読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

読売ジャイアンツが2024年にとるべきドラフト候補選手

◇26日 プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD
 2023年は大学生投手に有力候補が集中したが、24年は大学生野手がドラフトの中心になりそうだ。
 一番の目玉は明大の遊撃手・宗山塁(広陵)。2年時から大学日本代表のスタメンに名を連ね、花も実もある守備と高い打撃センスをスカウトも絶賛する。
 外野手では大商大・渡部聖弥外野手(広陵)が逆方向にも放り込むパワーを含めて走攻守がそろい、同大OBの谷佳知さん(オリックスなど)になぞらえて「谷2世」との呼び声が高い。
 1年春にいきなりシーズン4本塁打を放った青学大・佐々木泰内野手県岐阜商)、高校通算44本塁打を放った早大・吉納翼外野手(東邦)、早大で4番に座る印出太一捕手(中京大中京)も指名候補に挙がる。
 大学生の投手では関大の左腕・金丸夢斗投手(神港橘)が1位候補。最速157キロ右腕の法大・篠木健太郎投手(木更津総合)、全国未経験ながら先発で常時150キロ台を計測する愛知工大・中村優斗(諫早農)も上位指名が期待できる。
 高校生では将来性豊かな大型投手が目立つ。前橋商(群馬)の清水大暉投手、知徳(静岡)の小船翼、立命館宇治(京都)の十川奨己はいずれも身長190センチ超。作新学院(栃木)の右腕・小川哲平は1年時から注目を集める大器で、大阪桐蔭の最速154キロ右腕・平嶋桂知は投打で評価が高い。
 社会人では大学時に指名漏れを経験したNTT東日本・野口泰司捕手(名城大)、日本生命山田健太内野手(立大)がプロ入りを狙う。

【日本一早い!?2024年ドラフト展望】明大の遊撃手・宗山塁が目玉、大商大・渡部聖弥外野手など大学生野手が中心に:中日スポーツ・東京中日スポーツ

 

【24年ドラフト市場の傾向】

 

 

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 上記記事でもふれたように、24年ドラフト市場は大卒投手・野手に1位候補が集中する年。投手であれば法政大・篠木 健太郎選手は最速157キロ、常時150キロ前後で先発としてフル回転するパワーピッチャー。左腕では最速153キロに安定感が武器の関西大・金丸 夢斗選手。

 野手では3年時点で1位候補とされる明治大・宗山 塁選手や1年生からレギュラーになると1年春に35打数13安打4本塁打と注目された青山学院大・佐々木 泰選手。同じチームには西川 史礁選手もおり、こちらは3年春から本格出場ですがすでに4本塁打を放っており、こちらも打てるスラッガーとして注目されています。

 大阪商業大・渡部 聖弥選手は通算5本塁打、肩と足もあり1~3番を打てる中距離バッターとして上位候補は間違いないと評価されている打てる外野手。

 高卒は23年よりも素材型が目立つ年のため、即戦力を狙うなら1位で誰を取るかが非常に重要となる年になっています。

 

【巨人の現有戦力から見る指名の傾向】

【先発投手】

1軍先発:戸郷ー山崎ー菅野ーグリーメンー赤星

  次点:松井ー横川ー井上ー直江ー森田ー又木ー西舘

 

 今年は戸郷選手が12勝5敗とチーム最多勝WBCの影響からか球速が目に見えて落ち込み故障が心配されたものの、脱力フォームを身に着けた結果でスタミナ管理ができたことで投球内容が安定しました。

 また1軍稼働2年目の山崎選手は2桁勝利となる10勝5敗を達成。140後半のストレートに多彩な変化球で的を絞らせず、成長を見せました。

 菅野選手は故障が目立ち、去年の10勝7敗から今年は4勝8敗と大きく成績を落とす結果に。ですがシーズン後半では球速を出せるコツを掴めたと語ったとおり、150前後を投げ込むパワースタイルが復活。しかし年齢もあり、来年も故障になる離脱を前提にする必要があります。

 メンデス選手はメキシカンリーグから獲得された素材型候補で春先にいきなりの故障で不安視されたものの、そこで体を絞り復活。16試合を投げ5勝5敗ながら防御率は2.07。

 さらにグリフィン選手はメジャーでは中継ぎメインだったため先発ローテは不安視されたものの、20試合に登板6勝5敗防御率2.75.一時は守備時の故障と安定感を失い不安視されたものの、新たにフォークを覚え投球幅が向上。グリフィン・メンデス選手ともに残留が確定したため、来季も先発ローテとして期待されます。

 赤星選手は決め球に欠ける投球で5月までは0勝4敗防御率も6点台と壁に悩んでいました。そこでファーム総合コーチだった桑田コーチのもとパワーカーブを習得。カーブを安定して投げられるようになったことで緩急ができ、1軍再登板の8月以降は安定感が目に見えて向上。最終的に5勝5敗にまで戻す好投を見せました。

また、阿部監督は来季のチーム方針について「とにかく競争して自分で掴み取ってもらおうかなと。来年多分、チームの決め事として二軍で無双していても一軍で先発させない。まずは敗戦処理という順序があると思うので、そこで抑えてチャンスを掴んでもらいたいなというのはあります」と話し、ドラフト1位の西舘に対しても「最初は先ほど言ったルールに従って、二軍にいれば敗戦処理から行かせます。本当はいいところでと思うんですけど…」と述べていた。

巨人・阿部監督「元気でしたら今のところ…」新人選手たちの春季キャンプ一軍スタート示唆(ベースボールキング) - Yahoo!ニュース

 

 

 次点のドラフト組3名については、阿部監督がまずは1軍に慣れさせるために2軍で好投した先発もまずは中継ぎで起用し、結果を出せば先発で起用と語っています。ただこの発言はスタートが2軍だった場合のため、1軍スタートを勝ち取れば先発ローテや勝ちパターンでの中継ぎといった起用となります。

 松井選手は育成1位ながら1年目で支配下を勝ち取り、初登板初白星を獲得したものの、スタミナ不足が大きな課題となりました。横川選手も同様にスタミナ切れで夏ごろに打ち込まれる試合が目立ったため、この二人は2軍でスタミナを伸ばしながら、穴ができた場合に起用となります。直江選手もスタミナに課題ながらシーズン後半では2軍・WLでも先発として起用されているため、先発候補となります。

 井上選手の起用は上記3人とは異なり、1軍では中継ぎスタートが濃厚。若手3選手のなかでも目に見えてメンタルに課題があり、一方で球威が一番あるのも井上選手。まずは1軍中継ぎでロングリリーフで経験を積みながら夏ごろに改めて先発挑戦となります。

 現在の1軍先発で考慮すべき問題は菅野選手の引退と戸郷選手のメジャー挑戦の可能性。山﨑選手が次代のエースとして成長し西舘選手を未来のエース候補として獲得しましたが、やはり左先発の薄さは解消されていません。森田・又木選手もエースというよりも、層を厚くするための即戦力補強のため、左の表先発候補が対象となります。

 

2軍:松井ー横川ー井上ー直江ー田中ー京本(育)ー高橋礼ー田村(育)ー堀田

3軍:木下(育)ー森本(育)ー鴨田(育)

 

 2軍・3軍は1軍次点の選手に育成選手の中で安定した投球を見せる京本選手。さらにSBからトレード加入した高橋礼選手。1軍では中継ぎだったものの、秋以降は新たに変化球を覚え先発転向を目指す田中選手。育成2年目の田村選手に伸び悩む堀田選手が候補。3軍もはリハビリ組や高卒1~2年目組が中心のため2~3イニングで降りる選手が多いものの、その中で5イニング前後投げることが多いのが木下・森本・鴨田選手の3名。

 阿部監督や水野スカウト部長は高卒組が順調に育っているため即戦力にシフトしたと、現在の高卒組を高く評価しています。このため高卒投手の指名優先度は低くなっています。

 

 

【中継ぎ】

1軍

左:今村・高梨・バルドナード・中川・森田(又木)・井上・横川・大江

右:松井・直江・鈴木・菊地・船迫・泉・近藤・馬場・大勢・西舘・助っ人

勝ちパターン:菊地ーバルドナード(中川)ー大勢(助っ人)

 

 1軍中継ぎは左については途中加入ながら好投し、残留が決定したバルドナード選手。今年支配下復帰した中川選手が勝ちパターンに定着。一方去年37Sあげた大勢選手が不調のままシーズンを終え、来季に不安要素を残しています。

 左の中継ぎは高梨選手の勤続疲労の兆候が見えており、今村選手は毎年良くも悪くも変わらない内容。ここにドラフト組の森田・又木選手に2軍昇格から経験を積むための中継ぎ起用としての井上、横川選手となります。

 右はトレード加入の鈴木選手に加え、シーズンオフ加入の泉・近藤選手。現役ドラフトで獲得した馬場選手。36試合を投げ防御率2.70と1年目から結果を残した船迫選手。50試合に登板し11Hを上げた菊地選手など、左に比べると実績のある中継ぎが揃います。また9回を任せる右のリリーフ候補の外国人を獲得する可能性を踏まえ、右の助っ人を加えています。

 森田・又木・井上・横川・松井・西舘選手については、阿部監督が1軍に慣れさせるために例外なく1軍では敗戦処理スタートを予定しており、敗戦処理で結果を残した先発投手をローテで試していく方針を語っています。このため中継ぎにも名前を挙げています。

 

ファーム

左:山田・代木・冨田(育)・三浦(育)・吉村(育)・千葉(育)

右:平内・畠・笠島(育)・戸田(育)・山崎友(育)・伊藤(育)・花田(育)・ルシアーノ(育)・ラモス(育)・園田(育)

 

 ファームは育成が中心。左の代木選手はリハビリ中のため、シーズン当初はファームスタート。山田選手もWLで好投したものの、制球面から2軍スタートとなります。育成1位の三浦選手はリリーフとして期待されているため、リリーフスタート。右では今季11試合登板にとどまった平内選手と肘の手術でようやく復帰した畠選手もファームスタート。高卒育成1年目の千葉・園田選手は1~2イニング程度の登板となるため、こちらも中継ぎに入っています。

 中堅を大量戦力外にしたため層が薄くなっており、23年を含めた2~3年後のドラフトで整備する必要があります。

 トレードで中継ぎを2名。さらにドラフトでも候補を2名獲得したことで厚みは増したものの、左の勝ちパターンは8・9回を任せるバルドナード・中川選手を覗くと薄さが目立ちます。

 

【捕手】

1軍:大城・岸田・小林

2軍:山瀬・亀田(育)・大津(育)

3軍:喜多・坂本(育)・前田(育)

 

 捕手は新規戦力や戦力外はなし。岸田選手が最多の46試合で起用され、ベテランの小林選手は3番手となりました。2軍では山瀬選手の打撃の成長があり、大津選手がWLに派遣されたことから、首脳陣の評価は大津>喜多選手となっています。

 ただ24年は23年に比べるとドラフト候補の捕手が少ないため、24年では無理に獲得にいく必要はありません。大城選手に大きな故障が発生しないかぎり即戦力を取りに行く余裕もないため、捕手の指名優先度は低くなっています。

内野手

【1軍】

一:岡本・秋広

二:吉川・泉田・湯浅

遊:門脇・坂本・泉田

三:坂本・中山・増田陸

 

 1軍内野手は22年ドラフトの門脇選手が期待以上の活躍を遂げ、坂本選手をサードコンバートさせるまでとなりました。それに伴い岡本選手もファーストへ。4位に泉田選手はショートメインですが、どのポジションでもいけるユーティリティーが売りのため、故障や不調で空きが出ればそこに起用される形となります。

 一方で松田・中島・中田・北村選手と右打ち内野手が1年で4人いなくなり、左右のバランスは未知数な若手が中心となりました。現在の若手・中堅内野手が中距離型が多く、岡本選手のメジャー挑戦の未来が濃厚となっているいま、将来的な大砲候補の獲得は急務となっています。

 

【2軍】

一:菊田・岡本(育)

二:湯浅・増田陸・岡本(育)・北村(育)

遊:中山・中田(育)・加藤(育)

三:菊田・ティマ(育)・ウレーニャ(育)

 今年のドラフトでは大卒・社会人内野手は即戦力候補の泉田選手のみ。一方で育成で内野手を多く獲得したため、中田選手、ティマ選手が2軍に昇格しています。去年まで2軍スタメンだった香月・中島・松田選手がいなくなったにもかかわらず、大きな選手の変動はありません。菊田選手も守備難が改善せず1軍起用が見込めない今、次代のスラッガー候補も補強ポイントとなっています。

 

 

【3軍】

一:前田(育)・萩原(育)

二:北村(育)・田上(育)

遊:中田(育)・村山(育)

三:ティマ(育)・宇都宮(育)

 育成で高卒内野手を2名、高卒1年目の独立リーグ内野手を1名獲得したため、3軍は選手層が大きく変動しています。打撃型内野手の田上選手。素材型の村山選手、俊足走塁型の宇都宮選手とタイプの異なるショートを獲得。宇都宮選手は愛媛ではサードでも起用されていたためサード。田上選手は打撃をいかすためにセカンドにしています。

 どの選手も巧打型が多く長打力が武器の選手がいないため、長打が売りの内野手は補強ポイントとなっています。

【外野手】

【1軍】

右:丸・助っ人・岡田・松原

中:佐々木・松原・萩尾・岡田・重信・オコエ

左:秋広・萩尾・梶谷・長野

 

 1軍外野手は即戦力で獲得した3位・佐々木選手とWLで首位打者に座る萩尾選手が新戦力候補。浅野選手はヘルニアの状態次第ですが、開幕1軍の可能性は低いと思われます。

 また阿部監督がセンターは日本人で固めたい意向のため、助っ人候補はライト・レフト。それも若手・中堅が固まっていないライトが補強ポイントなっています。長野・梶谷・丸選手の高齢化もあり、若手・中堅外野手で率を残せたのはまだ外野に不慣れな秋広選手のみ。このためライトを守れる打撃能力の高い選手が指名ポイントとなっています。

 

【2軍】

右:岡田・浅野・笹原(育)

中:オコエ・岡田・相沢(育)・鈴木(育)

左:萩尾・重信・若林・立岡(育)

 

 2軍では出場機会獲得のため外野手に本格挑戦の相沢選手。今年は2軍で35試合で起用された高卒3年目となる笹原選手。そして来年はレギュラーが定着していない外野でも本格勝負していくと語っている若林選手も外野メイン。

 1軍は近い未来に長野・丸・梶谷選手の引退による1軍外野手層の大変化が待ち換え前ているため、2軍も野手のテコ入れは不可欠。特にスラッガータイプが萩尾選手のみのため、長打力が期待できる選手が指名ポイントとなります。

 

【3軍】

右:笹原(育)・大城(育)

中:相沢(育)・鈴木(育)・舟越(育)

左:三塚(育)・平山(育)

 

 3軍は保科選手が戦力外となり、新たに育成7位で平山選手。戦力外から舟越選手が加入。相沢選手も外野手経験を積ませるためまずは3軍スタートとなります。三塚選手は左膝後十字靱帯再建術、後斜走靱帯再建術、内側半月板縫合術とかなりの大怪我となっており、レフトとしていますが来年復帰できるかどうかさえわかっていません。

 ただ3軍は高卒育成が中心。3年以内の選手が多く戦力外候補もいないため、3軍で起用されるような素材型は指名候補とはなっていません。

【巨人の2024年指名予想】

 上記から来年のドラフトに向けた巨人の補強ポイントは

①将来的な左の先発候補

②左の勝ちパターン

③大砲候補のサード

④打撃能力の高いライト・センター

スラッガー候補の外野手

 この5点となります。特に来年は久しぶりの野手上位年となるため、野手が補強ポイントとなります。

 

 

    

  1位指名:大阪商業大  渡部 聖弥選手 ライトを守れる即戦力外野手

外れ1位指名:花咲徳栄   石塚 裕惺選手 通算20本の大型ショート

    2位指名:富士大    麦谷 祐介選手 センターを守り長打力もある外野手

   3位指名:國學院大   柳舘 憲吾選手 率を残せるサード

   4位指名:法政大    吉鶴 翔瑛選手 最速151キロの中継ぎ候補

   5位指名:二松学舎大付 片井 海斗選手 右打ちの高卒スラッガー