(23日、第98回選抜高校野球大会1回戦 三重2―0佐野日大)
背番号18の左腕が、甲子園で躍動した。三重の先発上田晴優(せいゆう)投手(3年)は、九回2死で降板するまで、無四球で三塁を踏ませない快投。「120点です」と自己採点し、満面の笑みだった。
先発を告げられたのは試合の2日前だった。「冷や汗をかいた」ほど緊張したが、序盤から制球力の高さを発揮。100キロ台のカーブでカウントを稼ぎ、130キロ台の直球で緩急をつけて打たせて取る投球を徹底した。
六回以降はスライダーも効果的に織り交ぜ、相手打線に的を絞らせず。八回は2死一、二塁のピンチを迎えたものの114キロのスライダーで空振り三振に仕留めると、マウンド上でほえた。
三重は投手陣の層が厚く、昨秋の公式戦は継投で勝ち進んだ。しかし、東海大会で上田投手をアクシデントが襲う。準決勝前日の練習中、ボールが左目付近に直撃して眼窩底(がんかてい)骨折。約1カ月間は運動を控え、しばらく視力も回復しなかった。焦る心を落ち着かせ、冬の練習で鍛錬を重ねた。
その成果を発揮できた甲子園での初戦。上田投手の公式戦初完封まであと1死となった場面で、沖田展男監督は今後に備えて継投に踏み切った。「すべてが良かった。ゼロで抑えてくれたので、大エースやと思います」とたたえた。
継投について上田投手は「自分でも調子に乗っちゃうと思っていたのでありがたかった」としつつも、「次は9回を投げきって完封したいです」と充実の表情で言った。
上田選手の紹介
178センチ78キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ
セットからタメを作らず重心を落とし、オーバースローよりも低い角度であまり上半身を突っ込ませず投げ込むフォームから最速133キロ、常時130前後のストレートを投げ込む左腕投手。110キロ台のスライダー、100キロ台のカーブ、110キロ台のチェンジを投げ込んでいきます。
武器は複数の変化球をコ-ナーに投げ込むコントロール。ストレートも120キロ台のと球速はないものの、左打者のアウトコースぎりぎりに安定して投げ込めるスライダー、低めに制球できるチェンジアップでストライク先行の攻めを披露。特にカーブはコンパクトなフォームながら変化量が大きく、失投も少ないため打者を翻弄していました。
また監督も評価するピンチになっても変わらず投げ込める精神性も武器で、ランナーを貯めてもフォームが変わらないため投球の質が変わらず、ランナーを出しても連打で崩れない粘りも魅力なっています。
チームでは主に先発で起用。ブルペン投球中に顔を送球を受け眼窩底骨折。一時は視力が落ちるほどの怪我をしたものの、選抜では復活を見せ佐野日大戦に9回途中無失点と好投しました。
指名への課題
課題は失投が少ない変化球に比べ、高めへのばらつきもあるストレート。120キロ台なうえ癖がないフォームなためコースが重要となりますが、クイックになると腕の角度にばらつきが出てくるため、ストレートに角度がなくなり高めに抜ける球が多くなります。
チェンジの失投が少ないためかえって高めのストレートが目立ってしまい、パワーバッターにとっては高めでタイミングも合わせやすく、パワーで持っていきやすいコースの球になっています。球威で押せるタイプでなく変化球を低め中心に投げ込めるスタイルだからこそ、ストレートも同様の角度、コースに安定して投げ込むことが求められます。
指名順位予想
高卒ではあまり好まれない打たせて取るタイプの技巧派。技巧派は伸びしろの見通しが立ちづらくある程度完成した大卒や社会人で好まれるため、高卒では指名の可能性は低くなっています。
制球型左腕としても常時120キロは物足りなさがあり、あまり身長もなく体を大きくすると一気に球速が伸びる体格でもないため、現状では指名漏れとなります。
三重高校は強豪大学に進む生徒も多いため、ここで育成を受け入れるよりも大学へ進むほうが有利なため、育成指名を受ける可能性も低いと思われます。


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