読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

ゴールドジム・鈴木雅氏招へいから見る巨人選手の課題について

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巨人が、若手の筋力アップに向けて、超一流のボディービルダーを“アドバイザー”として迎えることが13日、分かった。打倒ソフトバンクへの一環として力を貸してもらうのは、日本選手権で9連覇を果たしたレジェンド・鈴木雅(まさし)氏(40)。効果的な筋力トレーニングのほか、栄養補給などの知識を学び、中長期的な視野で体を大きくしていく計画だ。ヤングGのフィジカルを徹底強化し、近未来の黄金期につなげる。

 鋼の体を作るなら、スペシャリストの指導を仰ぐのが一番だ。選手たちの筋力トレーニングをサポートしてもらうために、巨人が超一流のボディービルダーとタッグを組むことになった。日本ボディビル選手権で9連覇(2010~18年)を果たした鈴木雅氏―。2月のキャンプで“臨時コーチ”として教えを請い、その後も週2回ほど通わせて特訓してもらう予定だ。

 チームはセ・リーグを連覇したが、日本シリーズでは2年連続でソフトバンクに4連敗を喫した。投打における技術の差だけでなく、フィジカルの開きも見せつけられての大敗。近年、温められてきたボディービルダーの招聘(しょうへい)が、屈辱の敗戦を経て、ついに実現することになった。筋力アップへの効果的なトレーニング方法に加え、それにつながる栄養補給やリカバリーの秘けつなど、鈴木氏にとっては専門分野。その道のプロから学べるほど心強いものはない。

 もちろん、ただ筋力アップして終わりではない。ボディービルダーの助言で磨き上げた筋肉を、野球の動きにどうつなげるかが大切になる。実際に投げる、打つことによる鍛錬も、当然欠かせない。豊富な練習を支えるためのベース作りと、実用的なトレーニングを同時進行でやってこそ、効果は大きくなる。1年や2年で結果が出るほど甘いものではないだろうが、数年先には確かな成果が見られるはずだ。

 原監督はすでに、ナインに対してウェートトレーニングを徹底するよう指示していて、「相当強力なパワーアップをしてくれていると思っている」と期待している。阿部2軍監督もオフの増量を若手に厳命し、除脂肪体重の増減をキャンプ2、3軍振り分けの基準にすると宣言した。フィジカルを充実させることは、オフから21年シーズンに向けたチームの最重要テーマの一つだ。

 戸郷は食事の回数を増やすなどし、74キロだった体重が78キロにアップした。他にも投手陣では畠や大江、野手陣では吉川や松原など、体を強化することでさらに化けそうな選手はたくさんいる。強じんさを身につけて覇権を奪い返し、近い将来には再び黄金期を築く。

 ◆日本ボディビル選手権とは 規定ポーズやフリーポーズなどで審査が行われる。審査中の観客の掛け声が名物で、「ナイスバルク!(バルクは筋肉の大きさを示し、最上の褒め言葉)」「腹筋、板チョコ!」「背中に羽が生えている」「肩に小さいジープ乗せてんのかい!」「腹筋6LDK」など面白い応援で盛り上がりを見せている。

【巨人】“ボディービルの神様”キャンプ降臨 ヤングGマッチョ化へ日本選手権V9鈴木雅氏招へい(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

 今年から巨人はボディビルダーの鈴木雅氏を外部コーチとして招聘し、キャンプでは臨時コーチとして、シーズン中は週2回ほど訪問し筋力アップについてもアドバイスをする契約となっています。

 なぜ鈴木雅氏が招へいされることになったのか、また期待される役割は何かについて語っていきます。

 

 

 

【鈴木雅氏招へいの理由について】

【①:阿部2軍監督の提案】

 阿部監督は若手選手のフィジカルアップを課題に掲げており、オフにどれだけ体を大きくできたかで2・3軍を振り分けているほどです。原監督もソフトバンクに大敗したことから肉体強化の必要性を再認識。ウェートトレーニングに重点的に取り組むよう選手たちに厳命しており、巨人全体で肉体強化がこれからのテーマとなっています。

 そこで阿部監督は若手へのトレーニング知識の習得と恵体化を目的に専門的知識を持ったアドバイザーの導入を球団側に提案。鈴木氏は高校時代まで野球経験があることからも野球選手へのフィジカル強化の専門スタッフとして適任と判断されました。

 

【②:元巨人・星野真澄氏たちとの共同出版の書籍の存在】

 

 

 桜井・吉川尚・鍬原・堀田選手と15~20年のドラフト1位選手のうち4名が新人練習で故障で離脱。また畠選手、山下航汰選手など怪我さえなければという若手もおり、原監督も故障する選手は仕事していないと厳しい評価をくだしています。

鈴木氏はゴールドジム・アドバンストレーナー、そして鹿屋体育大学とタッグを組み取り組むトレーニング研究所所長として、ボディビル競技者だけではなくアスリートの指導にも当たっている。
 昨年には『ゴールドジムメソッド フォー・ベースボールプレイヤーズ(ベースボールマガジン社)』を監修し、元読売巨人軍星野真澄氏ら4人とともに「故障リスクの少ない野球選手の体づくり」というテーマでトレーニング法を解説している。それが今回、巨人軍のトレーニング指導を担当した繋がりでもあるが、理由に挙げられるのはもう一つ。

原巨人のトレーニング指導にボディビル世界王者の鈴木雅、その理由とは?(イーファイト) - Yahoo!ニュース

 巨人はここ数年高卒中心ドラフトを展開しており、トレーニングによる肉体強化は必須の課題であるものの、大幅な肉体強化は故障のリスクもつきまといます。そこで注目したのが今回招へいした鈴木選手が元巨人・星野真澄氏などと共同出版した「故障リスクの少ない野球選手の体づくり」です。なぜ星野氏は選ばれたかについては、プロ野球引退後にゴールドジムの野球チームに兼任コーチとして入団。その後チームは退団しフリーで活動していましたが、この繋がりが大きかったようです。ちなみに星野氏は今年から野球チームをもつエイジャックがNPB養成専門アカデミーを設立し、元西武の中崎氏とともに講師をつとめることとなっています。

 

 

【鈴木氏招へいからみる巨人の課題について】

【①:若手選手の食トレの弱さ】

 野球選手にとって食トレは避けては通れないものであり、特にスタミナが求められる投手は食事によるスタミナ増加は課題となります。しかしこの食トレは巨人投手の課題であり、戸郷選手が山口選手との自主トレで一番の課題としたのが食トレによる体重増加で、自主トレ中はその食事量に苦しみながらも4キロ増加に成功しました。しかしそれでも体重は78キロでまだまだ細く、シーズン終盤ではスタミナ切れで成績が大きく落ち込みました。

 飛躍が期待される井上選手も最速150キロを目指しウェートと食トレに重点的に取り組むとしており、多くの投手にとって食事量を増やし体重増につなげることは大事なポイントとなります。

巨人・阿部慎之助2軍監督(41)が13日、ヤングG戦士に食事改善による体重増を促し、“マッチョ化指令”を出した。来春キャンプでは2、3軍の振り分けを今オフの除脂肪体重の増減で行うことも示唆した。

 以前から若手の食の細さを危惧していた指揮官。ある日の取材対応では、自ら報道陣にバイキング形式で選手が取った食事量を撮影したスマホ画面を見せて「女の子のかわいいランチだよ。コーチ陣の方が食べている」と嘆いていた。

 昨今は科学的な見地から、より効率的で良質な体重の増やし方が分かっている。「ただ、太ればいいということではない。デカくなっただけで動きが悪かったら、すぐ3軍に落とすつもり」とくぎを刺す。トレーナーらの助言の下、健康的に太ることを求めていた。

巨人・阿部2軍監督 “マッチョ化指令” 若手の食の細さ危惧、食事改善で体重増促す/野球/デイリースポーツ online

 若手選手の食の細さは阿部監督も危惧しており、記者団に監督の自分よりも食事量が少ないと愚痴をこぼしているほどです。投手でも菅野選手が自主トレに同行させた畠・桜井・中川選手などに食トレとしてステーキ肉900gを食べさせ続けるなど現役選手も食トレによる体重増を促していました。しかし当初の自主トレでは畠選手が全然食べないとインタビューで苦言を呈したこともあり、若手選手の食トレの意識の低さは度々指摘されていました。

 もちろんただ太ればいいというわけではなく、トレーニングと並行することで筋肉増により体重を増やすことが重要で、ただ体重を増やしただけでは体のキレや膝関節への負担が大きくなるため、ただ太っただけなら容赦なく3軍に落とすと釘をさしています。

サッカー元日本代表の鈴木啓太氏が代表取締役を務める「AuB(オーブ)」は1月22日、読売ジャイアンツと、選手の栄養サポート(ニュートリション サポート)分野で業務委託契約を締結したと発表。

 対象は、ジャイアンツ寮に住む若手やファームを中心とした選手ら。選手個々に適切な食事・栄養指導をしながら、2020年2月の春季キャンプから、シーズンを通じてサポートするという。AuBはこれまで各種競技のプロ選手らの、腸内環境の改善を意識したヘルスケアサポートを実施しており、その知見を生かすとしている。

 具体的には、管理栄養士や公認スポーツ栄養士などの資格を持つ同社の社員(AuBアスリートサポートチーム)がシーズン中にチームに帯同。遠征先の宿舎やクラブハウス、選手寮で、各選手の食生活や体質、体調をヒアリングしながら、個々の選手に合わせた栄養指導と食事の管理などを手がける。継続的なサポートを通じ、必要な栄養素を選手が自発的に摂取できるようにするという。

読売ジャイアンツ、選手の栄養をサポートする企業と業務委託契約を締結 - 週刊アスキー

 球団としても食事トレには力を入れており、常駐の管理栄養士の指導で遠征先の食事メニューをたんぱく質中心にし、試合後の食事では回復を促すビタミンやミネラルを中心としたメニューを提供。去年は腸内環境の改善を目的としたヘルスサポートを事業とするAuB(オーブ)と業務委託契約を結び、肉体改造だけでなく健康増進によるパフォーマンスアップにも力を入れています。

  ただこれまでは肉体改造よりもパフォーマンスアップは回復のためのヘルスケアに重きがおかれていたため、高卒メインドラフトでまだ未発達の若手選手が多い中で筋肉量アップの栄養指導とトレーニングを並列して行える人材を採用することでより効率的な食トレを実施できることが期待されます。

 

 

【②:杉内コーチも指摘するトレーニング不足】

現役時代はダイエーソフトバンクに10年、巨人に7年。通算142勝を飾った。パ・リーグを、その覇者のソフトバンクを知っているからこそ、今の巨人の若手投手に足りないものが分かる。

 「やっぱりケツ回りが違う。(ホークスは)ピッチャーのランニング量も多いし、ウェートもガンガンする。体を大きくして脂肪をまずつけて、ウェートして筋肉に変える。筋肥大をさせて、筋肉を大きくしてほしい」

【巨人】杉内俊哉投手コーチ、若手に鬼メニュー“10年在籍ソフトバンクを知る男”が打倒パへ鍛えあげる : スポーツ報知

 今期から1軍コーチに昇格した杉内コーチですが、打倒ソフトバンクに向けて挙げた課題が若手のトレーニング不足です。杉内コーチも若手投手を中心に例年以上のトレーニング量を課し筋肉を大きくしていくことを目標としており、すでにトレーニングとランニングの増加を宮本コーチに提言しています。

 筋肉量の増加にはトレーニング量の増加だけでなく、効率的に筋肉をつけるための栄養指導も必須になります。ソフトバンクもトレーニングアドバイザーとしてボディビルダーの高西氏を採用しており、鈴木氏にはより筋肉をつけるためのトレーニング案の構築が求められます。

 

 

【まとめ】

 今回の招へいによる結果は1年で出るようなものではなく、中長期的なビジョンでみて良く必要があります。正直なところ週2回では少ないのではないか、また新球場がまだ出来ておらず、コロナの影響で計画の見直しを迫られ開業予定が23年から1年伸びているなど不安な点もあり、トレーニング施設も限られる中どこまで鈴木氏を活かせるかも未知数な部分が多くなっています。

 また更なる人材の発掘のために元HONDA・東海大監督をつとめた安藤強氏をスカウトのアドバイザーとして招へい。理論型の桑田コーチの誕生と育成元年と称したように様々な改革が行われています。

 このような未知数の挑戦は1年目はノウハウの構築のためにあまり数字に出てこないことも多いため、評価されるのは2~3年後であり、そこで正否がとわれさらなる強化かか変更かになります。日本シリーズソフトバンクとの力の差を見せつけられた今、パワーをつけた選手の育成が求められています。