＜関西学生野球：立命大2－1京大＞◇14日◇第3節1回戦◇甲子園
立命大のプロ注目右腕、谷脇弘起投手（4年＝那賀）が意地の1失点完投勝ちを演じた。大学で9回を投げ切ったのは初めてだ。
5回まで無安打無得点の快調ペース。バントで初安打された6回は1死満塁にピンチが広がったが、最速147キロの直球で押しまくり、ホームを守った。
「無安打は気にしていなかった。京大は1点で流れに乗ってくるチームなので、走者を出してから踏ん張れたのがよかった」とポイントの場面を振り返った。
投球数が増えてきた8回、得意のスライダーを投げる際に力を込める右手親指の腹にマメができた。それでも、最終9回は1点を失ったあと、親指の皮が完全にめくれた状態でスライダーを連投。最後の打者を空振り三振にしとめた。
高校3年の夏は和歌山大会決勝で智弁和歌山に敗れ、甲子園に1歩届かなかった。「こうして大学で（リーグ戦の）1戦目に投げさせてもらえている。野球人としてうれしいし、楽しいです」と甲子園のマウンドを満喫した。
今年の関西大学球界を代表する2人の右腕が、甲子園でそろって初完投した。直前の試合で同大・真野凜風（りんか）投手（4年＝天理）が1失点完投で近大打線を封じていた。2人は昨年の大学日本代表候補合宿でも一緒だった間柄。球場入りの入れ替わりの時に会話をした谷脇は「自分とタイプも似ている。負けられない。燃えるものがありました」とライバルに刺激を受けていた。
立命大・後藤昇監督（62）は「自信を持って投げた球をボールと判定されても気持ちを切らさずに投げられた。落ち着いていて、エースらしいマウンドさばきだった」と大黒柱を高く評価した。
立命大・谷脇弘起「燃えるものあった」と初完投 同じ大学ジャパン候補の同大・真野凜風に続いた - アマ野球 : 日刊スポーツ
【谷脇選手の紹介】
１８５センチ８６キロ 右投げ右打ち
変化球：スライダー
ワインドアップからゆったりとした始動で足を上げる際にタメを作り、さらに上げ切った後で再びタメを作り、そこからオーバースローの角度で投げおろすフォームから最速１５１キロ、常時１４０中盤のストレートを投げ込む右腕投手。カーブのように大きく縦にわれるスライダー、さらに低く落ちる縦のスライダーなど複数のスライダーを使い分けます。
武器は複数の軌道で投げ込めるスライダー。那賀高校時代にホームベースの両端に置いたボールにスライダーを投げ込むという独自の練習法でスライダーを磨き、武器となるまでに精度を上げました。
さらに立命大時代に打ち込まれることが増えるようになり、その対策としてフォームの間合いも見直したことで球速が向上。打者もタイミングが取りづらくなりストレートに押し込まれる場面が増えています。
さらなる球種の獲得にも取り組んでおり、さらなる伸びしろが期待される右腕として注目されます。
【指名への課題】
課題は間合いが使えなくなるクイック時の投球内容。谷脇選手の武器の一つが２段階のタメを作る独特のモーション。これにより打者はタイミングが取りづらくなりストレートとカーブのように曲がるスライダーとの緩急差をいかせるようになっており、またある程度高く入っても空振りを奪えています。
しかしクイックになると球威が落ち込みタメがなくなるため打者のタイミングが合っており、振り切ったスイングでなくともボールが切れずライン際のヒットにされてしまう当たりが増えています。球種自体はストレートと２種のスライダーのみのため、芯がはずれた当たりが少なく、空振りは多いもののバットに当てられるときはしっかりあてらえており、球種の少なさが仇となっています。打たせて取る投球ができないため球数が多くなっており、５回１００球近くになる
【指名順位予想】
大学代表にも選ばれている注目株の選手ですが、全国大会での実績の少なさ。また球種が少なくクイックでは苦しく成る投球内容であることから、現状では中継ぎ向きの選手となっています。
ですがスライダーのキレと精度は高く、ここにストレート系の変化球を覚え芯を外す投球を覚えれば先発としても可能性も見えてくる選手。ただ球種獲得に取り組んでいるものの実践投入するほどの精度にはいたっておらず、今後試合中でも投げられる変化球を新たに身に着ける適応力をアピールできれば３～４位の指名順位となります。しかし現状のスライダーのみのままであれば６～７位と大きく落ち込みます。
