<全日本大学野球選手権:中京大3-0中部学院大>◇12日◇2回戦◇神宮
中京大の安藤利玖投手(4年=安城南)が大学初完封を大舞台で飾った。
不慣れな神宮のマウンドで右足親指の皮がむけるアクシデントもあったものの、足の置き方を工夫しながら奮闘。140キロ中盤の直球にカットボールなどを交えて投げきり「初めての完封だったので率直にうれしいです。初戦は高木が完封してくれたので、2回戦は4年生の意地でも見せようかなと思って」と笑った。
1年夏に右足の半月板を断裂。歩けない時期も続き「一度気持ちが切れてしまって」と選手を断念。学生コーチを続けていたが、昨秋に打撃投手を務めた時に「ちょっときっかけがあって。それで選手に戻らせてもらいました」。ストレッチにしっかり取り組んだこともあり、直球も最速147キロにまでアップ。「まだお誘いとかはないです」と進路未定の右腕には、最高のアピールにもなった。
【安藤選手の紹介】
180センチ99キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カット
セットからゆったりと高く足を上げ、オーバースローよりも低い角度から投げ込むフォームから最速147キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。130キロ台のスライダー、130キロ台のカットボールを投げ込んでいきます。
武器は球速差が小さいストレートと変化球のコンビネーション。145前後も記録すストレートを中心にフォークに近い軌道で落ちるスライダーで空振りを取り、カットで引っかけさせカウントを稼ぎます。左打者にはスライダーとカットのイン責めで窮屈なバッティングに追い込み、右打者は
チームでは主に先発で起用。1年時に膝の半月板を断裂し、長いリハビリ期間の中で医師からも復帰は難しいと言われ、選手活動を諦め学生コーチに転身。しかし打撃投手として最速145キロを投げ込んだことで目にとまり選手に復帰。4年春のリーグでは4試合に登板し、15(1/3)回で防御率0.00と好投。大学野球選手権でも中部学院大相手に完封勝利を挙げており、伸びしろを残した素材型として注目されます。
【指名への課題】
課題は精度のばらつきが大きいこと。特にスタミナが切れてくると握りが弱くなり抜け球が目立つようになるため、スライダーが外に抜けることが多くなります。
そのため被打率は左打者の方が悪いものの、仕留めるのに苦労しているのは右打者。右打者に対しては外中心の配球ですが、変化球が抜けると頭部付近に抜けることが多いため、右打者には変化球を上手く使えていません。右にはストレート偏重の配球となり力んで投げ込むことからストレートも高めに抜けやすくなっています。
左に対しても高めに抜けるため、右打者に比べアウトコース高めに抜けてしまうため、外野に運びやすい抜け球となり痛打されています。球種の引き出しが少ないため、コントロールがばらつきだすとタイミングが合わせやすいことから外野深くまで飛ばされています。
【指名順位予想】
全国大会時点ではまだ進路は決まっていないため、順位縛りの可能性が低い選手。そもそも実績が少ないためプロ志望を出す可能性は低くなっていますが、学生コーチ時代から柔軟性の強化に取り組んでいたため大型な割にフォームが柔らかく、球種の引き出しは少ないものの1年で先発として投げ込めるほどに整えていることから、器用さと伸びしろを残しています。
ただ大卒右腕で素材型となるとあまり猶予は残されておらず、体格もあり故障個所の再発も懸念されることから、指名漏れの可能性が高くなっています。東海地区は東海理化やトヨタ、JR東海、ヤマハ、王子、東海REXなど社会人強豪チームも多いため、強豪チームに進み即戦力を狙う可能性が高くなっています。
