読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

トレード・支配下により整備されてきた巨人中継ぎ陣。今後の補強はどうするべきか

 

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引用:読売巨人軍公式サイト

 今年に入り巨人はシーズン当初に獲得したクック選手と支配下昇格した坂本工選手に加え、シーズンに入り日本ハムとのトレードで藤岡・鍵谷選手を獲得。さらに16年育成7位の堀岡選手を支配下に昇格し、デラロサ選手を新たに獲得しました。他にも田口選手の中継ぎ転換、澤村選手に再々配置転換といった事もありましたが、シーズン当初に比べ中継ぎ陣はある程度整備されてきました。

 それではシーズン当初と8月現在の中継ぎの状態。そして今後どのようなポジションの投手を補強するべきかについて語っていきます。

 

 

 

【シーズン当初と8月現在の中継ぎ陣の違い】

まずは19年シーズン当初の中継ぎ陣について、各ポジションの中継ぎ事情は以下のようになっていました。

左:中川・戸根・吉川光・大江・高木

右:野上・宮国・クック・田原・アダメス・坂本工

 

ロングリリーフ:野上・宮国・大江・吉川光・坂本工

7回:高木・田原・アダメス・戸根

8回:中川

9回:クック

※澤村選手は先発転向。マシソン選手は治療により出遅れ

 

 今にしてみると本当にグロい。勝ちパターンにアダメス選手を含めなければならなかったことを考えるとよくこれで勝てていたと思います。「いやいや、2軍から上げられる選手がいただろう!」という声もあるかもしれませんが、上に挙げていない選手で2軍で投げていた選手は森福・山川(育)・池田・上原・鍬原選手くらいです。このため上に挙げた選手で1軍をやりくりする必要がありました。

 

 本来であれば18年ドラフトで中継ぎを獲得しておく必要がありましたが、18年支配下は1位指名の高橋選手を除き高卒選手のみ。17年支配下はは投手の指名自体が1位の鍬原選手のみ。このため2年連続で中継ぎを獲得しておらず、中継ぎ陣の薄さにつながっています。

 

次に8月現在の中継ぎ陣について。1軍中継ぎは以下のようになっています。

左:田口・高木・中川

右:宮国・鍵谷・澤村・マシソン・デラロサ・大竹

ロングリリーフ:田口・宮国・鍵谷・大竹

7回:高木・大竹・澤村

8回:マシソン・中川

9回:デラロサ

 

 田口・大竹・澤村選手を中継ぎ転換。鍵谷選手は制球難ではあるものの貴重なパワータイプとして重宝しており、デラロサ選手はシーズン途中からの獲得でトミージョン2回と不安要素はありましたが、150超えのストレートと左は逃げるほどに変化するスライダーをコントロールよく投げ込み安定感のあるリリーフとなりました。加えてここに故障で2軍調整の戸根選手、伸びしろの期待される堀岡選手、左のワンポイントなら安定するようになった森福選手、中継ぎとして可能性を示す高田選手が控えています。

 

【今後の補強について】

【中継ぎ陣の分析】

 しかし巨人の中継ぎの薄さは底を抜けただけでまだまだ解消されていません。一方中継ぎ以外も現在の巨人は補強ポイントが多く、中継ぎ補強についても限りがあります。そこで現在の中継ぎで優先的に補強するポイントはどこかを考える必要があります。まずは育成を含めた左右の中継ぎ選手の総数について。ここではあくまで中継ぎ起用がメインの選手のみとします。

左(支):中川・戸根・高木・田口・池田・森福・藤岡

左(育):巽・山下亜

右(支):澤村・大竹・クック・デラロサ・マシソン・鍵谷・宮国・鍬原・アダメス・堀岡・野上・田原・谷岡

右(育):高井・田中優・与那原・ラモス・山川

 

【左中継ぎの補強について】

 まずは左中継ぎ事情について。1軍起用されているのは田口・高木・中川・戸根選手の4名。2軍起用が多いのは森福・藤岡・池田選手、3軍は巽・山下亜選手となっています。こうみると1軍計算ができる左が4名もいるのは揃っているように思えますが、問題は2・3軍です。

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 森福・藤岡選手は年齢と現状を考えると戦力外候補筆頭であり、巽選手は150キロ近い球速で可能性こそ示しているものの怪我による長期離脱が多すぎて計算できない。山下選手も制球難からサイドスローに転向しましたが、現状の成績では来期契約されるか微妙なところ。1軍の4名が怪我をした場合の保険として森福選手は残される可能性はありますが、それでも2・3軍の中継ぎ要員が足りません。

 

 このため左腕中継ぎの補強については、1軍即戦力クラスを上位で獲得するのではなく、2・3軍で投げさせ将来的に中継ぎとして計算できる選手を下位および育成で獲得することとなります。

 

【右中継ぎの補強について】

 

 やはり左の比べると枚数は多くなります。鍵谷・デラロサ・大竹選手のおかげで1軍中継ぎも厚みは増したもののまだ安心とはいえません。具体的にどのポジションが足らないのかについてですが、現在の中継ぎ選手ごとの起用法を見てみます。

ロングリリーフ:田口・宮国・鍵谷・大竹・高木

7回:高木・大竹・澤村

8回:マシソン・中川

9回:デラロサ

 

 これを見てわかるとおり大竹選手や高木選手は役割が被っており、負け試合でもこの二人や田口・鍵谷選手が投げる機会が多くなっています。田口選手や大竹選手などは同点で展開する試合での起用もあり連投も珍しくありません。田口選手至っては7月は16試合に登板。移動日を考慮すれば7月の3分の2で登板していることになり、10連投という異常事態にも発展しています。大竹選手も来年で37歳なことに加えルーズショルダー持ち。来年も確実に計算できるとは限りません。

 またマシソン選手は18年の2年契約時に「これがプロ野球最後の2年になる」と語っており、最後はオリンピックのカナダ代表として出場し野球を引退したいと表明しています。

そして複数の球団と交渉した結果、条件面も踏まえて巨人残留を決断したというマシソン。「ジャイアンツは最終的に自分と2年契約するに至ったんだ」と振り返りつつ、「これが自分のプロ生活の最後の2年になるはずだ。日本では8年間プレーすることになって、それで終わりになるね」とプロ選手としての引き際についても言及している。

 一方、2年契約が満了となる2019年の翌年には東京五輪に出場する夢もあるという。これまでカナダ代表としてWBC出場も経験しているマシソンは「オリンピックは自分の最終目標だね。日本で、カナダ代表のためにプレーして終えることができれば最高だね」と語ったという。

マシソンが巨人残留の舞台裏語る 「これがプロ生活の最後の2年になる」 | Full-count | フルカウント ―野球・MLBの総合コラムサイト― - (2)

  このため今年までで退団する可能性が高く、そうなるとストレートが武器のパワータイプ中継ぎは鍵谷・澤村・デラロサ・アダメス選手の4名のみ。アダメス選手も安定感に欠けデラロサ選手はリリーフとして確立したいため、柔軟に起用できるのは鍵谷・澤村選手の2名のみとなります。

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引用:読売巨人軍公式サイト

 そこで補強ポイントの一つは澤村・鍵谷選手のようなストレートを武器に攻めていけるタイプ中継ぎです。勝ちパターン・同点の場面については澤村・鍵谷選手が役目を果たしているため、負け試合を崩さない大卒・社会人のロングリリーフタイプ。そしてゆくゆくは勝ちパターンへ・・というのが理想となります。

 

 また2軍で中継ぎ登板している右腕投手ですが、最多試合数が34試合の鍬原選手。次が27試合のアダメス選手。そして22試合の堀岡選手、20試合の田原選手、19試合の山川選手と続きます。しかし鍬原選手はまだ抜け球の多さから1軍判断は難しく、堀岡選手と田原選手も敗戦処理止まりです。アダメス選手はこのままでは戦力外候補のため、2軍で投げさせ1軍との交代、将来的な中継ぎ要員も補強ポイントとなります。

 こちらについては高卒・高卒社会人と候補は広く、現在の巨人は先発も足りていないため最初から中継ぎでなく素材型を下位で獲得。その後先発か中継ぎかに分かれていくといった流れとなります。

 

【まとめ】

 左腕については下位で高卒・高卒社会人で将来的な中継ぎ候補を一名。育成で高卒を一名。右腕についてはパワータイプの即戦力候補を1名。下位で高卒もしくは高卒社会人を1名。ただ高卒の場合は先発も不足しているため中継ぎにこだわらず素材型を獲得し、その後の育ち方で分けていく流れとなります。