読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

防御率0.00のパワーリリーフ 神奈川フューチャードリームス 増子 航海選手 独立リーグ右腕投手

 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第4回は、ルートインBCリーグ・神奈川の最速150キロ右腕・増子航海(かずみ)投手(22)。創価大ではリーグ戦登板経験なしながら、NPB球団から調査書が届いた「隠し玉」の現在地に迫る。
 ドラフト会議が迫っていた昨年10月、増子の人生を変える封書が届いた。中身はNPB球団からの「調査書」。ドラフト会議で指名する可能性がある選手に届く書類だ。創価大ではリーグ戦の登板はなかったが、プロは大器が持つ無限の可能性に気づいていた。

 「投げていなかったのでビックリした。“見ていてくれているんだな”と思いました。(独立リーグへ)挑戦するための勇気をもらいました」

 1メートル90、92キロの恵まれた体から投げ下ろす大型右腕。BCリーグの神奈川に入団し、10日からスタートしたキャンプで能力の高さを披露した。紅白戦では、変化球をカットボールのみに制限しながらも、1回2安打無失点で1奪三振。投手として横浜(DeNA)で368試合に登板し71勝を挙げた川村丈夫新監督は「ボールに強さがある。あれだけ大きいし魅力的な選手です」と高評価を与えた。

 東海大高輪台(東京)では2年時に148キロを計測して注目を集めたが、3年夏に右肘を痛めた。創価大では長いリハビリを経て、本格復帰は4年夏。昨年8月、巨人3軍との試合で150キロを計測しスカウトの目に留まった。ドラフト指名は実現しなかったが「独立リーグからNPBを目指したい」と野球を続ける決心をした。
 故障で得たものもある。テークバックの際、背中側に入りがちだった右腕の動きを修正。右肘の負担減が目的だったが、ボールの出どころが見えにくいフォームになった。直球は数字以上の威力を発揮するようになった。

 昨年までDeNAで投手コーチを務めた川村監督に積極的に助言を求め「プロレベル」を吸収。大学時代にはできなかった実戦でのアピールを目指し「空振りを取れる真っすぐを追求していきたい」と意気込んでいる。

【スポニチスカウト部(4)】BC神奈川の右腕・増子航海 大学登板なしでも調査書届いた隠し玉の現在地― スポニチ Sponichi Annex 野球

 

【増子選手の紹介】


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190センチ92キロ 右投げ右打ち

変化球:カーブ・カット・フォーク・スプリット・チェンジ・ツーシーム

 経歴:東海大高輪台創価大ー神奈川FD

解禁年:2022年

 

 セットから力みなくゆったりと投球フォームに入り、オーバースローの角度から投げ下ろす瞬間に力を込めて腕を振るフォームから最速154キロ、常時140中盤のストレートを投げ込む右腕投手。130キロ台のカットボール、130キロ台の小さく落ちるフォーク、130キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。

 武器は投げ下ろす角度のあるストレート。ゆったりとした始動で力みのない動きから、リリースする瞬間に力を込めて一気に投げ抜くフォームのため、打者はタイミングが取りづらく、見た目以上に球速を感じさせるストレートで空振りを奪います。

 チームでは主に中継ぎで起用。1年目は先発でも起用されるも防御率は12点台と結果を残せないながらも、チームの川村監督の下でストレートを磨き、2年目ではリリーフもつとめ防御率は14試合で自責点0と防御率0.00を記録。

 創価大時代は怪我に悩まされ実践復帰は4年生になってからと高校・大学ではアピールできずに指名漏れが続いたものの、神奈川FDで一気に成長を遂げ大型リリーフ候補として注目されるまでになっています。

 

【指名への課題】

 課題は被打率0割台の対左打者に比べ、右打者からの被打率が3割を超えている点。この原因は変化球の精度。特に増子選手はスライダー系の球を投げないため、持ち球はフォークやチェンジアップといった落ちる球が中心。ストレートはシュート回転することもありますが左打者のインコースに角度をつけて投げ込めており、そこにフォークや外に逃げるチェンジアップを組み合わせ上手く打ち取っています。

 

 一方で右打者に対してはシュート回転してしまうためインコースに上手く投げ込めておらず、インに投げ込めないため変化球も外中心。右打者に投げ込む際は力みがちで変化球も抜けてしまうため、カウントを悪くしストライクゾーンにストレートを投げざるを得ないため、ストレート待ちを痛打されています。

 

【指名順位予想】

 指名後の想定としては将来的なリリーフ候補。対右への対応。変化球の精度といった課題からも即戦力とするには安定した武器が少ないため、年齢も今年で24歳と大卒社会人と同じことを踏まえると、支配下は厳しいものとなっています。

 しかし独立リーグ選手は成績よりも伸びしろがみられることが多く、大学まではほとんど公式登板がなく、本格的に運用されている2年目にしっかり成績を残している点では伸びしろが期待されるため、育成3~4位評価となります。