読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

素材を評価され就職からプロ入りを目指す長身右腕 城西大 阿部 克哉選手 大卒右腕投手

部員20名だった高校から100名を超える城西大へ。環境が変わり「入った当時は大学のレベルの高さを感じていたので、試合には出られそうにないなと思っていました」という。

 加えて、2年生までは度重なるケガに悩まされた。そこでトレーニングの後にしっかりと柔軟運動を取り入れるとケガが減り、ようやく本領を発揮。ウエートトレーニングによって体重は高校時代の85kgから93kgに増え、最速も144キロから4キロアップした。

 変化球についても「これまではストライクが入らなかったのですが、チェンジアップで空振りが取れるようになりましたし、スライダーも投げる時に狙う場所を変えたことで精度が上がりました」と話す。

 現在の球種は他にカーブ、カットボールツーシーム、フォーク。特に大学で覚えたというツーシームは「左打者を打ち取るのが楽になりました」と投球の幅も広がった。

 今春にリーグ戦デビューを果たすと、2勝。さらに、武蔵大との入れ替え戦では先勝されて土壇場に追い込まれた2回戦に先発し、5回途中まで無失点。チームを勝利へ導き、1部昇格への道筋をつけた。この好投に村上監督も「こういう大事な試合で良い仕事をしてくれる。持っている選手なのかもしれません」と期待をかけている。

 この秋は第5週を終えた時点でリーグ1位の防御率0.54。第4週の筑波大2回戦では7回3分の1を投げて3安打無失点に抑え「自信が付いた」という。

 1部の打者と対峙するのは今季が初めてだが「バッターの顔色や仕草を注意して見るようにしていて、見逃し方やスイングの軌道からどんな球種を待っているのか判断しています」とマウンドで打者を観察する余裕も出てきたことで、さらなる好投につながっている。

 そして、桜美林大2回戦では自己最速の148キロをマーク。連投となった桜美林大との3回戦では1部リーグでの初白星を飾り「さらに自信が付きました」と阿部。

 来季はエースとしてチームを引っ張る立場となるが「4年生が抜けたから弱くなったとは言われたくない。来年は全国大会に出場したいです」と話し、個人としては「ストレートを150kキロの大台に乗せ、投手としての完成度も上げ、プロを目指したい」と目標を掲げた。

 今年、急成長を遂げたばかりだが、大願を成就させるためにも、より一層の進化を目指す。

3年生右腕・阿部克哉が7回を3安打1失点の好投 城西大が桜美林大に勝利し2部優勝校との入れ替え戦を回避【首都大学リポート】 | 野球コラム - 週刊ベースボールONLINE

 

【阿部選手の紹介】


www.youtube.com

188センチ93キロ 右投げ右打ち

変化球:スライダー・カーブ・カット・フォーク・ツーシーム

 

 セットからあまり上半身を突っ込ませず上から投げおろすフォームから最速148キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。110キロ台のスライダー、100キロ台のカーブ、120キロ台のチェンジアップ120キロ台のフォークを投げ込んでいきます。

 武器は高い角度から投げ下ろすストレートと落ち球のコンビネーション。140前後のストレートながら打者は押し込まれ、同じ高さから落ちるストレートとチェンジアップで打ち取っていきます。

 チームでは主に先発で起用。3年秋は9試合を投げ1勝1敗と勝ち星に恵まれなかったものの、リーグ一位の防御率1.27を記録。城西大の新しいエースとして注目されるようになりました。

 阿部選手はもともと高校を最後に野球を引退。一般企業に就職する予定だったものの、所属していた柳井商工の監督の推薦で監督が知り合いだった城西大のキャンプに参加。そこで城西大の監督に素材を評価され、居合わせたスカウトの目にもとまったことでプロを意識するようになり城西大に入学しました。

 城西大入学後は悩まされ怪我防止のため柔軟運動を取り入れ、ウェートトレで体重を8キロ増やしたことで最速も4キロ増加。

 かなりの長身恵体右腕投手として、さらなる活躍が期待されます。

 

【指名への課題】

 課題は長身特有の腕の振りの弱さ。阿部選手は188センチでかなりの長身のため上半身をあまり突っ込ませず投げ込みますが、阿部選手のフォームは上半身を崩さないよう、腕を振り下ろす手前で一度勢いを殺してしまうため、腕の振りが上半身の動きと連動せず、腕の振りだけで投げる手投げフォームとなっています。

 そのため腕の振りの再現性に課題があり、特に変化球だと腕の振りに差があるため甘く入る球も多く、甘く入り気味のストレートやフォーク・ツーシームを打ち返され長打にされてしまうため、そこから失点しやすくなっています。

 3年時に比べるとスライダーやチェンジの精度が落ちてしまっており、そのせいで防御率も3点台と投高打低の首都大リーグ内でも悪い方となっています。

 

【指名順位予想】

 変化球の精度のばらつきが大きく、長身特有のフォームにはまだ課題を残しているため、即戦力評価とはなりません。素材型としても安定してストライクが取れる変化球がなく、ランナーがいると持ち球のフォークがすっぽ抜けないよう振りが弱くなるため、球速と変化量が落ちたフォークとなり空振りを奪えていません。そこで力んでストレートの制球が悪化し・・・と悪循環に陥っているため、現状では育成4~6位の素材型一点評価となっています。

 3年時に比べ下半身が太くなっているのに腕の振りが弱くなっており、スライダーやチェンジでカウントを取れなくなっているのが防御率悪化の原因となっています。3年時の変化球と腕の振りが取り戻せれば、育成1~2位の下位素材評価となります。3年時でもまだ出力が物足りないため、上位指名は厳しくなっています。