読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2018年ドラフト指名選手の巨人における起用方針と課題 1位指名 八戸学院大 高橋 優貴選手 大卒左腕投手

 

プロ野球ドラフト会議(25日、グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミール)巨人から1位指名された八戸学院大・高橋優貴投手(21)は、八戸市内の同校で会見した。

 「光栄です。まさかの順位にビックリして(テレビ画面を)二度見した。伝統ある強いチーム。早く活躍できるように頑張りたい」

 北東北大学リーグで通算20勝。最速152キロの直球にスライダー、さらには東海大菅生高時代から「授業中にボールを握る“内職”で指の幅を広げた」(高橋)というスクリューを武器に三振を量産してきた。今秋には同リーグ新の301奪三振を記録した“みちのくの奪三振マシン”だ。

 巨人との縁は深い。中学時代には元巨人の原田明広氏が監督の友部リトルシニアでプレー。八戸学院大の正村公弘監督は、巨人・原監督と同じ東海大OBだ。

 また、高橋は高校時代に、“プロ浪人”で、東海大菅生高のグラウンドで練習していた現エース、菅野智之の投球を見て驚いた。「投球術など見習うところは多い。1つでも吸収したい早くも弟子入りを志願し、胸を躍らせた。

巨人に“みちのくのドクターK”八戸学院大・高橋!「まさかの順位…」/ドラフト (1/2ページ) - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)

 

 

 

【高橋選手の紹介】

f:id:okimono:20181016191008p:plain

 178センチ82キロ 左投げ左打ち

変化球:スライダー・カーブ・フォーク・スクリュー・チェンジアップ

 

 セットポジションから大きく足を上げた後、あまり腕を強く振りかぶらないフォームから最速152キロ、常時130台のストレートを投げ込む左腕投手。大学トップ左腕の一人となっており、コントロールの早稲田・小島選手にパワーの八戸学院大・高橋選手は18年左腕の代表格になっています。

 当初は140台を連発するパワーピッチャーとなっていましたが、球速はある一方コントロールが定まらず四球癖が問題となり、3年まで上位候補とされていたものの伸び悩んでいる投手の一人となっていました。

 

 そこで4年よりパワーよりもコントロールメインの制球派にスタイルチェンジ。スクリューを武器に打者の内角を突く新たなスタイルで好投し、多和田選手(15年西武1位)のリーグ奪三振数を抜く301奪三振を記録しました。まだ制球スタイルの実績は少ないものの、キレのある球を誇る左腕として巨人1位指名を受けました。

 八戸学院大の高橋優貴は10球団24人のスカウトの前でまずまずの投球を見せた。積極的に内角を突く投球で8回9安打8奪三振2失点と粘り、開幕戦を勝利で飾った。今春からは制球を重視する。この日、DeNA河原隆一スカウトのスピードガンでは最速144キロを計測。かつての剛速球をセーブし、今夏から内角を突きまくる新境地を披露した。高橋は「今までは内角にしっかり投げきれなかった。いいボールは春以上にあった」と胸を張った。河原スカウトも「今日は抑えている。短いイニングなら、もっと爆発的に強い球を投げられる」と高橋の高い潜在能力を評価した。

八戸学院大の左腕高橋に10球団スカウト熱視線 - アマ野球 : 日刊スポーツ


2018/08/25 八戸学院大・高橋優貴投手

【なぜ獲得となったのか】 

 小島選手と並ぶ大卒左腕上位とされていたものの、3年より伸び悩み話題になることも少なくなっていました。しかし4年生になり制球スタイルにチェンジしたことで再び話題となり、上位候補として2位までには消える選手となっていました。

 巨人はポスト坂本選手として1位で根尾選手、外野即戦力としてはずれ1位で辰巳選手を指名しましたがどちらもはずし、2位候補を繰り上げ指名する形となりました。この時点で他の候補は東洋大・梅津選手や甲斐野選手、日体大・東妻選手、浦和・渡辺選手といった選手が残っていました。まず東妻選手や甲斐野選手といった右のリリーフ候補ですが、下位でも中継ぎ候補の獲得がなかったことから、今年のドラフトでは中継ぎはあまり補強ポイントとされていなかったようです。17年1位の鍬原選手がフェニックスリーグで中継ぎ起用されており、高い奪三振率で中継ぎ起用の可能性が出ていることも理由の一つと思われます。

 それでは梅津選手や渡辺選手といった素材型右腕、高卒右腕投手についてですが、ここで誰を繰り上げるかについては、他に代わりとなる候補がいるかどうかです。右の右腕候補は毎年1位候補が上がってくることが多く、高卒についても今年は結構な選手がプロ志望を出したため、渡辺選手を逃しても別の選手で候補を補うことは可能でした。実際、3位で将来的な先発候補として直江選手を獲得しています。

 

 一方で左腕候補は大卒・社会人を見ても早稲田・小島選手や日本生命・高橋選手、新日鉄住金広畑・坂本光士郎選手など候補が少なく、その中で2位で消える可能性が高い選手を繰り上げるとすれば八戸・高橋選手となりました。現在の巨人左腕先発は来年も戦力になるか不透明な内海・吉川、今村選手と調整に失敗した田口選手。そして候補も大江選手と育成の橋本選手のみという状況。最悪先発として駄目でも候補もいない左腕中継ぎで使えるため獲得となりました。 

【1軍スタメンへの課題】

 スタイルチェンジ後東日本国際大相手に5回2失点。スタイルチェンジも4年後半からのものであり、まだ物にできるとは言えません。このため中継ぎならともかく、先発としてみるなら即戦力とはいえず、紅白・オープン戦の結果が一つの壁になります。

 オープン戦で1位指名に期待するような成績を残せなかったとしてもしょうがない部分もあり、もしある程度結果を残すことが出来たとしても先発としては長いイニングを投げた実績が少ないため、中継ぎが薄い今の巨人では起用しにくい選手となります。

 幸い今年より杉内コーチがファームコーチに就任したため、杉内コーチのもと制球スタイルに磨きをかけ、夏に1軍ローテが疲労してくるころにお試し登板を期待したいところ。2軍ではイニング数と安定性を改善させることが1軍起用のために求められます。