「高校野球青森大会・準々決勝、八戸工大一8-7八戸西」(22日、ダイシンベースボールスタジアム)
バックネット裏のNPB12球団20人超のスカウト陣に、潜在能力の高さを示した。最速149キロ右腕で今秋ドラフト候補の八戸工大一・黒田将矢投手(3年)は三回途中から救援登板。6回1/3を7安打3失点だったが、「粘りの投球というのはできた」と逆転を呼ぶ投球を披露した。
スクランブル登板にも動じなかった。「5番・右翼」で先発出場し、0-4となった三回2死一塁から登板。ほとんど準備せずとも「気持ち的にはまだ余裕がありました」と空振り三振に斬り、嫌な流れを断ち切った。
「力みというかコントロールで苦しむ場面もまだあった」と内容には満足していない。ただ、ロッテのスピードガンでこの日最速145キロを計測。188センチの長身から放たれるボールの角度は、高校生でも屈指の存在だ。
3人態勢で視察した阪神・葛西スカウトは「フォークは随分いいボールがある」と評価した。東北ではノースアジア大明桜の最速157キロ右腕・風間球打投手(3年)が目立つ中、青森の剛腕にも注目が集まっている。
【黒田選手の紹介】
188センチ80キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク
セットから振り下ろす瞬間に上半身をファースト側に傾け腕に角度をつけ、高い位置から一気に投げ込むフォームから最速148キロ、常時140前後のストレートを投げ高右腕投手。非常に落差があり120後半の横のスライダーを中心に、スライダーよりも小さい変化量のカーブに、打者の手元で急激に落ち込むフォークで空振りを奪っていきます。
チームでは中継ぎ・先発両面で起用。2年生の時に野辺地西戦で完封勝利を遂げると、3年の八戸西戦では3番手として登板し6回途中3失点で逆転勝利を呼び込むなど実績も残しており、20人以上のスカウトが同時視察に訪れるなど高い注目度を持った投手。9月9日にプロ志望届を提出しており、素材型高卒右腕として注目されます。
【指名への課題】
フォームが非常にダイナミックですが、肩を突っ込ませて投げるフォームであるため、肩回りへの負担が大きくなっています。また非常に大きく足を上げ、そこから全身を使って突っ込んで投げるため、股関節回りへの負担も不安視される、全体的に負担の大きいフォームとなります。
非常に体が細く柔らかさを感じる体形のため、体を作ればある程度安定はするででしょうが、今のフォームのままではプロ生活のなかで投げぬくのは難しく、フォーム改造が前提となる選手となります。またストレートのムラもありフォームの割にあまり球威を感じられないものも多く、体の動きに頼るだけでなく、指先にかかったストレートを投げられるようリリースの矯正も必要となります。
フォームも動きが多いフォームであるため、クイックになると時間がかかってしまうのも課題の一つ。ランナーを気にして投げればバランスを崩し制球が悪化する可能性が高いのも懸念点となります。
【指名順位予想】
非常に投手向きの手足の長い素材であり、変化球のキレも魅力のある投手。非常に体も細くダイナミックすぎるフォームのためリリースポイントが安定しておらず、ある程度変化量でゾーンに潰しが効く縦の変化球はともかく、ストレートはコントロールが安定していないのも課題となります。
荒さが目立つ分ものになったときにエース格になりうる素材を持った選手。全国大会への出場経験がなく登板実績に物足りなさがあるため、年間を通して投げられるスタミナ面が不明瞭ではありますが、指名順位は4~5位となります。