巨人は育成ドラフトでは計5選手で指名を終えた。1巡目は最速151キロ左腕のBC神奈川・冨重英二郎投手(BC神奈川)、2巡目には立正大・林燦(はやし・きら)投手、3巡目は豊橋中央・松井蓮太朗捕手、4巡目は愛知学院大の左腕・河野優作投手、5巡目には昨年のイースタンリーグ首位打者に輝いたオイシックス・知念大成外野手。6人を指名した支配下と合わせて計11人の指名で終えた。
【巨人】育成を含めた計11選手の指名でドラフト終了 育成は昨年イースタン首位打者のオイシックス・知念ら5選手を指名 - スポーツ報知
- 【25年育成ドラフトは年齢重視ドラフトから方針転換】
- 【育成1位:BC神奈川 冨重 英二郎選手】独立リーグ左腕投手
- 【育成2位:立正大 林 燦選手】大卒右腕投手
- 【育成3位:豊橋中央 松井 蓮太朗選手】高卒左捕手
- 【育成4位:愛知学院大 河野 優作選手】大卒左腕投手
- 【育成5位:オイシックス 知念 大成選手】独立リーグ左外野手
- 【なぜこのような指名となったのか】
【25年育成ドラフトは年齢重視ドラフトから方針転換】
育成ドラフトは全5名と巨人としては少な目の指名。そして巨人はここ3年の育成ドラフトは1位を早期支配下が見込める大卒。2位以下は高卒や独立リーグ1年目と年齢重視のドラフトをしていました。
しかし今年は2位、4位で大卒投手。さらに5位では来年26歳の知念選手を獲得し、年齢重視から大きく方針転換しました。
【育成1位:BC神奈川 冨重 英二郎選手】独立リーグ左腕投手
巨人は育成ドラフト1巡目で、最速151キロ左腕のBC神奈川・冨重英二郎投手を指名した。東海大相模から国際武道大、その後は社会人野球のバイタルネットを経て、今季はBC神奈川でプレー。身長178センチ、体重82キロの左腕で、スライダー、ツーシーム、チェンジアップなどを操る。 担当の青木スカウトは「力のある140キロ後半のストレートが魅力な投手。右打者のインコースに食い込むスライダーで空振りがとれるのも特徴。140キロ前半のツーシームを有効的に投げ、チェンジアップで緩急を使い、芯を外すこともできる。中継ぎ、先発もできる力投派投手」とコメントした。
【巨人】育成1位BC神奈川・冨重英二郎は最速151キロで「中継ぎ、先発もできる力投派」…担当スカウト一言 - スポーツ報知
最速151キロ、社会人から独立リーグに入団した左腕投手。1年目から活躍し、140中盤のストレートをどんどん投げ込める先発左腕として、独立リーグNo.1の評価も得ていました。
しかし元々6回以降のスタミナが課題だったのに加え、夏から調子を落としていました。そのため先発で起用するならスタミナアップと球速のムラが課題となりますが、不足する左腕中継ぎとしても期待できる選手。なかなか育成から戦力化した投手がいないため、早期に1軍リリーフに食い込みたい選手です。
【育成2位:立正大 林 燦選手】大卒右腕投手
183センチ、85キロの右腕で最速149キロの力強い直球が武器。担当の大場スカウトは「最速149キロの力強いストレートを投げ込む投げっぷりの良いパワー型の右腕。バランスの良い投球フォームで打者の内角球のストレートは威力十分。変化球も多彩で、カーブ、カット、スライダー、チェンジアップ、フォークを操り、制球力が付けば奪三振率が高くなる伸びしろ十分な投手」とコメントした。
育成2位では大卒右腕の林選手。大学で食トレとウェートを行い最速を133キロから151キロまで伸ばした成長株ですが、大学での登板実績は4年間で10試合程度と、かなりの未知数を秘めた選手です。それこそ故障の連続でほとんど登板がなかった大勢選手のような立ち位置ですが、巨人としてはその分の伸びしろに期待しての獲得。
パワータイプ右腕が不足しており、高い奪三振能力に期待してのリリーフ候補ですが、球種が豊富なため将来的な先発候補でもあります。
【育成3位:豊橋中央 松井 蓮太朗選手】高卒左捕手
担当の木佐貫スカウトは「コンタクト率の高い打撃型の捕手。ボールを点ではなく面で捉えるレベルスイングから快音を響かせる。セカンドへの軌道の低いスローイングで盗塁を阻止する強肩も魅力」とコメントした
育成3位では送球1.8~9秒、打撃が魅力の打てる捕手として評価される松井選手を指名。育成1年目の坂本達也選手が活躍する一方、喜多選手が膝のリハビリで育成落ち。他の育成捕手もなかなか2軍を掴めておらず3軍まで含めると捕手がぎりぎりのため、1年目から起用できる経験がありながらも守備型の坂本選手と差別化する打撃型捕手として獲得です。
【育成4位:愛知学院大 河野 優作選手】大卒左腕投手
巨人からの指名の瞬間には、会見場から飛び出してしまうほどの喜びようだった。
河野は岡山・創志学園高から愛知学院大に進学。最速148キロのストレートとスライダーのキレで勝負する左腕で「中川(皓太)投手のようにたくさん試合で投げられる投手になりたい。まずは支配下に向けてひたすら頑張りたい」と活躍を誓った。
最速148キロ、重心を落とした状態でスリークォーターの角度から投げ込む変則左腕。1年目から投げ続けるタフネスも評価されており、中川、大江、高梨選手と横手投げ選手の実績がある中で、将来的な中継ぎ候補としての獲得。
育成左腕が故障者が相次ぎ2軍に定着できていないため、ファームの中継ぎ底上げを目的としています。
【育成5位:オイシックス 知念 大成選手】独立リーグ左外野手
身長181センチ、体重86キロの左投げ左打ちの外野手で、沖縄尚学、沖縄電力を経て昨季からイースタン・リーグに参入したオイシックスでプレー。昨季は111試合に出場して打率3割2分3厘、4本塁打、39打点で首位打者を獲得し、今季は116試合で打率2割8分6厘、9本塁打、66打点で打点王と最多安打(126安打)のタイトルを獲得した。担当の斉藤スカウトは「巧みなバットコントロールと思い切りのよいスイングで開幕1軍を狙う」とコメントした。
【巨人】育成5位オイシックス・知念大成はイースタン首位打者&打点王「開幕1軍を狙う」…担当スカウト一言 - スポーツ報知
去年イースタンで首位打者を取りながら指名漏れを経験。今年は課題だった長打を伸ばし、フレッシュオールスターMVPにも選ばれ、育成50位だろうが入団すると覚悟を表明していた選手です。来年で26歳とセンターとしてはあまり上手いほうではないという課題がありますが、バットコントロールを武器に薄い代打やセンターに本格挑戦する中山選手に代わりライトを狙いたい選手です。年齢を考えれば1年目から支配下が狙えないと厳しい選手です。
【なぜこのような指名となったのか】
指名予想でも例年の2位以下の年齢重視は見直すのではないかと考えていました。その原因がファームのイニングイーター不足と育成投手が支配下に結びついていないこと。
去年は高橋優、笠島、山﨑、小沼選手を戦力外にしたためファームでイニングを投げていた選手が一気に抜け、さらに3軍で先発をしていた鴨打選手が不調。木下選手TJ、千葉選手も手術と故障者が相次ぎ、1年目高卒の堀江、西川選手が先発でフル回転しました。
さらに今年は高橋礼、今村、戸田選手と同じイニングイーターだった選手を戦力外にしたため、高卒1年目をフル回転させないために大卒投手の2位以降指名を解禁すると予想しました。
また高卒投手中心指名でなかなか支配下までたどり着けておらず、1軍中継ぎの薄さの原因となっています。そのため獲得方針も見直し、主にリリーフで起用されている2投手を指名しています。
そして知念選手はファーム外野手がヘルナンデス、長野、重信、乙坂、大城元選手を戦力外にしたため、外野がガラガラ。皆川選手を獲得したとはいえ、育成でも外野手指名は必須でした。
