「発掘と育成の元年」にふさわしい男は、再来年の“即戦力”を目指す。
巨人ドラフト2位の東海大・山崎伊織投手(22)が10日、平塚市の同大学で大塚球団副代表らから指名あいさつを受けた。6月にトミー・ジョン手術を受けた最速153キロ右腕を、同副代表は「ケガしなければ3本の指に入っている評価。来年はリハビリに充ててもらって、来年のドラフト1位の選手を2人獲得したという形で期待してます」と評した。来季終盤に中継ぎで1軍を経験させ、再来年のローテ入りを望んでいる。
球団からの思いを受け山崎も焦りはない。現在はネットスローを再開しており「しっかり治してから。自分で制御をかけながら頑張っていきたい」。坂本の背番号「61」時代のユニホームを持つほどの巨人ファンは、大学の先輩でもある菅野との対面を心待ちにし「日本を代表するピッチャー。野球のことを一から聞きたい」と目を輝かせた
【山崎選手の紹介】
<ドラフト2020 読売ジャイアンツ(巨人)2位指名>東海大学 山崎 伊織 投手(明石商)【3年】:侍ジャパン壮行試合 高校日本代表VS大学日本代表
181センチ72キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カット・ツーシーム・シュート
ワインドアップからゆっくりと大きく足を上げ、振り下ろす直前に重心を下げるフォームから最速153キロ、常時140後半のストレートを投げ込む右腕投手。大きく変化するスライダーに小さな弧を描くカットボールでストライク先行のカウントを作っていく攻めた投球を売りにしています。
その高い完成度から当初からドラフト1位候補とされてきましたが、肘を故障しTJ手術を決行。4年のシーズンをほぼノースローに終わり、ここ数年の東海大先発選手のようにプロ志望は出さず社会人で再起を狙うと表明していました。
しかし直前になりまさかのプロ志望届を提出。1年以上投げれないことが確定しており、さらに所属チームで大麻問題があり指名に及び腰になっていました。
【なぜ指名されたのか】
手術によってドラフト1位からは落ちましたが、復活できれば競合ドラ1クラスだった即戦力投手。TJは手術後最低でも1年は実戦投球ができないため、巨人としては来年のドラ1を獲得した、と評しています。菅野選手のメジャー挑戦の可能性がある状態でその後を引っ張るエース候補が不足しており、2位枠でエース候補を獲得した形となります。
ただTJは術後も感覚が戻らず劣化・引退してしまう選手も珍しくありません。山崎選手は6月に手術を受けて現在はネットスロー段階まで来ているため、ある程度術後の経過はいいことを前提にしているとはいえ、即戦力投手が狙えた2位枠で来年戦力として見込めない大卒選手の指名は巨人としても賭けのドラフト指名です。
【1軍起用への課題】
首脳陣としては来年中継ぎでお試し起用。再来年に先発として本格起用を見込んでいるため、少なくとも来年までは1軍でなげられなくても想定内となります。しかし再来年になっても1軍が見込めないとなれば育成落ちになる可能性があります。
ただ投球していた当時はストレートの球威に物足りなさがあり、高めに抜けると簡単に打ち返されているため、リハビリ期間に体を大きくしてストレートの球威をつけることや、スライダーやカットは大きな武器とするには変化量が普通のため、今のスライダー・カットメインの投球ではプロ入り後打ちとるのに苦労します。
菅野・山口・戸郷・畠選手とここ最近の巨人の右腕投手はフォークを武器にしているため、縦のストライクゾーンを狙う変化球が多い山崎選手もフォークを覚えられればさらに投球の幅が広がります。