海星先発のエース、吉田翔(3年)の最速は131キロ。140キロ前後の直球を投げ込む広陵先発の高尾響(2年)とは対照的だったが、吉田翔は緩急を使った投球で翻弄(ほんろう)した。
「打たれる覚悟で投げ込むこと。自分のピッチングを忘れないこと」を捕手で主将の田川一心(3年)と確認してマウンドへ。4回まで2安打投球と好投した。大会注目のスラッガー、真鍋にはチェンジアップを駆使して2打数無安打。1四球を与えたが、仕事はさせなかった。「自分のピッチングを貫けたことは良かったと思いました」と振り返った。5回から7回まで1点ずつを取られ、6回2/3、3失点で降板した。「チームを勝たせてあげられなかったことが一番悔しい」と悔やんだ。3季連続出場がかかる夏の戦いに向け「緩急は通用すると分かった。真っすぐのスピードを上げていきたい。135キロはしっかり出せるように。平均して130キロは出したい」と誓った。
打線は2回に先制したが、尻上がりに調子を上げた相手エースを打ち崩せず。主将の田川は「練習から得点圏の1本にこだわってやっていきたい」と課題を語った。
海星の最速131キロ左腕・吉田翔がプロ注目の真鍋を無安打斬り好投も無念「自分のピッチングを貫けた」― スポニチ Sponichi Annex 野球
【吉田選手の紹介】
173センチ76キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ
セットからゆったりとした始動で左腕を伸ばし、体を捻りながら柔らかく腕を振るフォームから最速131キロ、常時120キロ台のストレートを投げ込む左腕投手。110キロ台のストレート、100キロ台のカーブ、120キロ前後のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器はスライダーを中心とした緩急をつけたピッチング。ストレートの球速は120キロ台ながら、出所が見にくい腕の振りとストレート、スライダー・カーブを使い分け芯に当てさせないピッチングで打者を打ち取っていき、選抜では広陵打線を6回途中3位失点(自責点2)と好投。
【指名への課題】
課題は球威がないために甘く入ると簡単に長打にされてしまう点。特に左打者に対してはスライダー・カーブの割合が多いために甘く浮いたスライダーをしっかり引っ張られ長打にされています。ゾーンを広く使える右に比べ攻める手段が限られる左の方が抑えるのに苦労しており、右打者に対しては被打率は2割以下ですが、左打者からは3割近く打たれています。フライ自体もレフト側よりもライト側のほうが深い当たりまで飛ばされている傾向が強くなっています。
フォーム自体も右のバッターボックス側に投げる際は大きく体がサード側に流れるほど強い腕の振りで投げていますが、左のバッターボックスに投げる際はあまり体が流れないため腕の振りも弱く、手振りに近いため左のバッターバックスへの投球はばらつきがみられます。このため左打者はしっかりと踏み込んで高めを振り抜いており、スライダーを狙い撃ちされています。
【指名順位予想】
本人も今後の目標はストレートの球速アップを掲げており、左打者を詰まらせる球威を獲得できるかが今後の課題となります。高卒指名選手も年々求められる水準は上がっており、変化球が3種で支配下クラスとなれば平均球速130中盤、最速145キロ以上は求められるようになっており、吉田選手が130台でドラフト指名を狙うならば、3球種だけでなく、より球種を増やすことも求められます。
吉田選手は緩急を売りとしているため速球で押していくよりも変化球の多彩さで狙い球を絞らせない方が現実的な成長路線となるため、平均球速130前半、変化球4種を達成した場合育成2~3位となり、現状では指名漏れの可能性が高くなっています。