◆北海道6大学野球春季リーグ▽優勝決定戦 東農大北海道1―0函館大(23日、とましんスタジアム)
リーグ戦8勝1敗1分で並んだ2校の優勝決定戦。東農大北海道が1―0で函館大を下し、5季連続35度目のリーグ制覇(春は3年連続19度目)を決めた。最速145キロの左腕エース石沢大和(4年=網走南ヶ丘)が5安打10奪三振で完封勝利。最高殊勲選手、最優秀投手、ベストナインにも輝いた。4大会連続19度目となる全日本大学選手権では、1回戦(6日、神宮)で首都大学リーグ優勝の日体大と対戦する。
石沢が135球すべてに自信を込めて投げ抜いた。140キロ台の速球を軸に、高速スライダー、緩いカーブ、チェンジアップなどを織りまぜ、コーナーを丁寧に攻めて散発5安打、10奪三振。リーグ終盤で苦しめられた函館大の3番・久米音弥(3年=神奈川・横浜創学館)、4番・斉藤椋平(4年=秋田中央)には1安打も許さず、9回までゼロを並べた。
【石澤選手の紹介】
176センチ74キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ
セットから体を捻り、腕を背中から振り抜くフォークから最速145キロ、常時130後半のストレートを投げ込む左腕投手。120後半のスライダー、100キロ台のカーブ、130前半のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器は右打者のインコースに投げ込むストレート。リリースする直前に背中側から現れる出所が見にくい変則フォームから向かってくるストレートは球速以上の速さを感じさせます。そこに膝元に落ちるチェンジアップとのコンビネーションで打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。3年冬に一日6食の食トレに下半身トレーニングを行い6キロ増量。4年春のリーグでは5勝を挙げチームのリーフ優勝に貢献しました。貴重な変則左腕投手として注目されています。
【指名への課題】
課題はタイミングの合わせやすさ。日体大との試合では左右問わずどちらの打者もタイミングが合っており、強い当たりを外野に連打されて崩されています。原因としてはカーブを投げミスしており、球種の一つとして数えられていません。そのためストレートとチェンジアップの割合が多いものの、チェンジアップは小さく沈んでいく球のため、ストレートが高めに集まってしまうとチェンジアップも見極められ、低めのチェンジアップもタイミングが合い捉えられています。
球威は抑え気味でスライダー・カーブ系の緩急の球の割合が少ないため、直球系の球を狙い撃ちされ長打を打たれるのが課題となります。
【指名順位予想】
今年のドラフト市場のなかで貴重な変則左腕ですが、左腕としては緩急の要であるカーブを安定して投げられないために打者がタイミングを合わせやすくなり長打を打たれるのが課題。制球重視で球速を抑え目にしており、ピンチの際には腕の振りを強くした140前半のストレートを投げていますが、指に引っ掛かり抜け球となっていました。
制球重視で球速を抑えるならば緩急が使えなければプロでは厳しいため、カーブの精度向上、もしくは平均球速を上げながらコントロールの維持が今後の目標となります。
実績はあるため現状では育成1~2位が指名候補。貴重な変則左腕のため一定の需要はありますが、即戦力とするには物足りないものとなっています。