◆仙台六大学野球◇秋季リーグ第1節第1日 ▽1回戦 東北福祉大10―1東北大(31日、東北福祉大野球場)
仙台六大学野球の秋季リーグが開幕して2試合が行われた。東北福祉大は先発右腕の桜井頼之介投手(3年)=聖カタリナ学園=が7回1死まで完全投球をみせるなど好投し、東北大に10―1で大勝した。
その表情からも悔しさがにじみ出ていた。東北福祉大・桜井は7回1死まで1人の走者も許さない快投も、そこから2連打を浴びて1点を失い、この回で降板。3回無死からの5連続を含む計12奪三振と圧巻の投球を見せたが桜井は「(完全投球は)5回くらいから気づいてました。正直、めちゃくちゃ悔しいです…」と振り返った。
140キロ台の直球にスライダーやチェンジアップなどを交え、「早く(2ストライクに)追い込んで、決め球も甘いところに投げることはなかった」と相手に的を絞らせなかった。記録達成はならなかったが、山路哲生監督は「変化球を多めにして、低めのボール球をうまく振らせていた」と評価。桜井も「とにかくチームが勝てばいいです」と気持ちを切り替えた。カード初戦を任されるエースとして、白星だけは譲らずにこれからも力投をみせる。
【櫻井選手の紹介】
173センチ64キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・カット・チェンジ
セットから軸足の重心を落とし、スリークォーターよりも高い角度から強い腕の振りで投げ込むフォームから最速151キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。120キロ台のスライダー、100キロ台のカーブ、130キロ前後のカット、120キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器は縦の軌道を活かした変化球のコンビネーション。低い位置から浮き上がるような軌道のストレートと横に逃げるスライダー、右打者のインコースに食い込むチェンジアップで軌道を反らし打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。3年生から本格的に先発で起用されており、10試合64(2/3)回8勝2敗で防御率1点台と好投。特に対右の投球が安定しており、右打者の外に逃げるスライダーで空振りを量産しています。
特徴的なスライダーを持つ変則右腕としてさらなる活躍が期待されます。
【指名への課題】
課題は対左で投げられる変化球が少ないこと。右に対しては横に逃げるスライダー。縦のカーブ、インコースに食い込むチェンジと3方向に直前まで同じ軌道で向かってくるため、打者を手玉にとっています。しかし左に対しては緩い縦のカットに対し、アウトコースに逃げるストレートのため軌道が全く違うため打者が反応せず、高めに抜けた球をレフト方向に逆らわず返されています。
インコースにカーブ、スライダーを投げ込み空振りを誘う場面も見られますが、右に比べ変化球の球速が遅く、コース自体は厳しいため捉えられずファウルにはできているものの、空振りを奪うには至らず2ストライクからはアウトコースへのストレートに頼らざるを得ません。右に比べるとしっかりと捉えられているスイングが多く、対左のコントロールが今後の課題となります。
【指名順位予想】
1点台と防御率だけ見れば好投していますが、一定レベルの打者がスタメンに座る仙台大相手では3~5失点しており、そこでは対左に苦戦する場面が数多く見られます。そのため即戦力とは評価できず、右に対し有効な変化球を複数持つが、対左はまだプロ入り後改善する必要がある素材型の評価になります。
体もあまり大きなほうではなくここから球速の伸びがどこまで伸ばせるかも不透明なため、育成2~3位候補になります。対左の変化球が全体的に球速が落ちるため、球速全体が現在より3~4キロ伸びれば、右殺しの中継ぎになれる4~5位指名候補になります。
