読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

これまでのシーズンを踏まえた巨人の2021年ドラフト補強ポイントについて

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 開幕からそろそろ2か月となり、1・2軍ともに選手層の厚い部分、薄い部分がよりはっきり見えるようになりました。また新たに台頭してきた選手、一方で去年に比べ目に見えてパフォーマンスが落ちた選手もおり、そのような選手たちを踏まえ、21年のドラフト補強ポイントを支配下、育成それぞれで触れていきたいと思います。

 

 

 

 

【即戦力先発 優先度:高】

想定:菅野ー戸郷ーサンチェスー今村ー井納ー平内

現在:サンチェスー高橋ー今村ー畠ー戸郷

 先発は菅野選手が肘の違和感で離脱、さらに戸郷選手がまさかの大波乱でローテから外れており、去年の表エース2人が不在という不測の事態に陥りました。さらにローテの一人として期待した井納選手も相次ぐ炎上で先発どころか戦力としても計算できておらず、中継ぎへの負担が大きくなっています。さらに今村選手も4月の好調はどこにいったのか、5月は2試合連続で5回持たずに降板。

 一方で高橋選手が5戦5勝、防御率1.80で月間MVPに選ばれるほどの安定した活躍を見せたことが好材料となっています。畠選手も裏ローテならば十分な成績を残していますが、全体的にコマ不足感が否めません。何より戸郷選手が計算できていないのが想定外となっています。そこに菅野選手の故障が重なり、戸郷選手を2軍調整させる間もなく1軍再登録しなければならないほど、先発の駒が足りません。


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 2軍から先発をあげようにも、去年まで2軍ローテだった太田選手・井上選手が故障から手術でリハビリ中。ディプラン選手も戦力外にしたことでローテ3名が不在の状態。育成の山川選手の序盤の故障から生き残りのためにアンダースローに転向しており、まだ中継ぎ止まりとなっています。堀岡選手も中継ぎになっているため、なんと去年のローテで残っているのは横川選手のみ。

 今は調整中のメルセデス選手に降格中の井納選手。さらに育成7位の戸田選手にフル稼働中の育成10位・山崎友選手。さらに6位の山本選手や中継ぎだった田中豊選手を先発に回しなんとかやりくりしている状況であり、2軍ローテも火の車です。

 ただし故障した選手が多いからと言ってその分ドラフトで多く取ればいいかと言われれば、それは違います。あくまで選手生命が危ういほどの故障をした場合のみであり、十分に復帰できる故障であるならば、それは今現在の運用に影響を与えるのであり、来年の運用には作用しません。にもかかわらず故障者が多いからとドラフトで多くとれば、故障者が復帰したときにバランスが悪くなったり、あぶれる選手が出てきてむしろ運用に悪影響を及ぼします。

 理想は即戦力2枚ですが、21年は大卒・社会人投手不作年。それでも1名は確保しなければなりません。

 

 

【中継ぎ 優先度:最高】

1軍中継ぎ

右:平内・桜井・野上・田中豊・ビエイラ・デラロサ

左:大江・戸根・高梨・中川

ファーム中継ぎ

右:堀岡・古川・伊藤優・沼田・山崎友山川鍬原・谷岡・與那原

左:阿部剣

※赤字は育成

 中継ぎは去年指名した1位の平内選手が先発で微妙なため中継ぎ起用となっていますが、こちらでも3試合で防御率14点台と、とても計算できる状態ではありません。4位の伊藤優選手も先発調整後に故障し、現在は2軍で中継ぎ調整を図っています。去年ドラフト指名した選手が誰一人戦力になっておらず、大竹選手も故障により離脱。一時期救世主だった野上選手も酷使がたたり故障しています。


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 2軍中継ぎも1軍に上げれるような選手はおらず、堀岡選手は15試合に登板し防御率4.32。伊藤優選手も制球が改善せず、3試合で防御率6.75。5試合以上登板していて防御率3点以下は12試合に登板し2.82の古川選手。9試合に登板し0.96の谷岡選手のみ。ただ谷岡選手も肩を故障して以降、目に見えて球速は落ちており、変化球主体の投手となっています。育成10位の奈良木選手もトミージョン手術を受けたため、とにかく中継ぎが足りません。

 1軍即戦力を最低1枚。2軍も足りないため、育成でも2名は欲しいところです。

 

 

【高卒投手 優先度:中】

 18・19年は高卒指名に偏り、20年は笠島・木下・阿部選手と育成で高卒投手を3名獲得しました。このため高卒をとる必要があるかといわれれば微妙なところですが、21年は高卒投手が粒揃いなため、表ローテ候補を一人確保したいところです。ただ即戦力投手に比べると優先度は低めです。

 21年は高卒投手は比較的粒揃いで投手はいくらいても困らないポジションであるため、育成で1名獲得しておきたいところです。

【捕手 優先度:低】

 

 20年に7位で萩原選手を獲得し、さらに育成2位で喜多選手。5位で前田選手、6位で坂本選手と、大卒捕手を3名、高卒捕手を1名獲得しました。これは育成捕手を全員戦力外としたことで3軍まで含めると捕手が足りないための獲得ですが、喜多選手が42打数13安打で打率.310と結果を残し、2軍で山瀬選手から正捕手の座を奪う活躍。前田・坂本選手は3軍メインで起用されているため、萩原選手は出場機会の為にファーストメインで起用されている状態です。

 このため新たに捕手を獲得しても飼い殺し状態となってしまうため、選手生命が危うくなるほどの故障をするような選手が出てこない限り、補強の必要はありません。

 

内野手 優先度:中】

1軍内野手

ショート:坂本・吉川尚・湯浅・廣岡

セカンド:吉川尚・若林・増田大

サード:岡本

ファースト:スモーク・香月・中島

ファーム内野手

ショート:ウレーニャ・加藤廉・黒田

セカンド:増田陸・平間

サード:北村・菊田・岡本

ファースト:秋広・萩原

 坂本選手も30歳を超え徐々にショートとしての守備に陰りが見え始めており、胡椒による離脱も増えています。次代のショート候補として獲得した増田陸選手は2・3軍を往復する日々であり、21年3位の中山選手はまさかの骨折により早期離脱。

 1軍では主に吉川尚・若林・廣岡選手の3名がショート・セカンドで起用されていますが、1軍で計算できる二遊間が3名だけというのは不安材料です。増田大選手も去年んの膝の故障が芳しくなく、野球を辞めないと本格的な治療は無理とトレーナーに告げられており、そのためか今季はわずか5盗塁に留まっています。


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 一方で育成では平間・加藤廉の両名が2軍で打率3割越えの活躍。平間選手は引っ張り+長打。加藤選手は実績面がアピールできれば支配下の可能性も出てくるほどであります。湯浅・廣岡選手等ショートが出来る選手が1軍に帯同しており、高卒の黒田・中山選手がリハビリ中でファームのショート要員が足りないため、加藤選手は3軍メインとなっており、2軍でMVPにもなった平間選手のほうが支配下は近くなっています。平間選手はセカンドメインですが、セカンドの頭数が増えれば、その分ショートで起用できる数も増えるため、平間選手を支配下にした場合は優先度は「低」になります。

 ただ誰も支配下昇格しない場合は、故障が増えている坂本選手に代わる即戦力2番手ショートとして、ショート専で守備力重視の巧打型の獲得が求められます。サード・セカンド・ファーストについては補強ポイントではありません。

 また育成指名については、黒田選手の回復次第ですが、ショートの高卒選手を育成で1名といったところです。

 

【外野手 優先度:高】

1軍外野手

ライト:梶谷・松原

センター:丸・重信

レフト:ウィーラー・テームズ・亀井

ファーム外野手

ライト:保科・立岡・伊藤・松井

センター:八百板・加藤

レフト:石川・山下・

 

 

 長年不在だっったライトのレギュラー。FAで獲得した梶谷選手。さらにウィーラー選手が好調だった一方、センターの丸選手が不調のトンネルに入っています。そんななか、梶谷選手が故障により離脱。ただ去年からライトスタメンを勝ち取っていた松原選手が代わりに機能しており、重信選手も39打数13安打1HRで打率.289と、打席は少ないながらも2割後半を維持しており、去年に比べると外野に厚みが出ています。

 

 一方で課題となっているのが右打ち外野手の少なさ。1・2軍含めても陽・石川の2選手のみ。また亀井選手が目に見えて衰えを見せており、今年の引退候補の一人。また陽選手も契約最終年ながら3軍暮らしで大減俸もしくは戦力外候補。テームズ選手も元々は外野手だったものの、ここ数年はファーストメインだったため、2軍でのレフト守備もエラーを連発し、1軍では1試合で故障離脱。立岡選手はセンターを守れてそれなりに打てる選手であるため、ドラフトでの補強次第で残すか戦力外とするかが変わりますが、それでも外野手だけでも最低3名が引退・戦力外候補となっています。

 このためライトもしくはセンターを守れる大卒・社会人外野手を1名。さらに右打ちで長打力があるライト・センターメインの高卒外野手を1名となります。育成外野手は現在加藤壮・保科・山下選手の3名のみ。ティマ選手は来日未定のため数に入れません。この3名のみで戦力外の可能性は低いため、育成での獲得は0としています。

 

【まとめ】

 投手については即戦力先発1名。中継ぎ2名。育成でも2名。高卒投手が育成で1名。内野手は育成選手を支配下しない場合はショートが守れる巧打型を1名。外野手はセンター・ライトの即戦力を1名。右打ちのセンター・ライトの長打型を1名となっています。

 去年かなり育成選手をとっており、今年の育成選手での戦力外候補はあまり数がいないため、例年に比べると少なめです。