「全日本大学野球選手権・1回戦、創価大6-1大工大」(10日、東京ドーム)
1回戦4試合が行われた。今秋ドラフト候補の最速154キロ右腕の創価大・杉山晃基投手(4年・盛岡大付)が7回を5安打1失点の好投で同大会初勝利。大商大は同じくプロ注目の大西広樹投手(4年・大商大高)が1失点完投で2回戦進出に貢献した。23年ぶりに出場の愛知工大も初戦突破。神宮で予定されていた3試合は雨天順延となった。
リーグ22連勝中の杉山が全国舞台での悔しさを晴らした。直球の走りが悪いとみるや、フォークなど変化球を多投。ピンチではギアを上げ、自慢の直球で押した。昨年の同大会は1回戦で八回途中5失点でKOされた。昨秋の神宮大会も初戦で涙をのんでおり、「全国で勝つ難しさを分かっていたので」と勝利の味をかみしめた。
アクシデントにも動じなかった。初回1死一塁から二盗を刺そうとした萩原哲捕手(3年・日南学園)の送球が右脇腹付近に直撃。初めての経験に苦笑したが「あれで力が抜けて変化球がまとまった」とプラスに変えた。この日の最速は149キロ。オリックス・古屋編成部副部長は「排気量が違う」と潜在能力の高さを評価した。
11日の2回戦では前年覇者でプロ注目の津森宥紀投手(4年・和歌山東)擁する東北福祉大と激突。初戦突破で雪辱を果たしたエースは「チャレンジャー精神で」と連投も辞さず。2番手で登板した望月大希投手(4年・市船橋)、小孫竜二投手(4年・遊学館)の三本柱で王者に挑む。
【杉山選手の紹介】
183センチ88キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク・チェンジアップ
ノーワインドアップからあまりタメをつくらず柔らかく腕を使ったフォームから最速154キロ、常時140中盤のストレートを投げ込む右腕投手。落差あるカーブでカウントを整え、打者の近くで一気に変化するスライダー、そして速球のフォークで空振りを奪います。ストレート主体に力押ししていく投球術が武器となっていますが、アウトコースへのカーブや落差あるフォークでも空振りが奪え、ストレート・変化球どちらでも空振りを奪えています。
創価大では先発・中継ぎ両面で起用されており、2・3年で最多勝を記録。終盤になっても球速が落ちない馬力やストレートの力強さ、変化球のキレを高く評価されています。
目指すは160キロ!創価大 杉山晃基投手ブルペン投球!2019ドラフト候補!
【指名への課題】
ストレートの制球がまだまだ不安定なところがあり、シュート回転することも多く右打者に当たりそうになるほどシュート回転することがあります。アマチュア野球のゾーンの広さに助けられていますが、プロ入り後はストレートでのストライク率が大きく落ち込む懸念があります。
ストレート自体は非常に力があるものの全体的に高めに集まることが多いため、空振りは奪えているものの見逃しはとれておらず、確実にストライクが欲しいときに使える球にはなっていません。球速の割に真ん中に集まるためバットに当てられることが多く、空振りを奪えたものもシュート回転したものを右打者が空振りしたものが多く、安定して空振りが奪える球ではありません。
スライダー・カーブはキレもよく比較的制球できているため、ストレートのコントロールアップが今後の課題となります。
【指名順位予想】
ストレートのコントロールに課題があるため即戦力とはいえませんが、そこまで時間がかかるタイプでもないため、2軍で回しながら1軍ローテが厳しくなってきたらお試しで投げさせるといったタイプとなります。変化球のキレ、スタミナや馬力と光るものを持っているため素材としても高く評価されます。望月・小孫選手と同年代に投手がそろっているためあまり酷使されていないのも素材としての評価ポイントとなります。
先発候補としての獲得となるため指名順位としては2~3位の上位指名予想となります。