読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

巨人は2023年1位指名を中大・西舘勇陽選手に決定。競合の可能性はあるのか

 巨人が26日に行われるドラフト会議で中大・西舘勇陽(ゆうひ)投手(21)を1位指名する方針を固めたことが24日、分かった。この日、東京・大手町の球団事務所で阿部慎之助監督(44)も入ってスカウト会議を実施。午後3時過ぎに取材対応した吉村禎章編成本部長(60)は「全く決まっていません」と説明したが、その後の追加会議で決定に至ったとみられる。新監督は同じ中大出身。大学球界屈指の即戦力右腕を最上位に位置づけた。

【巨人】中大・西舘勇陽のドラフト1位指名決定!155キロ即戦力右腕、競合なら阿部慎之助監督がくじ引きの大役 : スポーツ報知

 

【24日のスカウト会議で1位指名が決定】


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 巨人は24日に1位指名を決めるスカウト会議を実施。最初の会議では1位指名候補が決まらず当日決定で発表していましたが、その後の追加会議で1位指名を中大・西舘勇陽選手に決定しました。

 今年の1位指名はなかなか決まらず、即戦力投手を指名する方針こそ示していましたが、水野スカウト部長も今年は迷うと語っていた通り、どの球団もぎりぎりまで1位指名に迷っている状態となっています。

 

【なぜ西舘選手となったのか】

 中央大・西舘選手は9月29日のスカウト会議では桐蔭横浜大・古謝樹投手、国学院大・武内夏暉投手、東洋大・細野晴希投手、青学大・常広羽也斗投手の4名があがっており、西舘選手は名前が挙がっていなかった選手でした。なので1位指名候補から外していました。

 しかし水野スカウト部長は西舘選手はずっと追っていた選手と話しており、上記4選手を含め横一線に評価が並んだ中で新任の阿部監督の出身大学ということも多少影響したいと語っています。

 今年の巨人の補強ポイントは投手。先発・中継ぎともに薄く1位候補は早くから即戦力投手と位置付けられていました。その中で西舘選手は3年生まではリリーフ起用が主でしたが、4年生で先発として起用されるとフォーム矯正が成功しコントロールが向上。4年秋は四死球数が目に見えて改善し、変化球のキレも加わり安定感が向上しています。

 リリーフ・先発両面で起用されているため、先発でみれば菅野ー戸郷ー山崎ーグリーメンー赤星選手と並びますが、菅野選手は年齢もあり故障のリスクが高い選手。そして一人抜ければ次は安定性に欠ける横川選手やスタミナに課題の松井選手。2巡目までもたない井上選手と安定して計算できないため、先発層を厚くするのは必須でした。

 またリリーフも大勢選手の不調が続いており、左はバルドナード・中川選手が勝ちパターンに入りますが、右のパワータイプ中継ぎが不足しており、リリーフの補強も求められています。このため先発・中継ぎどちらでも可能性を残す西舘選手が1位指名として選ばれました。

 ただし4年生になっても細かなフォーム矯正を行っており立ち上がりは安定しなかったりと即戦力としてはもうひと伸びが欲しい選手。リリーフなら1年目からある程度は見込めますが、先発ならば1年目からフル回転というのは期待しない方がいいでしょう。

 

 

【競合の可能性は】

現在1位指名を公表しているのは以下の6球団となっています。

中日:ENEOS・度会隆輝

巨人:中央大・西舘勇陽

広島:青山学院大・常廣 羽也斗

横浜:即戦力選手(投手・野手問わず)

ヤク:即戦力投手(公言しない)

阪神:関西の投手(岡田監督が漏らした?)

SB:国学院大・武内夏暉

西部:国学院大・武内夏暉

ハム:青山学院大・常廣 羽也斗、国学院大・武内夏暉、東洋大・細野晴希(新庄監督が話した特徴と合致する3投手)

楽天:即戦力投手

ロッテ:即戦力選手(公言しない)

オリ:不明

 

【可能性があるのは楽天とヤクルト】

 この中で競合の可能性があるのは楽天楽天は左先発については早川選手や若手でも松井友選手や藤井選手が起用されてきているものの、右は岸・田中・則本選手はベテランの域に入っており、中堅・若手層も滝中・藤平・荘司選手とピリッとしない状況。リリーフの松井選手がメジャー挑戦を表明しておりリリーフも補強対象となります。その中で地元・花巻東出身で右で先発・リリーフとできる西舘選手は補強ポイントとなっています。

 ヤクルトは競合覚悟で即戦力投手。それも完成度の高い選手と語っています。一番の候補はコントロールのよい国学院大・武内夏暉選手が候補。2位も即戦力投手と語っており、2位で即戦力左腕となると選択肢がかなり狭まるため、1位で左腕・2位で右腕となれば戦略も練りやすいことからこれが現実的な路線ですが、当日他球団の競合次第では競合が少ない中央・西舘選手を狙う可能性があります。

 

 

【それ以外の球団の動向】

 横浜は投手・野手を問わず即戦力が候補。野手であれば宮崎施主の後継者となるサード候補として明治大・上田選手を挙げており、投手であれば今永選手がメジャー、石田選手がFA対象のため、左腕先発が2名抜ける可能性があります。横浜は公表せず一本釣りを狙い傾向が強いため、現状でどこも公表していない桐蔭横浜大・古謝選手辺りの一本釣りを狙う可能性があります。

 阪神は先発は青柳ー西勇ー大竹ービーズリーー村上ー伊藤ー才木選手とセリーグ1安定したローテで右は西純・才木・村上選手と期待の若手がローテを担えるほどとなっています。一方左は人的保障の大竹選手が大きく成長し伊藤選手が安定。2軍でも1年目の門別選手や高卒社会人の富田選手が活躍しています。このため中途半端に即戦力にいくよりも、エース候補となるスケールの大きい選手が指名候補となり、今年の1位候補で素材型となれば大阪桐蔭・前田選手や東洋大・細野選手、青山・常廣選手が対象。また捕手が梅野・坂本選手以降目が出てこないため、上武大・進藤選手を一本釣りというサプライズもあるかもしれません。

 

 オリックスは山本選手がメジャー挑戦。山﨑選手がFAの可能性を示しており、先発ローテが2名抜ける可能性があります。しかし若手は山下選手が定着し、育成出身の東選手が新たな先発ローテとして台頭。22年1位の曽根選手も初勝利を挙げており、次々と先発が出てくる投手育成の高さを見せています。

 一方野手は森選手をFAで獲得し外野で起用するなど一発ある打者を求めており、去年も2位で高卒スラッガーの内藤選手を指名。頓宮選手が首位打者を取る成長を見せていますが、内藤選手は大怪我で10月にようやく復帰。17年1位の太田選手も期待された結果は残せておらず、投手力で勝ち抜いてきたため得点力の強化を図りたいところです。このため補強ポイントは山本選手が抜ける+育成力を生かしたスケールのある投手。もしくは打力のある野手となります。

 ロッテはCSの終盤で投手の差で負けたと監督が述べており、今年も投手を補強してくる可能性があります。一方野手は本塁打数は3位タイ。打率は4位。失策数は5位。ポランコ選手が本塁打王こそとったものの、チーム2位は14本の山口選手とスラッガーが育っていません。今年のドラフトは2位以降でも即戦力投手を狙えるため、1位で明治大・上田選手や慶応・広瀬選手といった打撃力の高い野手の一本釣りも見込まれます。

 

 日本ハムはその年で特に目立った選手を狙う傾向にあり、そこから大卒投手3名に絞ったと語っています。そこで今年の目玉となればスケールならトップクラスの東洋大細田選手。安定感抜群の国学院大・武内選手。全国優勝に大きく貢献したNo.1右腕の青山・常廣選手の3名のため、ここも巨人との競合の可能性は低そうです。