読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

1軍初昇格の戸郷 翔征選手。今後1軍戦力となるための課題と成長は

 

巨人のルーキー右腕・戸郷翔征投手(19)がプロ初昇格することが16日、分かった。17日に1軍に合流する見込みだ。

 起用法は流動的だが、2軍ではシーズン途中から先発ローテーションの一角を担い、今季11試合に登板(先発8試合)して、4勝1敗、防御率3・00。エース・菅野が離脱し、18日からの7連戦で先発投手の枚数が足りていないのが現状で、戸郷への期待は大きい。

 長身から放つ最速154キロの直球が武器で、多彩な変化球も操る。7月11日のフレッシュオールスター楽天生命)で、1イニングを完全投球で2奪三振。「1軍に行きたいという気持ちが強くなりました」と語っていたが、夢のマウンドに立つ日は近い。

 

 

 

【戸郷選手について】

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引用:二軍試合結果|読売巨人軍公式サイト

186センチ72キロ 右投げ右打ち

変化球:スライダー・カーブ・スプリット・チェンジアップ・カットボール

 

 聖心ウルスラ学園高からドラフト6位で指名された高卒右腕投手。サイド気味の角度から肘をあまり曲げないアーム投法で常時150前後を投げ込んでいきます。高校時代よりチームのエースでありましたが、根尾・藤原選手などが集うU-18チームに対し宮崎代表チームの一員として参戦。

また切れ味のある縦のスライダーと打者の近くで急激に変化するスプリットを武器に先発として起用されています。

 18年指名組の高卒投手の中で2軍最短デビューを果たした投手。3月19日のイースタンヤクルト戦で2番手として登板。1回無失点で初登板初白星となりました。その後高卒1年目ながら早くから2軍先発ローテの一人として起用。11試合4勝1敗防御率3.00と順調に結果を残しています。

 


巨人VS日本ハム① ルーキー戸郷(聖心ウルスラ学園)

【プロ入り後の成長】

【①:大きく伸びた球速】

 現在戸郷選手は常時150前後を記録していますが、高校時代から速かったわけではありません。高校時代は最速149キロ、常時140前半といった球速でした。ただスライダーやスプリットのキレは当時からかなりのもので、変化球のキレが注目されていた選手です。

 しかし現在の球速は平均140後半、150キロを超えることも珍しくありません。この球速アップには杉内コーチとの下半身トレーニングによる肉体強化が一因となっています。

高校時代は最速149キロ。プロ入り後は、3軍での春季キャンプで杉内ファーム投手コーチらの指導の下、徹底して下半身を鍛え上げた。食事の量も増やし、「体重が2キロ増えて76キロ、身長もまだ伸びていて、今は187、8センチくらいです」と成長が著しい。15日の専大との3軍戦で152キロを計測した。

巨人6位戸郷2軍デビュー戦初勝利、記念球は両親に - プロ野球 : 日刊スポーツ

  解説からも線の細さを指摘されており、戸郷選手にとって体を大きくすることは1年間戦っていく上で必須事項となっており、オフシーズンの過ごし方が重要となります。

【②:変化球の精度アップによるストライク先行】

 一般に右腕横手投げ選手の課題は左打者への対応。左打者からみると右腕の横手投げはリリースポイントが遠く、それだけボールを見れるため打ちやすいフォームとなります。また腕の振りの問題で左打者のインコースへ投げづらいため、振り込まれてアウトコースを長打にされやすくなります。

 しかし戸郷選手の場合はその逆。U-18では左に対してはスライダーとスプリットをインコースに投げ込みガンガンストライクを奪っていました。根尾・藤原・小園選手といった強打者がインコースに連続空振りする姿が印象的でした。

 

   一方で右バッターにたいしてはスライダー・ストレートが抜け球になることが多く、四球をだしてしまう場面が目立ちました。このため先発として計算するには対右の対応が課題となっていました。

   この変化球の精度がプロ入り後に向上。右にたいしてもアウトコースへのスライダーを安定して決められるようになっており、それがストライク先行による四死球率の低さに繋がっています。

 

【今後の課題】

【① まだまだ目立つ線の細さ】

  入団当時から180センチ超えにたいして72キロとかなり線の細さが目立ちました。杉内コーチのもと肉体改造に励んでいますが、それでもまだ線の細さは残っており、解説からもこれから体を大きくすることを求められており、登板間隔が短くなる1軍ローテではそれだけ1年を戦えるスタミナが求められます。戸郷選手は体が細く現在の球速を出し続けるにはそれだけ一球辺りの必要体力が増えてしまうため、1軍ローテのためには安定して計算できる戦力としての体づくりが課題となります。

 

【②:調子が悪い時の対右への対応】

 戸郷は対左に対してはスライダー・スプリットでガンガン空振りを奪えるため、対左に対しては苦労せず打ち取っているように思われます。しかしそれは調子良く投げられているときの話であり、調子が悪い日はそうはなりません。

 調子が悪いとストレートがシュート回転して高めに抜けるようになり、まさに左打者にとっては打ち頃の球となってしまいます。ただ左に対してはストレートが駄目でもスライダーとチェンジアップに切り替えストライクを奪うことが出来ていますが、問題は右打者への対応となります。

 

 戸郷選手の指名時点での課題は対右へのスライダーの制球でした。スライダーが左に比べ抜ける割合が多く、左に比べ頼りにできる変化球が少なくなるためどうしてもストレート頼りになり、変化球も左に比べ甘いコースにいきやすくなります。このためストレートの調子が悪いと右に対しては四球の割合が多くなってしまいます。戸郷選手を先発として安定して計算するには、調子が悪い時の対右へのスライダー以外の変化球習得が鍵となります。

 

 【まとめ】

 実は巨人は下位での高卒指名は少なく、13年5位で平良選手、15年6位で巽選手、16年5位で高田選手と6位で大江選手。18年に来て一気に支配下で高卒投手を3名指名しましたが、それまでの13~17年の5年でわずか4名に終わっていました。そんな巽選手も相次ぐ故障で現在育成契約。高田・大江選手もなかなか1軍では結果を出せておらず、下位高卒組がパっとしない流れが続いていました。

 

 横浜戦では5回途中で降板しましたが、失点は乙坂選手からの本塁打のみとローテ候補の一人として結果を残しています。戸郷選手のこれ以降の結果次第では巨人の下位指名の傾向にも変化がでる可能性があります。