◆第97回センバツ高校野球大会第10日 ▽準決勝 智弁和歌山5―0浦和実(28日・甲子園)
智弁和歌山の主砲が目を覚ました。初回1死二、三塁、4番の福元聖矢が石戸颯汰から痛烈な右前適時打。「とにかく先制点を取ることだけを考えて。自分の打撃ができた結果」。チームはここまでの4試合全て初回に先制点。11年の九州国際大付(福岡)以来5度目の快挙で、7年ぶりの決勝にこぎ着けた。
27日の休養日には、中谷仁監督(45)自ら、右足を大きく上げる独特な“石戸投法”で打撃投手を務めた。「(効果が)ありました。似ていました(笑)」と福元。3回には5本の安打などで3得点、変則左腕を攻略して今大会3度目の2ケタ12安打をマークした。全試合で5点差以上をつける暴れっぷりだ。
今大会、好調な打線の裏で福元は準々決勝まで11打数3安打と苦戦。「言葉では表せないプレッシャーです」と、“智弁和歌山の4番”は聖地でより重く感じられた。ただこの日、目の前の景色が昨夏と重なった。霞ケ浦(茨城)戦、同じ軟投派左腕・市村才樹に4打数無安打、2三振。初戦敗退を喫し「野球人生の中で一番、悔しかった。甲子園の借りは甲子園で」と、今日までの大きな原動力になってきた。
決勝は3連敗中。大一番を前にした主砲の爆発に、指揮官は「彼がこういう活躍をしてくれないと次も勝つことはない」と言い切る。「いかに自分たちの野球を貫けるか」と主砲。重圧を背負い切った先に、31年ぶりの頂点がある。(瀬川 楓花)
【福元選手の紹介】
180センチ90キロ 右投げ左打ち
ポジション:ライト
高校通算17本塁打、がっしりとした体格で放つ力強いスイングを生み出す左の大型外野手。振り切るスイングでライト方向に長打を放つ引っ張りの打撃が魅力で、選抜では20打数9安打5打点打率.450と決勝進出に大きく貢献しました。
チームでは主に4番で起用。元々は捕手だったが、高校で外野に転向。強肩を活かし主にライトを守り、捕手としての経験を活かし配球を読んだ打撃も武器と語っています。
新人時代から何度も不振に苦しみ、一時は野球を辞めようとしたほどでしたが、2年冬には不振を脱却すべく1日で7箱分の徹底的なティーバッティングに取り組んだことでスイングが強くなり、選抜の打撃に繋がりました。
打撃が売りの高卒スラッガーとして、夏のさらなる活躍が期待されます。
【指名への課題】
打撃で気になるのは、スイングの直前に溜めてしまう点。この溜めが大きいために差し込まれる打撃が多く長打に繋がっていません。
2ストライクに追い込まれてからのスイングはカット目的もありこの溜めがなく、特にインコースを意識したときにこの溜めが目立つため、どうしてもインコースは切れてしまったり、打球が伸び切らないものが多くなっています。
また送球にも課題があり、もともと送球に問題がありそれが治らず捕手から外野手に転向していますが、現在も送球に上手く力を乗せられていません。送球時に腕の角度が斜めより低いものが多く、送球角度が山なりになってしまい、腕の振りの強さのわりに、内野まで届くのに時間がかかりなかなかランナーを刺せていません。
【指名順位予想】
インコースにはこの溜めがあるゆえに、速球よりも緩い変化球を得意としており、選抜では変則左腕の石戸選手の緩急をものともせず、4安打を披露していました。ミート力はあるもののインコースへの対応と、送球の弱さが課題になるため素材型評価が高い選手になります。あまり足も速くないため、現状ではライトでなくレフト候補。それも送球の改善が必要で守備にも課題があるため、現状では6~7位候補。今年は大卒外野手にライト・レフトのスラッガー候補が多いものの、多くが右打ちで福元選手は貴重な左打ちのため、評価が高めになっています。
