読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

18年ドラフト1位・高橋優貴選手の1年目は先発としてみるか、中継ぎとしてみるか

 

<練習試合:巨人7-5韓国・KIA>◇20日沖縄セルラー那覇

甘酸っぱく階段を上った。巨人ドラフト1位の高橋優貴投手(22=八戸学院大)が20日、韓国・KIAとの練習試合に先発し、対外試合デビューした。3回4安打2失点で収穫と課題をつかんだ。最速145キロの直球にスライダー、カーブ、スクリューを交え、2回まで2奪三振で完全。だが、3回に4連打を浴び「いいところもありましたが、セットポジションでコントロールを乱したのでまだまだです」と唇をかんだ。

3点リードの3回。1死後に8番打者に右翼フェンス直撃の二塁打を許すと、状況が一転した。「何かを変えたつもりはないんですけど、紅白戦でもランナーが出る時はありましたが、だいぶ違った感じがしました」とマウンド上に漂う空気に心を乱した。投げ急ぎ、リズムが単調に。ボール先行となり、甘く入った球を捉えられた。

4連打を浴びた直後の1死一、二塁で、宮本投手総合コーチがマウンドに来た。「ボールをもらってすぐにサインを見ようとするから。ゆっくり自分のフォームで投げてごらん」と助言をもらい、落ち着いた。後続を遊ゴロ(記録は守備妨害)、右飛に打ち取った。

宮本コーチは「若さゆえにだから、しょうがない。課題見つからないと、やっかいですよ」と伸びしろを見た。次戦は26日の練習試合中日戦の予定。「1つ1つが勉強であり、それを乗り越えて成長が来ると思う。悪いからそれがダメだ、ではなく、悪いところを次はどうするかを考えたい」。足元を確かめながら、晴れ舞台への歩みを進める。【桑原幹久】

▽巨人原監督(先発高橋について)「良かったと思います。点数取られた、打たれたところはスタミナという部分が課題。彼の特徴は相手にきれいなスイングをさせないこと。打ちづらそうにスイングさせているのが非常にいいですね」

巨人1位高橋「1つ1つが勉強」3回2失点も前向く(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

 

 

 

【高橋選手の現在の評価】

【①:プロでの奪三振能力は様子見】

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 高橋選手は大学時代、リーグ最多の301奪三振を記録し15年西武1位の多和田選手の記録を塗り替えました。このため奪三振能力を期待されていました。そんな高橋選手の初登板は5日のシート打撃。打者7人に対し3奪三振という結果となりました。

 次の紅白戦では3回を投げ1失点におさめたものの三振は0。そしてKIAとの練習試合では3回を投げ2失点となるも2奪三振。このため2試合6回3失点2奪三振となっています。正直なところ、リーグでの奪三振王から期待できる三振率とか言われれば微妙なところですが、高橋選手が三振を量産していたのはスピード重視だった3年までに積み重ねたものが多く、制球重視にスタイルチェンジした4年では奪三振率は落ちています。現在もこの制球重視のスタイルで投げているため、現在の高橋選手は三振よりも投げぬき試合を成立させることに重きを置いているため、あまり三振を重視する必要はなさそうです。

 

【②:クイックが課題】

 まさかの3年連続ドラフト1位投手がクイックが課題という何の因果か悲しくなる問題です。本人も課題と考えていたようでキャンプでもクイックに取り組んでいます。

 

 巨人のドラフト1位・高橋優貴投手(22)=八戸学院大=が14日、クイックの“特訓”を行った。登板予定となる15日のシート打撃は、走者を置いた状態で投球する。この日のブルペンでは、投げた41球がほぼセットポジションからのクイックだった。「明日のシートもありますし、試合ではセットで投げる方が多くなる。少しずつ試合を意識したつもりです」と意図を話した。

 宮崎キャンプではシート打撃、紅白戦に登板。その時もセットポジションでの投球が課題となっていた。ブルペンではクイックでカーブも投げ「先発をするのにカーブがあれば楽になる。カウントも取れるので」とシート打撃でも投げる予定だ。宮本投手総合コーチは高橋について「僕らが『セットポジションで投げとけよ』って言わなくても自分でやっていた。優等生ですよ」と、思わず感嘆の声を漏らした。

【巨人】ドラ1・高橋優貴、クイックを特訓「試合を意識したつもり」 : スポーツ報知

  KIA戦でも2回まで完全だったものの、3回にランナーを出した途端連打で2失点。球が高めに集まり長打にされていました。変化球では空振りや打ち損じが奪えていたものの、ストレートについてはまだレベルアップが必要と感じられる内容でした。

 

【③:現在は先発として計算されている】

 ドラフト1位で大学では先発として起用されていたこともあり、首脳陣は先発ローテ候補として計算しています。現在の巨人は先発も中継ぎも不足していますが、替えが利かないのは先発のため先発で駄目なら中継ぎにまわされるか二軍で調整となりますが、そこは計算できる中継ぎの数次第となります。

 

【巨人は先発と中継ぎならどちらで起用したいか】

【①:大きな問題は左腕先発不足】

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引用:読売巨人軍公式サイト

 内海選手が移籍、吉川選手が中継ぎ転向。さらに田口・今村選手がいまいちピリッとしない状態が続いており、今村選手はサムスン戦が駄目なら降格の危機もあったほどです。若手2名が調子を戻せないままだと先発左腕4枚が一気に消える形のなります。

 大江選手が好調なものの、一軍未経験を戦力に数えるのは難しく、たとえ大江選手が戦力になってもローテはぎりぎりです。畠選手もスペ体質で原監督の心象が悪く、高田選手はまだ時間がかかる見込みのため、現状のローテは菅野ー山口ーメルセデスー野上ー今村となり、ここに岩隈選手や高橋・田口・大江選手が入ります。ヤングマン選手は枠の問題でメルセデス選手との二枚ローテは難しいことから、一人抜ければ総動員状態となるため、高橋選手も先発として数えなければ火の車となります。

 

【②:中継ぎも足りないが・・・】

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引用:読売巨人軍公式サイト

  16年ドラフト以降中継ぎ補強は上原選手とクック選手のみ。中継ぎもかなりの火の車状態です。クイックが課題のため高橋選手を中継ぎとして短いイニングで使う手があります。

  ただドラフト一位選手をいきなり中継ぎとして起用するのは戦略上避けたいものであり、17年1位ながら今季中継ぎ転向されたものの、奪三振率の高さから中継ぎ向きと評価されていた鍬原選手とは状況が違います。

 また桜井選手は課題だったセットポジションも改善したのか、今のところ練習試合でも結果を残しています。今年大きくフォームチェンジした中川選手や、1年目以降伸び悩む戸根選手も不安材料はあるものの、今のところは順調です。澤村選手や宮國・池田選手と全員が順調ではないものの、先発に比べると候補選手はいるため、どちらに優先してまわすべきかといわれれば先発となります。

 

【③:先発として課題を調整させる余裕は今の巨人にはない】

 ストレートの球速やクイックが課題であるため、本来ならば裏ローテで他の若手投手と併用しながら、抹消期間は2軍で調整させ課題を修正していくのが道筋となります。しかし上記でも述べたように、今の1軍先発陣は1人抜ければガタガタの状況。計算できるのは菅野・山口・メルセデス選手の3人。残り2枠は野上・今村・田口・岩隈の4人。そして6枠目のチャレンジ枠に大江・畠・ヤングマン・高橋選手。2枠については野上選手は1年目も微妙でしたし、岩隈選手はリハビリ明けで未知数。そうなると田口・今村両名が戦力になれないとチャレンジ枠から2名選手を出さなければならないことになります。

 調子がいい大江選手がたとえローテに入ったとしても、1軍帯同1年目でローテを1年間守れる保証はなく、先発投手が故障で離脱すれば替えがきかない状態となるため、高橋選手も投げてもらわなければならない事態となります。今年中継ぎ転向させた吉川選手を先発再転向し、代わりに高橋選手を中継ぎ起用する方法もありますが、これはそれぞれのポジションで投げるために調整してきた両名を崩してしまう恐れのあるため最終手段となります。

 

【まとめ】

 ひとまず先発として起用。駄目ならばチャレンジ枠で他の若手投手とローテーションさせつつ、抹消期間に調整。もし左腕中継ぎ不足になった場合はストレートに力のあり、紅白戦などでは中継ぎ起用の大江選手を中継ぎにまわし、それでも足りず課題が修正させれていないなら高橋選手も中継ぎにまわされます。そして大江選手が中継ぎにまわされれば先発ローテはぎりぎりとなるため、今年の巨人は去年以上に先発ローテに悩まされそうです。