◆プロ・アマ交流戦 巨人3―5航空自衛隊千歳(8日・ジャイアンツ球場)
巨人の育成左腕・富田龍投手が、2回1安打無失点、3奪三振の好投を見せた。 3軍の航空自衛隊千歳戦に8回から3番手で登板。8回は2三振を奪って3者凡退に封じると、9回は2死二塁のピンチを招いたが、最後は1番打者をスライダーで空振り三振に仕留めた。試合後は「ずっとフォームのタイミングが合ってなくて、腕が遅れている感じだったけど、今日はスムーズに腕が出ている感じがあった。体が整ってきて、状態が上がってきた」と振り返った。
富田は21年育成ドラフト8位で入団。昨季は2軍戦で4試合に登板して4イニングで7三振を奪い、奪三振率15・75をマークした。
【富田選手について】
179センチ78キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ
セットから膝を小さく曲げ、スリークォーターの角度で力強い腕の振りから投げ込むフォームから最速148キロ、常時140前半のストレートを投げ込む左腕投手。130キロ前後のスライダー、120キロ前後のカーブ、120キロ台のチェンジを投げ込んでいきます。
投球スタイルとしては横の角度から投げ込むストレートは140キロ前半ながら球威が感じられるもので、孤を描かず落ちるスライダーとチェンジでストレート狙いの打者を打ち取っていきます。
チームでは主に中継ぎで起用。故障が多くなかなか2軍に定着できていないものの、25年はファームで8試合に登板し7回6奪三振6四死球で防御率3.86となっています。
フェニックスリーグでも起用されており、26年で5年目となる投手。大卒からの入団であり、なかなか2軍に定着できていないことから厳しい立場となっています。
【支配下を目指す上での課題】
【①:ばらつくストレート】
富田選手の四死球率の高さの原因となっているストレートのコントロールの悪さ。コントロールがまとまっているスライダーやチェンジに比べ高めに抜けることが多く、釣り球にもできないほど高く抜けるため、カウントが安定せず投手有利で進められていません。
球威はあるためある程度ばらついても打者が誘い込まれていますが、スライダー・チェンジとの高さに差がありすぎるのが課題。安定感を上げるにはストレートのコントロールを上げ、低めに投げ込むスライダー・チェンジとの高さの違いを減らし、決め球である2球種の空振り率を上げる必要があります。
【②:カーブで緩む腕の振り】
富田選手の中で唯一大きく弧を描く球がカーブ。スライダー、チェンジがストレートに似た軌道で空振りを奪うための球であるのに対し、数少ないカウントを稼ぐための球。四死球率が高い富田選手にとって生命線となる球です。
しかし富田選手はカーブを投げる際に、ストレートに比べ腕の振りが小さくなり上に緩んでしまう癖があり、変化しきれないため真ん中高めという失投コースに投げてしまうシーンが多くなっています。そのうえ投げる際の腕の角度がストレートに比べ高くなっており、見極めやすくなっています。
そのため四死球率を改善させるための球として使えるカーブですが、あまり投げ分けができておらず、速球主体になり四死球の原因となっています。
【③:ばらつくタイプでは足りない球速】
富田選手の球速はストレートが140前半、変化球は120~130キロ台が多く、中継ぎ左腕としては平均的。横手投げのためオーバースロー等の角度があるタイプに比べると球速は落ちがちですが、フォームが近い中川選手は140後半に変化量の大きいスライダーを持つため、今や変則左腕では140中盤は最低ラインです。
同じ左腕の高梨選手はさらに腕を下げたサイドスローな上に、ストレートも小さく弧を描きスライダーと見分けがつけにくい軌道で投げ込まれるため、富田選手はどちらも達しておらず、中途半端と言わざるをえません。
【まとめ】
不足している左腕とはいえ、今年育成ドラフトで富重、河野選手と大卒以上の左腕を2名も獲得しており、河野選手に至っては投球スタイルも似ており、立場は非常に危ないものとなっています。
一度も支配下になっていない育成選手の中では最年長タイにまでなっており、今年支配下になれなければ戦力外の可能性も高い選手。2軍で10試合以上投げたのが23年の25試合のみと起用も安定していないスペ体質も抱えており、今年30試合以上の登板及びカーブの安定または平均球速3キロ以上アップが望めなければ、支配下は厳しいものとなります。
