<関西学生野球:同大3-1近大>◇13日◇第3節1回戦◇甲子園
同大のドラフト候補、真野凜風(りんか)投手(4年=天理)が1失点完投で近大打線を封じた。
4安打1四球、118球という内容。最速は146キロ。「この1週間で修正できた。球速もしっかり出ていたのが一番。悪い投球をしても信頼して1試合目を任せてもらったので、責任感を持ってエースの自覚を持って投げました」と充実の表情だった。
第1節の関学大戦で打ち込まれたが、前節の京大戦で調子が戻らないながらも大学初の完投を果たした。今回は登板2日前に花野巧監督(69)と異例の猛特訓。肘が低く出る悪癖を直すために150球も投げ込んでフォーム修正した。前日にも30球近く投げ、自信を持って臨んでいた。2試合連続で1試合投げきり、エース復活を印象づけた。
天理では軟式野球部だった異色の存在だ。甲子園とは当然、縁遠かっただけに昨年初めて踏み入った際は「大興奮して写真も撮っちゃいました」。だが今回は落ち着いて通常運転ができた。昨年は大学日本代表候補にも選ばれ、関西屈指の存在に成長した。11年秋以来、11年以上も遠ざかっているリーグ優勝へ、最速152キロ右腕のエンジンがかかってきた。
【真野選手の紹介】
187センチ81キロ 右投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ・ツーシーム・カット
セットからあまり足を上げずに上半身をあまり突っ込ませずに腕を振るフォームから最速152キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。120キロ台の縦と横に動く2種類のスライダー、100キロ台のカーブ、130キロのツーシーム、120キロ台の左打者に小さく食い込むカットボール、130キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器はコースに投げ込むストレートと縦・横のスライダーとのコンビネーション。使い分ける二種類のスライダーでカウントを稼ぎながらコースに投げ込むストレートと外に逃げるチェンジアップで打ち取っていきます。また普段は140前半のストレートですが、ランナーが出てピンチになるとギアを上げ140中盤のストレートで押していきます。
チームでは主に先発で起用。天理校時代は進学コースに所属したため学業との両立のため軟式野球部でプレー。その後同志社大のトライアウトを受け入部すると、高校時代は130キロ台だった球速は体づくりに成功し最速152キロまで成長。現在は平均球速150キロ前後を目指しさらなる体づくりに取り組んでいます。
さらなる成長が期待される素材型投手として数多くのスカウトが注目しています。
【指名への課題】
課題は変化球の精度。真野選手はストレートで押していく投球スタイルのため、基本的に相手打者は引っ張りを主体としてうちに来ています。それに対し守備シフトを引っ張りシフトにしたり、インコースへの変化球で引っかけさせるなど対策をしていますが、引っ張りゆえに反対方向に打たれるとシングルコースでも二塁打にされ失点する場面が目立ちます。スライダーが高めに浮くことも多いため、特に左打者へのスライダーが高めに浮きレフト方向へ打たれ得点圏にランナーを抱えるところから失点しています。
またランナーが出るとクイックでギアを上げますが、力んでしまうため指に引っ掛かりボールになることも多く、変化量も小さめの変化球で空振り・見逃しを奪う球が多いため、変化球を活かすためにも主体となるストレートのレベルアップが鍵となります。
【指名順位予想】
大学に入り大きく成長した素材型であり、即戦力とするには決め球であるスライダーの精度アップ。またスライダーがばらつく日は決め球に苦労しストレートが力押しになりコントロールが悪化することから、スライダー以外の決め球も求められます。特にスライダーが決まらないと左打者への攻めに苦労しているため、カット・チェンジが精度アップすれば先発即戦力として評価されます。
現状では3~4年後の先発候補の素材型であるため、5~7位の下位指名候補となります。