<練習試合:高校日本代表2ー1早稲田大(7回制)>◇25日◇都内グラウンド
高校日本代表の初の対外試合が行われ、チェンジアップでの緩急が持ち味の安田 虎汰郎投手(日大三)が3番手で登板した。日大三(東京)の小倉前監督、三木監督が観戦。恩師らが見守る中での投球で、2回を投げてソロを打たれての1失点で終えた。
安田は「小倉さんと三木監督がお見えになっているのはマウンドからわかりませんでした。試合が終わりコーチに言われ、すぐさま挨拶してきました」と試合が終わると一目散に挨拶に向かっていた。 安田は、小倉前監督と三木監督への挨拶を終えると「監督さんにはお前らしい一発だったと言われ、小倉さんには自信を持って頑張れと一言貰いました」。投球内容については「初球の甘めに入った直球を本塁打にされたのが今日の一番の反省点です。右打者に対する初球の入りはもっと考えていかないといけない」としっかり反省していた。 某スカウトは安田の投球に対し「あのチェンジアップは誰でも投げられるような球じゃない」と高評価している。 安田の「伝家の宝刀」チェンジアップが世界の舞台でどこまで通用するのか期待したい。
「誰でも投げられるような球じゃない」 U-18代表・安田 虎汰郎の伝家の宝刀にスカウト陣から称賛の声(高校野球ドットコム) - Yahoo!ニュース
【安田選手の紹介】
176センチ76キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ
ノーワインドアップから上半身を突っ込ませオーバースローの角度から投げ込むフォームから最速143キロ、常時130中盤のストレートを投げ込む右腕投手。110キロ台のスライダー、100キロ台のカーブ、110キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器はカウント・決め球両方に使えスカウトから高く評価されるチェンジアップ。ストライクの軌道ながら打者の近くで大きく落ちるフォークのような軌道を描き、ストレートと同じ軌道で投げ込まれるため、打者はストレートとチェンジ両方を意識しなければならず、130キロ台のストレートでも振り遅れる場面が目立っています。リリースポイントが打者に近いことも球速以上に速さを感じる理由となっています。
チームでは主に先発で起用。もともと関節が柔らかくしならせて腕を振れるためチェンジアップを得意としていましたが、OBである吉永健太朗氏からシンカーを教わりそれをチェンジアップに応用したことでさらにキレがアップ。魔球と称される軌道を描く独特のチェンジアップを習得しました。
また中学生までは最速120キロと注目されておらず、球速でなくキレとスタミナで勝負するために毎日3キロのランニングを実行。監督からチームに誘いを受けたきっかけである真面目でさライニングを続け、チームでエースナンバーを背負うほどの成長を見せました。
大学進学を予定しており、大学でさらなる成長が期待されます。
【指名への課題】
本人は球速よりもキレを目指しているため球速自体はあまり速いほうではなく、右腕ながら変化球は110キロ台と遅めです。それでもストレートを見せ球にチェンジアップを使い、この2種を意識した打者にカーブのようなスライダーを投げカウントを稼ぎますが、球数が増えてくるとどうしても球速が落ち込んでしまい、フォームに粘りがなくなりリリースが早くなることから、チェンジアップが100キロ台のなるうえ変化が早くなり、打者が見やすくなるためチェンジアップを見逃される割合が増えています。
チェンジアップが見逃されると打者は明らかにストレートに対するスイングに迷いがなくなり、外野深くに飛ばされる当たりが多くなっています。スライダーは真ん中に集まりやすいためスライダーを狙われて流し打ちされる場面もあり、チェンジアップを見切られると組み立てが難しくなっています。
【指名順位予想】
進学を予定しているためプロ志望届を出す可能性は低く、大学で目指す路線はスタミナの向上。そして球は速くないと語っているため、大学でどこまで球速を伸ばせるかが鍵となります。制球型であっても大卒となれば最低でも140前半は必要となってくるため、今の投球スタイルを崩さずに成長性を見せることが重要となります。
シンカーに近いチェンジアップ・スライダー・カーブと変化量が大きい球が多いため、スプリット・ツーシーム系の詰まらせる変化球で右打者のインコースをつける球も習得し、より制球型として投球パターンを確立したいところ。
指名順位としては5~7位。魔球と称される大きな魅力であるチェンジアップを持っていますが、先発でも平均140後半を投げる投手が当たり前になっているなかで、本人も球速に自信がないため、130後半から球速をどこまで伸ばせるかが指名の課題であり、今後上位指名となるかの鍵となります。