◆高校野球 岩手代替大会 ▽準々決勝 盛岡大付11―4盛岡一=8回コールド=(21日・岩手県営)
岩手準々決勝で盛岡大付が、盛岡一を11―4の8回コールドで下した。2番手で登板したエース右腕の大久保瞬(3年)が、3回1/3を無安打に抑える好投で流れを引き寄せた。花巻東は4番・水谷公省中堅手(3年)が7回に決勝打を放ち、黒沢尻工に2―1で競り勝った。
躍動感あふれる投球で、試合の流れをグッと引き寄せた。4―4の4回2死一、二塁から救援登板した盛岡大付・大久保が、打者11人に対し無安打5奪三振。許した走者は1四球だけの力投で、同点にされた嫌な雰囲気を吹き飛ばすと同時にチームに勢いをもたらした。
「自分が点を取られたら相手に流れがいくので、気迫で抑えれば、と思った」と大久保。その言葉通りにこの日最速144キロの直球を軸とした投球内容で、「気持ち的には(投球の)ほとんどがストレート」(大久保)と相手打線を力でねじ伏せた。大久保の投球に勇気をもらったかのように、打線は4回に打者10人の猛攻で5得点。その後も加点してコールド勝ちだ。
関口清治監督(43)も「大久保が流れを切ってくれたことがその後の勢いにつながった」と評価。同点でのエース起用には、1年前の反省があった。昨夏岩手大会3回戦・一関工戦で、3―4と逆転された後にエースの阿部秀俊(現創価大)を投入もそのまま敗退。指揮官は「そのときの悔いが残っていて…。今は(先発の石井より)大久保のほうが状態がいいので」と、思い切った決断が吉と出た。
今大会は試合ごとに登録メンバーが変えられるため、多くの3年生がベンチ入りしている。大久保は「ベンチに入るたびに違うメンバーで、新鮮だしうれしい」と笑顔。ともに汗を流してきた仲間たちと勝利を分かち合うつもりだ。準決勝は昨秋県決勝で対戦し、4―3で勝った花巻東との対戦。その試合は完投勝ちした大久保は、「(どんな起用でも)相手に流れをやらない投球がしたい」と力強く宣言した。夏の頂点に立つため、大久保が背番号1に恥じない投球でチームを救う。
【大久保選手の紹介】
172センチ70キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・シンカー
ノーワインドアップから足を上げた後に上半身を低く落とし、そこから横の角度で腕を振るフォームから最速145キロ、常時140前後のストレートを投げ込む右腕投手。ストレートでガンガン押していきながら横のスライダーで空振りを奪います。特に右打者に対してはアウトコースへ逃げるスライダーとコースぎりぎりをつくストレート。さらにインコースにシュート回転するストレートを使い分け詰まらせて打ち取ります。
2年生までは先発で起用されており、秋の弘前東戦では14奪三振で完封も記録していたものの、3年生になるとリリーフとして起用されるようになり、盛岡一戦では2番手で登板すると3回1/3を無安打で抑えており、ピンチを抑えるチームのエースとしてさらなる成長を期待されています。
【指名への課題】
右腕サイドスロー共通の課題が左打者の打ちとり方。大久保選手も右に対してはアウト・イン両方を攻められるためランナーを出しても苦戦していませんが、左に対してはアウトコースへの球しかないため、追い込んでからなかなか空振りを奪えません。
厳しいコースを意識するあまり抜け球も多くなってしまい、10球以上粘られて四球になる場面も見られました。対左の変化球となる縦の変化のシンカーを持っており左に有効に使えていた場面もあったため、今後は変化球の精度向上が鍵となります。
また右に対してランナーが出た場面では指にかかってアウトコースへの球が決まらないことも多く、決める時の力みが悪い形で出やすい癖もあります。
【指名順位予想】
高卒ながらサイドスローで140を出せるというのは魅力の一つであり、対左の武器となりうるシンカーを習得しているのも評価ポイントとなります。ただし変化球は決まると決まらないが半々で変化球は決め球とできるほどの精度ものがないため、現状では育成3~4位が指名順位となります。