◇29日 社会人野球日本選手権1回戦◇トヨタ自動車1-0マツゲン箕島(京セラドーム大阪)
社会人野球の日本選手権第5日は29日、京セラドーム大阪で1回戦の3試合が行われ、2大会ぶりの優勝を目指すトヨタ自動車(愛知)は1―0でマツゲン箕島(和歌山)に競り勝った。栗林良吏投手(23)=名城大=が毎回の13奪三振で完封した。
トヨタ自動車の応援団がルーキー右腕にチェッカーフラッグを振った。名城大から入社した栗林が115球で4安打完封。MAX151キロの速球を主体に、毎回の13三振を奪った。入社以来、初の完封で奪三振数も最多。マウンドでは限りなく声を張り上げ、最後はグラブをたたいてガッツポーズするなど喜びを爆発させた。
2安打で招いた1回1死一、二塁が唯一のピンチ。ここで相手の4、5番を連続三振に仕留めて波に乗った。
「初回から全力で行った。1回はフォークを打たれたのが悔しくて、(4、5番には)速球中心でいった。あのピンチがあったから、点をやらないようにしようと気合が入った。最後まで投げきれるとは思っていなかったのでうれしい」
昨年はドラフト指名されず、社会人球界へ進んだ。抑え役の36歳・佐竹の力を借りることもなく投げきり、藤原監督の期待に応えた。
入社後、名城大時代に頼り切っていたスライダーを封印した。球速が落ちてしまうという理由で「要らないから」と言われたからだ。代わりにカーブ、カットボール、フォークの3種類で、MAX153キロの速球を生かした。
相手がクラブチームとはいえ、気迫あふれる投球。トヨタの快進撃にはずみがつきそうだ。
昨年指名漏れのトヨタ栗林良吏13K完封!最速151キロ、抑えの36歳佐竹にマウンド譲らず(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース
【栗林選手の紹介】
【2020ドラフト候補】トヨタ自動車 栗林良吏 13奪三振完封
178センチ77キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク・カットボール
経歴:愛知黎明ー名城大ートヨタ自動車
セットポジションから足を上げ、そこからあまりタメを作らず力みのない腕の振りから最速153キロ、常時140前半から中盤のストレートを投げ込む右腕投手。球速が落ちることから決め球だったスライダーを封印しており、現在はカーブをメインに左打者には外に逃げるフォークとインコースへのカットボール。右打者へはストレートとカーブのコンビネーションで打ち取っていきます。力みないフォームから投じられるストレートは球速以上の伸びが感じられ、加えてコースをつけるコントロールで空振りを奪っていきます。
大学時代は3度のベストナインにも輝いた実績から上位候補として注目されるもまさかの指名漏れ。トヨタ自動車へ就職後は1年目より先発として起用されるようになると、社会人野球日本選手権では2試合15イニングで被安打10奪三振22自責点0で防御率0.00という優秀な成績を収めています。20年の即戦力先発候補の一角として期待されており、上位指名が予想される一人です。
【指名への課題】
問題は右打者への課題。左にたいしてはカット・フォークを有効に使えるため、ストレートも芯に当てた当たりが少なく、問題なく打ち取れています。
一方で右にたいしてはスライダーを封印しているためカーブの割合が非常に多くなっており、捉えられた球は多くがカーブでした。滞空時間が長いタイプのカーブのため踏み込みやすく、アウトコースの高めに抜けたカーブを力で持っていかれ痛打されています。
使える球が少ないため力みの少ない左に比べ力んだ投球が多く、シュート回転して頭部近くに抜けることが多くなっています。カットとフォークを使う場面も見られましたが、決まるときと最初から見逃されるときとがはっきりしており、この2球種の精度向上が鍵となります。
このため右打者への勝負球をどう増やしていくかが今後の課題となります。
【指名順位予想】
スライダーを解禁出来れば、右打者にとって外に逃げるため振りにいけず、カーブの見逃しもより奪えるようになります。ただし球速が落ちる問題を解決できないと、今度は左打者を打ちとるためのストレートの球威が落ち左打者への対応が課題となってしまいます。
クイックになると制球が甘くなる節があるため、使える球が限られる右打者への対応ではボールカウントも増え、甘いコースへの抜け球も増えています。右打者にも使える変化球が安定して計算できるようになれば即戦力先発として1位指名候補となります。ただ現状の指名順位は単独1位~2位候補といったところです。