＜高校野球茨城大会：土浦日大5－3霞ケ浦＞◇26日◇決勝◇ノーブルホームスタジアム水戸
高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。
◇ ◇ ◇
霞ケ浦（茨城）の最速150キロ右腕、木村優人投手（3年）にとって悪夢の9回だった。3点リードで迎えた最終回。甲子園出場が目前に迫り、「打たれたらどうしよう」と不安が脳裏をよぎった。「アウトを取りにいってしまった」。先頭から連打を浴びると、1死後再び連打。3番打者を左飛に打ち取り2死までこぎつけたが、さらに3連打で一挙5点を失った。この夏武器になったカーブで同点打、得意の直球で勝ち越し打を許した。「自分の投球ができなくなった」。ぼうぜんと立ち尽くした。
夏の甲子園出場は木村家の悲願だった。3兄弟の長男で日本通運の翔大内野手（24）と、次男瑛二さん（22）は同校野球部OB。ともに3年夏は土浦日大に敗れた。24日の準決勝後、家族で食事をし、瑛二さんから「木村家の思いを背負ってくれ」と声をかけられると、優人は「俺がやるしかないな」と頼もしく笑ったという。
悲願は果たせなかったが、今やドラフト候補に挙げられるほどに成長した。この悔しさはプロの世界で晴らす。優人は「プロ野球を考えています。志望届を出します」と明言。木村家の夢はプロ野球での活躍へと変わった。
霞ケ浦・木村優人「打たれたらどうしよう」兄の思い背負うも悪夢９回 悔しさプロで晴らす／茨城 - 高校野球夏の地方大会 : 日刊スポーツ
【木村選手の紹介】
１８５センチ８０キロ 右投げ左打ち
変化球：スライダー・カーブ・カット・ツーシーム・スプリット
セットからオーバースローよりも低い角度から柔らかい腕の振りから最速１５０キロ、常時１４０前半のストレートを投げ込む右腕投手。１２０キロ台のスライダー、１１キロ台のカーブ、１３０キロ台のツーシーム、１３０キロ台のスプリットを投げ込んでいきます。
武器はどの球種も安定して投げられる完成度の高さ。カウントと整える球としてスライダー・カーブに左打者の芯を外すカットとツーシーム、右打者にはストレートにスプリット、スライダーを駆使して打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。２回戦・準々決勝・準決勝・決勝の４試合を投げ防御率２点台と好投。９回に５失点で崩れ甲子園出場を逃したものの、決勝でも８回まで無失点好投。多くのスカウトが完成度の高さを評価しており、フォークを新たに覚える器用さ、総合力の高い右腕候補として上位指名が期待されています。
【指名への課題】
課題はストレートを狙い撃ちされている点。木村選手がストレートを見せ球にフォーク系の球で空振りを奪いますが、まっすぐ落ちるフォーク系の球に打者はほとんど反応していません。ツーシーム系の球は変化量がかなり小さく抜いたような球のため、高めに抜けると打ち頃の高さ・球速の球となっています。
木村選手はコントロール自体はある程度ばらつきがあり、複数の変化球で絞らせず詰まらせた当たりで打ち取るため、このツーシーム系の球を決め球にするには甘く入ることも多く精度に課題があり、ばらついて高めに抜けたストレートを打たれていることからストレートを狙い撃ちされています。
【指名順位予想】
甘く入ることはあるもののストライクを取るための球や決め球として投げた球など意図が理解できるほどの精度は兼ね備えており、ばらつきはあるものの破綻したほどでなくきっちりゾーン内で組み立てられるためストライク先行で投げられる武器を持っています。
大きく変化する球よりも複数の計算できる変化球を投げ込み狙い球を絞らせず球威で空振りを取るタイプであるため、体ができて全体的に４～５キロ球速が増えて落ちる球の精度が上がれば先発候補となり、またギアを上げれば１４０後半も投げ込めるため、現状では２～３位候補となります。
