◇27日 全国高校野球選手権富山大会準決勝 氷見6―1富山第一(富山市民球場)
9回、2死走者なしで迎えた最後の打席。富山第一のプロ注目の最速148キロ右腕、小林路春(みちはる)投手(3年)は自身の打球が二塁手のグラブに収まると、その場に泣き崩れた。相手の校歌が流れる中でも号泣。「今まで支えてくださったみんなの思いがあふれました…」と目をぬぐった。
0―5の3回から2番手で登板。「自分が流れを変えてやろうと思っていた」。先頭打者を狙い通りの直球3球勝負で見逃し三振に切って取り「あそこは100点」とこの回を三者凡退に抑えた。その後も184センチの身長を生かして伸びのある直球を投げ込み、この日は最速145キロを計測。6イニングを2安打1失点とエースらしい投球に野口仁監督も「ここぞの場面で三振が取れる。頼もしい背番号1になってくれた」と評価したが、打線が援護できなかった。
今後の進路を聞かれた小林は「プロ一本です」。あこがれのプロ野球選手はDeNAの守護神・山崎で「力強い直球と鋭い変化がある。自分も気迫あふれる速球派になりたい」とプロでの目標を語った。この悔し涙を糧に次のステージでさらにレベルアップする。泣き崩れたプロ注目148キロ右腕…進路は「プロ一本」小林路春が好投も富山第一準決勝敗退【高校野球富山大会】 :中日スポーツ・東京中日スポーツ
【小林選手の紹介】
186センチ81キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク
経歴:富山第一ー福島RHー富山GRN
解禁年:2023年
ワインドアップから大きく足を上げ、跳ねるように全身を使ってオーバースローの角度で投げ込むフォームから最速148キロ、常時130後半のストレートを投げ込む右腕投手。110キロ中盤のスライダー、110キロ前後のカーブ、130キロ台のフォークを投げ込んでいきます。
武器は大きく縦に割れるカーブ。非常に高低差があるカーブでカウント球、決め球両方に使うことができます。そこにフォークのように鋭く落ちる横のスライダー、まっすぐ落ちるフォークで打ち取っていきます。
チームでは主に中継ぎで起用。25年は15試合で登板し、28回17奪三振24四死球29失点(自責24)で防御率7.71となっています。
縦の変化球が魅力の右腕としてさらなる成長が期待されます。
【指名への課題】
課題の一つがストレートが安定しないこと。小林選手のフォームはばねのように跳ね、その瞬間にオーバースローの振りを加えばねの反動と振り下ろす落差で大きな変化を生み出しています。
一方で非常に動きが激しいフォームのためリリースポイントが安定せず、その影響でストレートのコントロールがばらつき高めに抜けることが多くなっています。そのためオーバースローの強みである角度のあるストレートを安定して投げ込めず、弧を描いたような浮いたストレートばかりでストライクをとれていません。
またスライダー、フォークも課題を抱えており、2球種とも変化が早すぎて変化量が大きいにも関わらず、打者を誘い込めていません。この2球種も変化の仕方にばらつきがあり、カーブ以外の球種の精度に課題をかかえています。
【指名順位予想】
今年で21歳とまだ年齢が武器に出来る立場ですが、カーブ以外の安定性に課題があるため投球にもムラがあることが課題。特にストレートとスライダーが安定せず、カーブを狙い撃ちされ炎上することも多く、左打者の足元にスライダーやフォークをすっぽ抜け、死四球に繋がることも多くなっています。
カーブ以外が安定しないと狙い球を絞りやすく、その日の調子で投球が全く成り立たなくなることも多いため、現状では指名漏れの可能性が高くなっています。指名を狙うにはストレートが140前半、さらにスライダーが120キロ台、フォークは130前後になるのが最低限の指名ラインとなります。これを全て達成して育成3~4位。さらに25歳までに3~4キロ向上すれば6~8位となります。
