東都大学野球秋季リーグ第1週第1日(1日、神宮)1回戦2試合で開幕し、4季連続優勝を目指す東洋大は立正大に4-3で競り勝ち、駒大は中大に2-1で逆転勝ちした。東洋大は上茶谷大河投手(4年)が7回を3安打2失点と試合をつくり、甲斐野央投手(4年)へのドラフト1位候補の継投で逃げ切った。
東洋大が誇るドラフト1位候補の右腕コンビが、1点差での逃げ切り勝ちをチームにもたらした。最速151キロの先発・上茶谷は、この日直球の最速が145キロ止まりだったが、リーグ戦で初めて披露したカットボール主体の投球で7回を3安打2失点に抑えた。
「真っすぐが走らなくて、カットの1球でゴロになってくれればと思いながら投げた」
春に連敗した相手に、変化球が6割以上という全く異なる配球で粘った。“すごみ”こそ感じられなかったが試合はつくり、抑えの甲斐野にしっかりとつないだ。
その甲斐野も、初球の変化球を狙われ、この日最速149キロの直球を生かせず、本調子とはいえない内容だったが、2回3安打1失点でリードを守った。
試合は11球団が視察。中日・中田スカウトディレクターが「パターンを変えて抑えるところは抑えた。(1位候補に)変わりはない」と評価したように、秋も“東都の主役”の座を譲ることはなさそうだ。(赤堀宏幸)
【甲斐野選手の紹介】
186センチ83キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク・ツーシーム
セットポジションからあまりタメを作らず力みのないフォームから最速159キロ、常時140後半のストレートと落差のある140キロ台のフォークを武器とする大型リリーフ。東洋大では梅津・上茶谷選手が先発をつとめ、9回を甲斐野選手が締めるリレーとなっています。
U-18対大学日本代表では最速158キロを記録し打者の根尾選手が苦笑いしたほど。三菱日立パワーシステムズとのオープン戦でも1回3奪三振と1位候補としての実力を見せ付けています。
2018ドラフト1位候補、甲斐野VS藤原&根尾の大阪桐蔭コンビ
【指名への課題】
球速のわりにバットに当てられやすく、奪三振率は期待されているほど高くありません。またコントロールがよくない上にシュート回転するため、かなりアウトコースに外れて大暴投も記録しています。
それゆえバットに当てられるため空振りが奪いにくく、シュート回転してカウントを悪くするため、四球でランナーをためてワンヒットで崩れてしまうこともあります。このため当日の調子次第で自滅して試合を壊してしまう恐れがあり、かといって制球重視の投球にすると平凡になってしまいます。スタミナもあるほうではないため、2イニング以上の登板は危険であり、イニング跨ぎをすると途端に球速が落ちる点も課題とされています。
【指名順位予想】
即戦力投手は先発であれば1位候補となりますが、リリーフでしか起用できないとなるとどうしても順位は落ちてしまいます。ただし最速159キロに落差のあるフォークで大魔神佐々木2世になれるのはないかと期待もされており、制球に課題がありながらも3年生より実績を残し続けていることから伸び代を評価する声もあります。
このため評価ははずれ1位もしくは2位上位となります。