読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

右肩関節唇損傷から復帰した谷岡竜平選手。モデルチェンジした内容と支配下復活の課題とは

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◆紅白戦(11日・サンマリン)

 巨人の谷岡竜平投手(24)が白組の4番手で6回に登板。1イニングをピシャリと3人で抑えた。

 8日の紅白戦では2安打を浴びるも無失点。この日は3安打を放っていた八百板を抑えるなど3者凡退に打ち取り、2戦連続ゼロ封とした。

 

【巨人】谷岡竜平が1回完全 8日の紅白戦に続いて2戦連続0封 | 野球 | スポーツブル (スポブル)

 

 

 

 【谷岡選手のこれまでの歩み】


復活の谷岡竜平の2020投球フォーム【イースタン 読売ジャイアンツ対 東北楽天ゴールデンイーグルス2020年10月28日】

 谷岡選手は最速150キロと東芝伝統のフォークを武器に16年ドラフト3位で巨人に入団。オープン戦では4位の池田選手とともに活躍し、即戦力中継ぎとして期待されるも、決め球のフォークを見られるようになると徐々に成績が悪化。その後は1軍と2軍を往復する日々となりましたが、19年春季キャンプの途中でコンディション不良となり3軍に。

 そして右肩関節唇損傷であることが判明し、ここから長いリハビリの日々となりました。最初は手術せずに保存療法で早期復帰を目指しましたが、状態が改善せずに同年に右肩ベネット骨棘切除術を受け19年オフに育成再契約となりました。右肩関節唇損傷は投手として致命的な怪我であり復帰できず引退の文字もちらつきましたが、20年10月1日の楽天戦で公式戦復帰、1回0封を記録し支配下復帰に向けて新たなスタートラインに立つことが出来ました。

 

 

【モデルチェンジの内容】

 右肩関節唇損傷は投手・野手に限らず発症する可能性のある故障ですが、投手で利き肩を損傷すると致命的な影響がでます。特に球速の低下が懸念され、何とか復帰したあとも球速が戻らずそのまま戦力外となり引退した選手も数多く、現役だと日ハムの斎藤祐樹選手が保存療法を続けていますが、130キロ台が限界で一向に回復するめどはたっておらず、だましだまし投げているような状態です。SBの斉藤和己選手や中日の川上選手などもこの怪我で選手生命を大きく狂わされ、引退の原因の一つとなっています。

 ソフトバンクからオリックスに人的で移籍した馬原選手も発症しましたが、その後復活。しかし肩をかばうような投球になるためか、他の部分の故障が多くなり結果として引退に繋がっています。

 谷岡選手も故障前は140中盤のストレートとフォークでガンガン押していくタイプのピッチャーでしたが、復帰した2軍戦では140前半にまで落ち込んでいました。2軍でもストレートでは空振りを取れなくなっており、ストレート以外も全体的に5キロ前後球速が落ちているため、かつての攻め方では通用しなくなっていました。

 右肩関節唇損傷から復帰した選手の多くは球速が戻らないため、変則フォームやサイドスロー転向で投手として全く別のタイプになるか、技巧派として投球スタイルを変えるかのどちらかであり、谷岡選手は後者となります。

 前はストレートとスライダーの割合が多く、そこにフォークを交えていましたが、現在は左相手にはスライダーとカットに近い緩い変化球の割合を多くしています。ストレートはあくまで見せ球として使っていて、変化球で空振りを奪うことが多くなっていました。右に対してはスライダーとストレートで攻めており、こちらは故障前とあまり変わっていませんでした。

 

 

支配下復活への課題】

 谷岡選手は故障前からも1軍戦力であったかどうかといわれれば怪しいところであり、そこからさらに球速が落ちたとなれば間違いなく通用しません。2軍でも右に対しては飛ばされることが多かったため、対右は課題の一つです。右に対してはストレートとスライダーで攻めることが多いものの、ストレートの球威が落ち込んでおり以前よりも押し込めなくなっています。一方で投げ下ろす角度は魅力であり、フォームやスタイルチェンジを図らないならこの角度を活かし攻める投球が道筋となります。

 谷岡選手のフォークは少し弧を描いて一気に落ちるタイプであるため差し込む球としては不適当。そのためストレートの軌道で落ちるシュートやスプリット系の開発が必要となっており、インコースをストレート以外でも攻めれるようにしなければ球威が落ちている今、1軍では計算できません。今の谷岡選手は球威が落ちたことでコースの左右の使い分けができなくなっているため、それを補うための変化球開発が鍵となります。