<首都大学野球:東海大1-0武蔵大>◇第7週第2日◇15日◇等々力東海大が投手戦を制し、2季連続75度目の優勝に王手をかけた。勝ち点を獲得した方が優勝となる武蔵大との最終カードで、先勝した。
先発の最速145キロ左腕・岩本真之介投手(2年=市和歌山)が、9回3安打10奪三振無失点の好投で勝利を呼んだ。大学初の完封勝利を「楽しかったです。(9回を投げ切る)つもりでした。気温のおかげで全然疲れなかったです」と笑顔で喜んだ。5回の犠飛による1点を死守し、今季無傷でリーグトップの6勝目を挙げた。
相手先発・松崎公亮投手(2年=聖徳学園)との戦いに燃える理由があった。同学年の2人は、試合前時点で互いに防御率が0点台。松崎がリーグ1位の0・56。岩本が2位の0・90だった。「意識してました。『0点で抑えて、抜かしてやるんだ』と思って投げました」。この日は「今までで一番強かった」という140キロ台の直球を内外コースに投げ分け、相手打線を宣言通り「0」に抑えた。
期待通りの好投に、井尻陽久監督(69)は「今日は岩本がよく投げたことにつきます」とたたえた。
東海大2季連続V王手 岩本真之介が大学初の完封勝利「楽しかった。全然疲れなかった」無傷6勝目 - アマ野球 : 日刊スポーツ
【岩本選手の紹介】
181センチ82キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ
セットから左ひじを大きく伸ばし振りかぶり、オーバースローの角度から投げ下ろすフォームから最速145キロ、常時140前後のストレートを投げ込む左腕投手。120キロ台のスライダー、100キロ台のカーブ、120キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器は高い角度からコースに投げ分ける高低差のあるスライダーとカーブの精度。スライダー、カーブのコントロールが非常によく、左右問わずアウトコース・インコースの低めにしっかりと投げ込めるため、スライダー・カーブを意識していた打者に140キロ台のストレートを角度をつけて投げ込み見逃しを奪っていきます。
チームでは先発で起用。2年春には7勝0敗防御率0.95と圧倒的な成績を残し東海大の新たなエースとして期待されるも、3年生になり制球が悪化。
【指名への課題】
課題は4年間での成長度、出力不足と落ちる球が決め球として使えないこと。岩本選手はコントロール重視の制球型左腕ですが、それでもストレートは130キロ台と出力不足。2年次は好投したものの3年生でコントロールが悪化し、4年生である程度戻せたもののまだ物足りなさが残っています。3年時のロスによりスペックが伸び切れておらず、大卒4年目としては出力不足となっています。
その出力不足が原因でチェンジアップにあまり手を出されておらず、120キロ台なうえまっすぐ落ちるタイプのチェンジのため、球速がないと打者はバットに当てることができており、2ストライクからなかなかストレートで決め切れていません。
ストレートは出力不足なうえまだ精度に課題があるため、2ストライクから決めようと力んでしまい、低めに投げ込もうとすると指に引っ掛かり決めきれていないのもカウント悪化の原因となっています。
【指名順位予想】
左に対してはスライダーとカーブがあるため安定している一方、右打者に対してはチェンジアップが制球しきれていないため、どうしても右打者に対して被打率が悪化しています。
4年生で制球が回復してきているため、ここからチェンジアップの精度をどれだけ上げられるかが指名の鍵となります。また制球型左腕といえば130キロ台のストレートで変化球が3球種は物足りなさが残り、制球型であれば最低でも4球種以上は必要。即戦力でない以上伸びしろをアピールする必要があるため、140前半までストレートの平均球速が伸び、チェンジも今のタイプなら130前後まで伸びる必要があります。
現状では育成2~3位指名候補。球速が伸びてくれば7~8位の下位指名となります。ただ4年生になりようやく安定して投げられるくらいに回復したため、プロ志望を出さず社会人に進み、1年目から投げ込み即戦力で上位指名を狙う道もあります。