショートで。荒巻選手はスラッガーですがまだ守備に粗さがあり打撃も魅力はあるものの差し込まれる場面も目立つため、１年目はファームメインで浦田選手が１軍候補となっています。
岡本選手は来季メジャーの可能性もあり、そうなれば打撃面の衰えが目立つ坂本選手以外のサードの打力が大きく落ち込みます。ティマ選手のサード守備はまだ１軍で使えるレベルではなく、２軍・３軍を見ても打力のあるサードがいないため、サードの強打者が補強ポイントとなります。
【外野手】
１軍
センター：ヘルナンデス・オコエ・重信
ライト：浅野・萩尾・佐々木
レフト：丸・秋広・長野
２軍
センター：岡田・舟越（育）
ライト：笹原（育）・フルプ（育）
レフト：秋広・若林・フルプ（育）
３軍
センター：鈴木（育）・相沢（育）
ライト：相沢（育）・大城（育）
レフト：三塚（育）・田上（育）
２４年ドラフトではまさかの外野手指名０。梶谷、立岡選手が引退したことで外野の層はかなり薄くなっています。若林選手も自然気胸から回復したもののフォーム改造もしているため、調整も含めて２軍スタートにしています。
オフにチェコから獲得した外国人のフルプ選手も春季キャンプには呼ばれる可能性がありますが、変化球にまだ対応しきれていない面があるため２軍スタート。シーズン後半から２軍スタメンで起用され、WLでも結果を残している笹原選手は２軍スタート。現状支配下が見込める野手となります。
ただ笹原選手もライトメインのため、若手のセンターレギュラーがおらず、故障の影響が未知数のヘルナンデスがメイン。戦力計算する中で不安も大きく、センターメインの打撃が期待できる外野手の獲得がポイントとなります。
【２０２５年の巨人指名予想】
１位指名：仙台大 渡邉 一生選手 １４０後半を出せる即戦力左腕
外れ１位指名：日本大・谷端 将伍選手 ３年秋に守備も改善した右のスラッガー
２位指名：東洋大・島田 舜也選手 １５０キロ連発のリリーフ候補
３位指名：中京大・秋山 俊選手 率の残せ長打も伸びてきた左打ちセンター
４位指名：星稜 能美 誠也選手 俊足強打の攻撃型キャッチャー
５位指名：横浜 阿部 葉太選手 力強いスイングが魅力の俊足センター
６位指名：門前 石田 煌峨選手 がっしりとした体格からキレのある変化球を投げる左腕
