読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2019年巨人支配下ドラフト指名を振り返る。今年も素材型に振り切った年。

◆2019年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD(17日、新高輪プリンスホテル

 巨人はドラフト1位指名で、青森山田高・堀田賢慎投手(18)=右投右打=の交渉権を獲得した。巨人は6人を指名し、うち5人は高校生だった。

 巨人は初回の入札で、夏の甲子園準優勝右腕の星稜高・奥川恭伸投手(18)を指名したが、ヤクルト、阪神の計3球団で抽選の結果、ヤクルトが交渉権を獲得した。

 「外れ1位」指名では、東芝・宮川哲投手(24)=右投右打=を入札したが、抽選の末に西武が交渉権を獲得した。

 そして「外れ外れ1位」で青森山田高・堀田を単独で指名し、交渉権を獲得した。

 2位ではJR東日本太田龍投手(20)=右投右打=を指名した。

 3位では常総学院高・菊田拡和内野手(18)=右投右打=を指名した。

 4位では前橋商高・井上温大投手(18)=左投左打=を指名した。

 5位では星稜高・山瀬慎之助捕手(18)=右投右打=を指名した。

 6位では酒田南高・伊藤海斗外野手(18)=左投左打=を指名した。

 ◆巨人の指名選手一覧

【巨人】ドラフト指名選手一覧&スカウト評…指名6人中5人が高校生 : スポーツ報知

 安定のはずれはずれ1位指名となった今年の巨人ドラフト。まさかの3球団→2球団→単独と美しいはずしっぷりを見るとは思いませんでした。

 それでは支配下ドラフト6名について振り返りたいと思います。

 

 

 

【1位指名】青森山田高校 堀田 賢慎選手 高卒右腕投手

 

 育成1位指名と思っていたら支配下1位指名だったなオチ。一冬で10キロの球速アップを果たしている素材型であり、伸びのあるストレートとスライダーが武器となります。ただコントロールについては課題があり、今後戦力となるにはそこをどう改善させていくかが入団後の課題となります。

 

 

 

 

【2位指名】 JR東日本 太田 龍選手 社会人右腕投手

巨人2位指名

太田龍投手 JR東日本

担当の織田スカウトコメント

「190センチから角度のある最速150キロ超のストレートが魅力の先発型投手。長身ながら、けん制、フィールディングなどの動きもそつなくこなせる器用さを備える」

 

— スポーツ報知 巨人取材班 (@hochi_giants) October 17, 2019

  1位候補の一人とされていた素材型大型投手。高校時代は九州四天王といわれ、就職後は1年目から先発ローテとして好投しています。

 このため素材型ながら即戦力候補とされていましたが、指名解禁となる3年目に調子を落とし、都市対抗でもの先発としての役割を果たせない場面が続きました。このため指名順位を落とし2位指名候補にまで落ちていたのが現状です。

 巨人としては菅野選手の不調や若手の台頭不足からローテ不足となっており、即戦力先発の獲得が急務でした。ただ今年は先発候補が不作年。2軍ローテもぎりぎりの状態が続いていたため、2軍ローテ要員兼将来のエース候補獲得に方向転換しました。春季キャンプで試しながら1・2軍どちらで育てていくかを見極めていく形となります。

 

【3位指名】常総学院高 菊田 拡和選手 高卒右内野手

  常総バレンティンと称される大型内野手。高校通算58発を記録しており、遠投105mでサードと外野を守っています。

 巨人は去年左の大型野手として松井選手を獲得しましたが、長打力のある右打ち外野手は補強ポイントの一つでした。その中で指名候補として挙げていた選手ですが、予想よりも評価は高かったようです。

 松井選手は現在サード起用されており、この菊池選手もサードで起用されていた選手のため、どちらかが外野起用メインとなる可能性が高くなります。ただ指名後のコメントを見る限り、菊田選手を外野起用する可能性があります。

 

 

【4位指名】前橋商 井上 温大選手 高卒左腕投手

  伸びしろを高く評価されていた左腕投手。174センチ68キロと小柄で細みながらくせのないフォームと豊富な変化球が魅力。去年1位で獲得した高橋選手が先発ローテに入ったものの、田口選手は中継ぎ転向、大江選手もいまいちな中で、左腕先発候補の獲得に至りました。

 興南・宮城選手のように2年目から起用できそうなタイプでなく時間がかかるタイプではありますが、豊富な変化球と伸びしろから先発向きの投手。3軍で体づくりをしながら夏ごろに少しずつ登板機会を増やしていく流れとなります。

 

 

【5位指名】星稜高 山瀬 慎之助選手 高卒右捕手

  

 奥川選手とのバッテリーで注目された、遠投120mの強肩捕手。若手捕手が岸田選手だけであり、年齢バランスの点から高卒捕手指名は補強ポイントの一つでした。ただ山瀬選手は高卒としてみるには打撃に物足りなさがある守備型捕手。当初の予想通り下位指名での獲得となりました。

 守備については高い評価を得ている選手であるため、長打が伸びていけば正捕手も狙える選手となります。

 

【6位指名】酒田南高 伊藤 海斗選手 高卒左外野手

  187センチ88キロで高校通算36発の大型外野手。「アナコンダ」と称される左のスラッガーではありますが、左投げ左打ちという起用ポジションが限られること、そしてコメントからもわかるとおり当たった球はすごいが確実性には欠けるといったところ。化ければ大きいところですが、それには時間がかかる可能性が高く、まさにロマン枠の指名となります。

 

 外野レギュラーの亀井選手が年齢面で世代交代が求められており、若手外野手も重信・松原選手とレフト・センターを守る選手が多く、ライトを守るスラッガー候補は補強ポイントでした。伊藤選手は投手として登板する強肩を持っており、守備位置はライトのため、亀井選手の跡を継ぐライトの強打者候補として獲得されました。

 

【まとめ】

f:id:okimono:20191017213043p:plain

 先発・中継ぎ共に崩壊気味であり、即戦力の獲得が叫ばれていました。しかし結果としては去年と同じ高卒中心ドラフト。これで来年の1軍ローテがまわるのかと不安になりますが、今年は即戦力不作年であったため、森下・奥川選手を獲れなかった時点で即戦力は期待薄でした。せめて中継ぎ候補は最低一人は欲しかったところですが、まさかのそちらも獲得無し。堀田・太田・井上選手と素材型先発候補を獲得したため、2軍先発要員だった高田選手を中継ぎ転向させる可能性があります。

 今年の巨人の補強ポイントについては以下の6点を補強ポイントとして挙げており、結果としては以下のようになっています。

①即戦力先発(中5日強行する火の車状態) →獲得できず

②次代のエース候補(若手投手で表ローテが少ない) →1位・堀田 2位・太田 4位・井上

⓷高卒捕手(若手支配下が岸田選手のみ) →5位・山瀬

④長打がある右打ち外野手(支配下は村上選手くらい) 3位・菊田

⑤坂本選手の後釜 →獲得できず

⑥左の長距離型 →6位・伊藤

 

 こうみるとなんだかんだでバランスよく補強できたといったところ。素材型獲得が目立ったため、名コーチとされた内田・小谷コーチ退団後の新たな人事が注目されます。

 

 

 

【来年ドラフトとの兼ね合いの面も?】

 

www.giantsdraft.site

  こちらの記事でも述べていますが、20年のドラフトは大卒先発豊作年である一方、高卒全体が不作年となっています。このため今年は高卒素材型指名に振り切り、来年は大卒先発重点指名とする可能性があります。豊作な年に豊作のポイントを重点的に補強するというのはドラフト戦略の基本の一つ。このため来年を何とか乗り切れば投手陣にはある程度目途がつくため、来年は助っ人外国人獲得の成功が巨人の生命線となります。