読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

アルビレックス新潟・ハヤテ223がNPB2軍入りが決定。ドラフトにどのような影響を及ぼすのか

プロ野球オーナー会議が29日午後2時から都内ホテルで行われた。その中で、公募し検討、議論を進めてきた来季2軍への新規球団の参入について、静岡市の清水庵原球場を拠点とする「ハヤテ223」と、新潟市が拠点の「アルビレックス新潟」の2チームに内定を出した。ハヤテ223はウエスタンリーグアルビレックスイースタンリーグ

 前議長で、新規参入議論のきっかけを作った巨人の山口オーナーは「球団がなかった地域に新たにできる。一歩前進。地域貢献にも期待したい」と話した。

【速報】NPBが来季2軍へ静岡と新潟の2チームの参入を条件付きで内定。プロ野球オーナー会議で(静岡朝日テレビ) - Yahoo!ニュース

 

【24年から2球団が新たにファームリーグに参入】


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 29日のプロ野球オーナー会議のなかで、2軍参加を申し込んでいた3社のうち、ハヤテ223・アルビレックス新潟の2社が新たにファームリーグに参加することが決定。新潟が本拠地のアルビレックスは東日本が中心のイースタンに。東京に本社を置くハヤテはすでにNPB球団が本拠地を置く県に新たに本拠地を置くことはできないため、アクセスの良さや経済規模の大きさから静岡を本拠地とし、西日本が中心のウエスタンに編入することになります。

 アルビレックス新潟といえばBCリーグに参加する新潟アルビレックスBCを率いており、ここ数年では18年6位で横浜に入団した知野直人選手。19年育成2位で日ハムに入団した樋口龍之介選手。育成3位で日ハムに入団した長谷川凌汰選手などを輩出しています。

 一方でハヤテ223は投資事情を行うハヤテグループが親会社で現状野球チームを持っておらず、監督は元NPB選手を候補に地元出身を中心に選考。選手については戦力外となった選手やトライアウトを中心に集めていくと表明しています。

 

 

NPB入りすることによるドラフトへの影響】

【2球団から12球団に移籍する条件】

チームに加えられる選手の条件も定められています。

プロ野球のドラフト会議で指名されていない選手、▽プロ野球の12球団にこれまでに所属していた選手、▽外国人選手が対象で、プロ野球のドラフト会議で指名漏れとなった選手や12球団を戦力外となった選手などが想定されます。

新規に参加する球団の選手でこれまでプロ野球でプレーしたことがない選手が12球団に入団するためには、ドラフト会議で指名される必要があるということです。

それ以外の選手については、人数を制限した上で、シーズン中に12球団へ移籍することも可能になる見通しだということです。

プロ野球2軍にハヤテ223、新潟アルビレックスBC参入へ どう変わる? | NHK | プロ野球

 この2球団の選手はプロ野球のドラフト会議で指名されていない選手。プロ野球に所属した経験のある選手、外国人選手となっており、具体的にはプロ志望を出し指名漏れとなったあとで独立リーグドラフトで指名された選手やプロ野球を戦力外となった選手となります。

 この2球団の選手が1軍を持つ12球団に移籍する条件は現在の独立リーグと変わっておらず、過去に12球団からドラフト指名を受けていない選手は年齢を問わずドラフト指名を経由する必要があり、一度指名を受けたことがある選手はシーズン中でも移籍が可能となっています。最近であれば広島を戦力外になったあと高知FDに入団。21年12月にソフトバンクに育成で入団後活躍している藤井皓哉選手が例となります。

 

【新たに加わった2つの要因】

【①:対戦相手が3軍から2軍になる効果】


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 これまでと入団の条件は変わらずドラフトに影響があるのか、という懸念がありますが、大きく変わった点が二つあります。

 一つが2軍と試合できるようになった点。これまで独立リーグプロ野球チームと試合をするときは、2軍から漏れた高卒1年目の選手やリハビリ明けの調整登板が目的の選手で構成される、巨人3軍やソフトバンク4軍、西武3軍などとの試合が中心でした。

 プロ野球選手との試合で結果を残せばそれだけ指名候補となる基準となりますが、相手はあくまで1軍経験が全くない高卒1年目や育成選手、リハビリ明けの試合勘が戻っていない選手など、1軍戦力とは大きくかけ離れた選手たち。それらの選手を抑えたとしても、1軍選手相手ではレベルの差があまりにも乖離しており、参考記録としか見られません。

 このため独立リーグの選手はどれだけ好成績を残しても年齢や成長度合いとした素材面が優先されてしまい、未知数な選手を取るため指名順位が低くなる傾向がありました。

 

 しかし相手が2軍になれば話は別。2軍は球団が育成に力を入れる期待の選手や1軍昇格を待つ中堅など、選手のランクは明確に変わります。2軍選手を相手に好成績を残せば3軍相手よりも戦力面の把握がしやすく、多種多様な選手を相手にするため得意・苦手なタイプや順応度もはっきりとするため、プロ野球側としても弱点となる層を埋める選手として優先度が上がることから指名順位も上がります。

 また独立リーグ側にもメリットがあり、所属していたチームから指名があった場合、契約金・年俸から数%~20%程度の分け前がチームとリーグに支給されます。これまでは育成指名がメインで育成では支度金・年俸合わせて1000万もいかないためこの分け前金も少なかったものの、支配下となれば契約金は最低でも2000万以上、年俸も500万以上となり、入場チケット・グッズ売り上げが弱く企業スポンサー頼りの独立リーグ運営にとって決して安くはない収入となります。

【②:育成選手のレンタル移籍】

 独立リーグに所属する選手はプロ志望届を提出し独立リーグ主催のドラフトで指名された選手や練習生契約をした選手。ただ練習生は試合に出られないため入れ替えで選手契約を果たさないと公式戦には出られません。そしてNPBを戦力外となった選手や海外のリーグから飛躍を狙う外国人選手となります。

 厳しい言い方となりますが、基本的にNPBの指名から零れた指名に至らなかった選手たちやプロ野球から戦力とならないと判断された選手たち。このため2軍球団とのレベル差は大きく、財源が限られ選手獲得も容易に行えなず、故障者が増えた場合チームの維持自体が不可能となる懸念があります。

新規参入側は、プロ野球2軍リーグでの興行機会を得ることで地域活性化や地元の野球振興を図り、プロを目指す選手たちをNPBに送り込むための「土壌」を広げることなどを目的に掲げる。NPBは12球団の育成選手を5人程度、新チームに派遣できる枠組みを作る予定で、4軍まであるソフトバンクや巨人など育成選手を多く抱えるチームは選手に実戦経験を積ませる機会が増えることもメリットとなる。

プロ野球オーナー会議、ファーム拡大構想の狙い 2軍に2球団参戦(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 ことからNPBはこの2球団に対し、育成選手のレンタル移籍精度を発案。これは各球団から育成選手を最大5名。合計で最大60名の選手を借りることができるというもの。これは人数確保だけでなく戦力の均衡を目的としています。

 そして12球団側のメリットは育成選手の出場機会の確保。育成指名から1軍戦力となる選手も増えており、育成選手の強化も戦力強化には必須となっています。このため各球団も育成指名に力を入れており、阪神もファーム球場新設に伴い育成指名を増やす可能性があると報道されています。

 

 一方で育成選手は2軍の試合では5人までしか出場できず、3軍を持たない球団は育成選手数を絞らざるを得ません。もともと育成指名は不況により社会人チームの解散が増える中で、プロ野球選手を目指す選手たちの受け皿を増やすための創設された制度。そのための枠が絞られてしまっては本末転倒となります。

 この2球団に移籍することで出場機会が確保できればそれだけ育成選手の指名数も増えるため、育成ドラフトには少なからず影響を受けます。ただ各球団はあくまで2・3軍運営に支障がない層の選手を出し、そのなかで2球団が今欲しい選手を数を絞って獲得すると思われるため、移籍を前提に数を増やすことはなく、大きな変動はありません。

【今後について】

 NPBは1軍については増やす予定はなく、今回の2球団追加も参入ではなくあくまで参加としており、ウエスタン・イースタンをそれぞれ偶数にして試合数を増やし、球団がない県でも試合をすることで新たな野球ファンの獲得が狙い。今後は独立リーグも含めさらにプロ野球との交流を増やし野球人気の活性化につなげたいと表明しているため、独立リーグとの交流をさらに増やすための足掛かりとしての面が強くなっています。

 今年だけでも独立リーグは熊本火の国サラマンダーズなどが所属する九州アジアリーグインドネシアの球団が加盟したり、神奈川を本拠地とするYKSホワイトキングス設立され日本海オセアンリーグ加盟が発表など活発な動きを見せています。本拠地がない県で野球人気を復活させるには地域密着の独立リーグとの連携が不可欠と考えられており、3軍と独立リーグとの連携をより加速させていく方針を打ち出しています。

 

 プロ野球球団を増やせという声もありますが、独立リーグの運営でもかなり参入障壁があるうえ、独立リーグ1年分の運営費を上回る年俸を一人の選手に払う世界であり、全国で試合をするため遠征費だけでも馬鹿にならない1軍球団の保有はハードルが高く、楽天が参入したときも戦力外からかき集めた数年は、悲惨な試合を何度も披露した歴史があります。このためプロ野球球団を増やすのは現実的ではありません。

 ただNPBからは経営面や選手確保に対し指摘も受けており、これが上手くいかなければ再び12球団に減るといった可能性もあります。

 しかしNPBの選手と多数の実戦機会を設けられるとなれば新潟BC入りを狙う選手も増え新たなプロ入りへの道も開けます。さらに有望な選手の入団が増えれば新潟BCもさらなる育成体制の構築に元NPB選手やコーチを雇う道もあるため、プロ野球選手の引退後の受け皿としても新たな道が生まれます。今後の日本野球の方向性を決まりかねない今回の2社の参戦。うまく稼働しさらなるアマチュア選手のプロ入りを願いたいところです。