2―2の同点で迎えた八回1死、相手打者が放った鋭い打球がエース香西一希投手(3年)のグラブに当たり、後方に転がった。「内野安打になるかもしれない」
香西投手の一瞬の不安を吹き飛ばしたのが、遊撃手の尾崎悠斗選手(3年)だ。素早く反応し、体をねじるように球を拾う。最後は勢い余ってグラウンドに突っ伏しながら、送球は正確に一塁手の佐倉侠史朗選手(2年)のミットに届き、アウトになった。
普段は華麗な守備を見せる尾崎選手のユニホームが土まみれになった。「力が入ってしまった。試合の流れを変えたくなかった」。相手の上位打線につながる場面で、「出塁させたくない走者だった」と香西投手。力んでも崩れない堅い守備が大舞台でも生きた。
4番の佐倉選手を中心に打撃のチームと評されるが、楠城徹監督は守備力を重視し、守備からリズムをつくるチーム作りにこだわる。「打撃は水物というのは百も承知で、いつでも頼りになるのが守備。ひと冬かけて、みっちり練習させてきた」と楠城監督は話す。
尾崎選手は新チームになってからの公式戦で失策ゼロ。この日も六つの打球をさばき、安打性の当たりもアウトにした。「守備範囲が広く、送球にぶれがない。尾崎の存在は大きい」と監督の信頼もあつい。
この日は尾崎選手以外の守備陣も随所で好プレーを見せた。香西投手が変化球で打ち取り、野手が鉄壁の守りで支える。九州国際大付のリズムが存分に出た試合だった。
【尾崎選手の紹介】
173センチ67キロ 右投げ右打ち
ポジション:ショート
守備能力を高く評価される右打ちの内野手。守備を重視する監督に「守備範囲が広く、送球にぶれがない。尾崎の存在は大きい」と評されるほどの高い守備能力を持ち、新チームになってからは失策0.選抜においても難しいゴロに前進守備をしながら合わせるグラブ捌きや、体勢が崩れながらもファーストへのストライク送球を行える、投手時代に培ったコントロールを武器に何度もチームを救っています。
【指名への課題】
課題は打撃につきます。地方大会でも41打数7安打であまり打てておらず、打順も9番。その原因としてストレートに力負けしています。ストレートを打ち返すためにストレートに絞りタイミングを合わせようとするため、そこにカーブ系の緩い球を投げられてしまうと始動のタイミングが合わずに全く反応できていません。
ストレートに力負けするために高めに抜けるストレートにも手を出してしまい、しっかり捉えた打撃を披露できていません。
【指名順位予想】
守備能力は高いものの打撃面で全く成績を残せておらず、巧打型でありながら右打ちとなっており、小柄で細く高卒としてはあまり好まれないタイプとなっています。
育成で指名されるにしても巧打者として率を残すことは必要ですが、地方大会でも打率.171と結果を残せていません。そのため現状では指名漏れの可能性が高くなっています。
高卒よりも大卒・社会人で好まれるタイプであるため、長打力よりも打撃の確実性を上げていきたいところです。