最速155キロ、代木大和選手は何が変わったのか。現状と支配下への課題

◆プロ・アマ交流戦 巨人3軍0―0城西大=9回=(8日・ジャイアンツ球場)

 昨年4月に受けた「左肘内側側副靱帯(じんたい)再建術」(通称トミー・ジョン=TJ手術)から復帰した、巨人の育成・代木大和投手が城西大戦に先発。復帰後最長となる3回で42球を投げ、2安打無失点3奪三振と好投した。

 最速151キロをマークした直球にカーブ、ツーシーム、カットボールを織り交ぜながら投球を組み立てた。カウント球、勝負球など状況に応じて直球の球威にも強弱をつけ、「150キロちょっと出ていたみたいなので、メリハリをつけて投げられているかな、というところはある。3イニングでいろいろな球種を試す中で、ストライク、ボールを投げたり、組み立てはすごく出来ているなというのは感じています」と振り返った。

 支配下選手への昇格期限は7月末のため、今季中の支配下復帰はならなかったが、今後は先発としてイニングを伸ばしながら登板を重ねていく。次回登板へ向けては「出力の強弱はつけられているので、そこはいいなとは思っています。課題かなと思うのは、フォームの再現性を高めること、クロス(右打者の内角へ)の真っすぐとカットボールの精度と質というところになるかなと思います」と、冷静に分析した。

 

【代木選手はこれまでの経緯】


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 21年ドラフト6位で入団後、ストレートがスライダー気味の動きシロキボールを武器に1年目から140前半を出すほどに成長。23年には1軍中継ぎでも起用されるも13試合を投げ防御率5.40といまいち結果を残せませんでした。

 そんな代木選手ですが、23年オフに肘のクリーニング手術を受け、翌年春には復帰しライブBPに登板していました。しかし登板後違和感を感じ、4月にトミージョン手術を決行。トミージョンは復帰に1年以上かかるため、24年オフに育成再契約となりました。

 長いリハビリを得て今年5月にライブBPに登板。そこで150キロを記録し、3軍戦では中継ぎで登板し150キロを連発。そのあまりにも変わった姿に多くの巨人ファンを驚かせました。

 

【代木選手がリハビリを得て変わったこと】

【①:20キロ近く増えた体つき】

 代木選手の入団当時の体重は80キロ前半。投手としては平均的な体つきでした。しかし8月現在の体重は20キロ近く増量した102キロ。体つきはトミージョン前からは別人といえるほど全身がごつごつとした体つきになり、シルエットだけ出されれば別人と思えるほどになりました。

 なぜここまで体重が増えたのか。その理由は手術後にどのような姿で活躍していくかを考えたときに、現在の体つきでは出力に耐えられないだろうと考え、リハビリ期間にトレーニングコーチおよび栄養士と取り組んだ徹底的な体つくり。

 体重増加だけでなく出力に耐えられる体つきにするため、和食を中心としたグルテンフリー食を取り入れたことで手術前の90キロ台からさらに9キロ増量に成功。

 体つきがしっかりとしたことで球速へのこだわりもまし、現在は最速157キロが目標。スピードだけが全てではないがスピードがあればより圧倒できると考え、パワースタイルに進化しています。

 

【②:失われたシロキボール】

「多分僕しか投げられないボールだし、僕だけのボールだと思っています」。そう語る“シロキボール”は驚きの事件から生まれた。「僕、人より腕が内に入ってるんです。交通事故にあったことがきっかけで」。中学2年、野球の練習の帰り道、自転車に乗っていた代木少年は車に横からはねられ、全治2か月の左腕と足の骨折を負った。左腕にはギプスを装着。「腕を固定する時に普通の人よりも腕が真っすぐじゃなくて内に曲がったまま固定されてしまって。そうしたら曲がるようになって、真っスラが生まれたんです」。左腕が事故以前より体の内側寄りに曲がってしまったことで、意識せずに投げても自然と動く直球が生まれたという。

【巨人】代木大和、“シロキボール”誕生秘話 中2で交通事故 左腕が内側に曲がり「真っスラが生まれた」 – スポーツ報知

 


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  代木選手の売りといえばスライダー気味に動くストレートの代木ボール。このような変化をするようになったのは意図的でなく、幼いころの怪我が原因。中学時代に交通事故で腕を骨折し、その際の固定で腕が内向きに固定されてしまったことで腕の向きが変内向きに変わり、ストレートが意図せずスライダー気味に動くようになりました。

 しかしトミージョン手術を得て肘の動きが変わったことでストレートが変化しなくなりました。一度は戻そうとしたものの投げ方がおかしくなってしまい断念。これまでシロキボールを中心に構成していた投球スタイルは、1から組みなおすことになったと語っています。

 

【支配下復帰への課題】

【①:投球負荷のアップ】

 150キロを連発した代木選手を支配化すべきという声がありましたが、支配下を見送った原因はまだまだ実戦投入が少ないこと。特にトミージョン明けの高卒3年目というまだ体も完成しきっていない状態のため、ここで支配下復帰させ1軍中継ぎとして一気に負荷を上げてしまうと、再度故障してしまうリスクがあります。まだ21歳と若いため故障時のリスクが大きく、今の巨人にとって貴重なパワー系左腕になりうる好素材のため、ここで無理して失ってしまうダメージはあまりにも大きくなっています。

 また故障者が増え早期支配下してしまった鈴木大、フルプ選手は1軍起用の目途がたっておらず、フルプ選手にいたっては1軍ノーヒットで今季絶望の骨折状態。支配下昇格したが1軍起用に至っていないため、まだ復帰明けで故障のリスクがある代木選手はより起用が見込めないリスクが高く、支配下が見送られてしまいました。

 

【②:悪化した制球の改善】

 球速がアップしたことで悪化したのがコントロール。代木選手は出力を抑えコントロール重視の組み立てをしていましが、現在は全身をダイナミックに使った強い腕の振りになっています。このため以前に比べると制球が悪化しており、特に変化球のコントロールが悪くなっています。

 肘に負担がかかる変化球の割合を減らしていることも起因していますが、先発として計算するなら変化球の精度アップは不可欠。今は負担の大きいスライダー・カーブ系をあまり投げずカットボールの割合が大きいため、左投手の生命線であるスライダー・カーブを多投できない現状では戦力として期待できず、支配下が見送られています。

 

【③:先発としてのスタミナアップ】

 代木選手は肘の手術歴があるため、理想は先発としての起用。そのためにはスタミナが不可欠で、現在は復帰明けということもあり、2イニングを超えるとスタミナ切れを起こしています。

 ただ代木選手は高校時代は先発だったものの、プロ入り後は3軍も含めて長いイニングを投げておらず、先発起用されても3~5イニングで降りています。2軍ローテもグリフィン、西舘、井上選手が抹消され森田・又木・田中選手が昇格したことでカツカツですが、さすがに2軍でフル回転するには再故障のリスクが伴うため、本格稼働は来年からとなります。

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