読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

なぜ社会人外野手は上位指名されないのか

 

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 高卒外野手の上位指名といえば15年楽天ドラフト1位のオコエ選手、14年日本ハム3位の浅間選手、12年2位指名の鈴木選手などがおります。

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 一方大卒外野手の上位指名といえば16年楽天3位指名の田中和基選手や15年阪神1位指名の高山選手、オリックス1位指名の吉田選手、巨人2位指名の重信選手などが挙がります。

 

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 しかし社会人外野手で上位指名された選手といえば・・・・いえば・・・・誰が思いついたでしょうか。実は社会人外野手の上位指名は5年に一人でるかでないかなのです。11年にヤクルト3位指名された日本製紙石巻の比屋根選手、14年中日3位の日本通運の友永選手、08年Dena3位のトヨタ、荒波選手そして1位指名は巨人から09年に1位指名された長野選手くらいなのです。さらに友永選手は年俸交渉をしていた大島選手への当て付け指名、長野選手は2年間巨人指名を待ち続けたことへの誠意を込めた指名でもあるため、純粋な評価順位とは言い難いところがあります。

 この通り、社会人外野手の指名というのは非常に少なく、あっても5~7位の下位指名が大半なのです。

 

 【外野手に求められる能力と社会人ドラフト選手の長所とのミスマッチ】

 ではなぜ社会人外野手の上位指名が少ないのか。それは外野手に求められる能力に対し、社会人ドラフト指名選手の長所が一致していないからです。

 

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 まず外野手に求められる能力というのは「打撃」と「身体能力」になります。それは近年の指名された外野手の特徴にも現れており、16年に指名された森山選手はゴジラ2世と称されたパワー型外野手、田中選手は高い身体能力を持つ恵体外野手となっています。また15年1位指名のオコエ選手も高い身体能力を持っており、高山選手は12~15年にベストナイン賞を獲得し、守備に難があれどスイングスピードとミート・パワーを備えた外野手であり、重信選手も15年に首位打者を獲得した安打製造機でした。この傾向から分かるとおり、上位指名された外野手は打撃と身体能力を備えた選手が多いのです。

 一方で社会人ドラフト選手に求められるのは「即戦力性」です。投手であればすぐにローテーションに入れる能力を持っているか、野手であればすぐに1軍スタメンで使えるかどうかになります。

 社会人野手における即戦力というのは、高い守備能力を持つかどうかになります。

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 捕手で求められる守備能力というのは以下の5点です

 

①投手を上手く導くリード能力

②難しい球も逸らさない高いキャッチング能力

③盗塁を防ぐ強肩

④送球を逸らさないスローイン

⑤本塁生還に対するブロック・タッチ能力

 

 そのため打撃に課題はあれど強肩を誇る日本生命・小林選手は巨人の外れ1位指名を受け、同じく打撃に課題はあったが、強肩とキャッチングを評価されていたトヨタ・木下選手は中日から3位指名されています。

 また内野手に求められる守備能力も豊富にあります

 

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 ①広い守備範囲

 ②難しいバウンドもキャッチできるグラブさばき

 ③深い位置からもアウトに出来る強肩

 ④強烈なライナーにも即座に対応できる瞬発力

 ⑤送球を間違えないコントロール

 ⑥複数ランナーがいる状態でどこに送球するか、しないかを判断する状況判断能力

 

 

など数多く求められるものがあり、守備型内野手であった16年西武3位指名の源田選手や、14年Dena3位指名の日本新薬・倉本選手、11年オリックス1位指名の安達選手などは守備能力を評価されていました。

 

 一方で外野手に求められる守備能力に関しては以下の通りです。

 

①ランナーをさせる強肩

②高い守備範囲

③フライの落下位置を予想する打球判断

 

 

 外野手はグラブさばきやキャッチングはあまり重視されませんし、ライナーも外野ならばある程度時間があるため、内野ほどの瞬発力は求められません。守備範囲であれば巨人・松本選手やロッテ・岡田選手クラスの高い守備範囲であれば話は別ですが、足が速い程度の守備範囲であれば、あまり差異はありません。

 そのため社会人野手に求められる即戦力の守備というのは、外野手にはあまり求められていないので、それぞれの長所がミスマッチしているのです。

 【他ポジションからのコンバートをしやすいポジション】

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 外野というのは内野・捕手よりも守備に重きを置かないポジションであるため、打力がありながらも、守備に難があり内野で使いづらい選手に対し、打撃を重視するために外野にコンバートすることがあります。Dena筒香選手やFAで巨人に移籍した陽岱鋼選手などは内野から外野にコンバートされ大きな成長を見せた選手であります。

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 また投手から野手のコンバートも、投手としての強肩とコントロールを活かすため外野コンバートが多く、ヤクルトの雄平選手やFAで阪神に移籍した糸井選手がその例になります。

 一方で外野から他ポジションにコンバートして成功した選手はまれであり、成功例で挙がるのが高田選手以外微妙というのが現状です。

 そのため強打の外野手を取るよりも強打の内野手を獲得し、打撃なら1軍クラスだが守備に難有りという場合に外野にコンバートすればよいため、潰しが効く内野手の方が需要があるのです。

 【打撃・身体能力型外野手の大半は高校・大学で指名されている】

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 悲しい話ですが、打撃・身体能力型外野手は大半が高校・大学で指名されるため、社会人外野手というのは打撃に物足りなさがあり指名漏れとなったり、飽和気味の右投げ左打ちタイプであったために需要がなく漏れた選手となっています。15年に漏れた法政大の畔上選手や慶應の谷田選手、16年の国学院・久保田選手などがこの条件に該当します。

 そのため社会人外野手は外野手としての売りの打撃に課題があったり、飽和気味の右投げ左打ちが多いために指名順位が下がってしまいます。

 

 このように社会人外野手というのは、それだけで指名順位がマイナスになってしまうという一面を持っています。そのため大学で指名漏れとなった外野手については、それ以降上位指名の可能性がかぎりなく低いという厳しい面ももっており、日本通運の北川選手のように外野手から捕手への挑戦というのも選択肢の一つかもしれません。