読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

読売ジャイアンツ2023年育成ドラフトを振り返る。2年連続の素材型指名。

◆2023年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD(26日)

 巨人は、ドラフト1位で中大・西舘勇陽投手(21)との交渉権を獲得した。日本ハムと2球団の競合となったが、阿部慎之助新監督(44)がくじを引き当てた。

 2位以降は、Honda鈴鹿・森田駿哉投手(26)、日立製作所・佐々木俊輔外野手(24)、NTT西日本・泉口友汰外野手(24)、日本生命・又木鉄平投手(24)の5人を指名。2~5位までは異例の4人連続社会人を指名するなど、巨人が支配下で高校生を指名しなかったのは、ドラフトが始まった1965年以降初めてだった。

 育成ドラフトでは東京国際大・三浦克也(かつなり)投手、鹿屋中央高・村山源内野手、四国IL愛媛・宇都宮葵星(きさら)内野手日大藤沢高・田上優弥内野手福岡工大城東高・園田純規投手、旭川明成高・千葉隆広投手、千葉スカイセイラーズ・平山功太外野手の7選手を指名。育成では高校生を4人指名した。

育成ドラフトでは7人を指名 | 読売ジャイアンツ(巨人軍)公式サイト

 

【2年連続の素材型育成指名】

 支配下ドラフトでは1位の西舘選手以外はすべて社会人選手という即戦力特化のドラフトとなり、その一方で高卒選手は育成1位の三浦選手以外はみな21歳以下の素材型に特化した指名となりました。

 もともと7~8名を指名と語っていましたが、今年は大卒選手の指名は50名中わずか7名という露骨な数字となっており、巨人も高卒・独立リーグ中心となりました。

 

【育成1位指名:東京国際大・三浦 克也選手】大卒左腕投手

投手 2001年4月28日生まれ・22歳
179センチ 80キロ 左投左打
東京国際大

■Max149キロのストレートで押していく本格派の左腕。スライダーとストレート主体だが奪三振率は高い。左の中継ぎとしての期待がかかる。(實松一成スカウト)

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 最速149キロ、チームではリリーフで起用されている左腕投手。ダイナミックなフォームから140中盤のストレートとスライダーを投げ込んでいきます。

 左腕中継ぎは2軍で主に登板していた高木選手が戦力外。山田選手は故障からのリハビリ中と新戦力のあてがたっておらず、育成の吉村・森本選手はまだ2年目で体づくりの最中。球速が伸びている富田選手も故障を繰り返しており、なかなか2軍に定着できていません。

 即戦力として森田・多木選手を指名しましたが左腕投手の底上げは必須。実松スカウトもリリーフとして期待しており、去年の育成1位と同じ、早期に支配下を狙える選手を指名しています。

 

【育成2位指名:鹿屋中央高・村山 源選手】高卒右内野手

内野手 2005年6月27日生まれ・18歳
178センチ 63キロ 右投右打
鹿屋中央

■俊足、強肩、野球センス抜群の将来性の内野手。50メートル5秒9の脚力が最大の武器。身のこなし、グラブさばきが良く守備センスは光る。打撃はバットコントロール良く広角に打ち分ける。将来は一軍で二遊間が守れるリードオフマンとして期待したい。(武田康スカウト)

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  チームでは投手兼内野手として起用されている巧打者のショート。これまでファースト以外はすべて守ったと話すユーティリティー性。そして投手としても起用される強肩と俊足が武器。本人は野手として勝負したいと語っており、巨人も内野手として指名しています。

 2軍では香月・中島選手を戦力外にしており、松田選手が引退。2軍で起用されていた内野手が一気に3名いなくなっており、支配下では内野手は泉田選手のみのため、育成で内野手を補強しています。

 課題は送球の硬さでコンバートも視野に入れた獲得。本人もショート一本が理想だが言われたポジションで全力でやると話しており、まだ体も非常に細いため、今年は体づくりメイン。3軍にはティマや中田、北村選手などがおり、2軍に上がる候補は外野手として起用されている相沢選手や来年で4年目の岡本大選手や加藤選手たちでまだ3軍内野手は埋まっているため、今年からガンガン起用されるタイプではありません。

 

【育成3位指名:四国IL愛媛・宇都宮 葵星選手】独立リーグ内野手

内野手 2004年6月23日生まれ・19歳
176センチ 66キロ 右投左打
愛媛マンダリンパイレーツ

■小柄ながらスピードがあり、野球センスのある内野手。地肩が強く、内野はどこでも守れ、守備範囲も広い。打撃はコンタクト能力が高く、伸びしろ十分。(岸敬祐スカウト)

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 今回育成指名された野手の中で一番の素材型とされる内野手。高卒1年目の伸びしろが期待される選手であり、父は元愛媛MPの投手という経歴を持っています。

 選手としての特徴は本人も自信を持っている50m5.9秒の俊足。そして1年目ながら.256を残すバットコントロールとなっています。ポジションはショート・サードで岸スカウトも俊足・ユーティリティー性・巧打力を評価しています。

 しかし課題はそれら素材に技術が全く追いついていないこと。盗塁数はわずか2つ。守備でも8失策とチームワースト3であり荒さが目立つ守備となっています。打撃も長打はわずか3本と長打力にも物足りなさが残っており、打撃・守備・走塁ともにはまれば魅力の選手ですがすべてに課題を持っています。

 1年目は代走・守備固めとしてとにかく経験を積ませていきながら技術を磨いていく育成スタイルとなります。

 

 

【育成4位指名:日大藤沢高・田上優弥内野手】高卒右内野手

内野手 2005年6月8日・18歳
181センチ 82キロ 右投右打
日本大学藤沢高

■⾧打力を秘めた、動きの良い好守の遊撃手。グラブさばき・フットワークが良く、安定したスローイングで肩も強い。走攻守すべてにおいて成⾧途上の選手。(森中聖雄スカウト)

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  今回のドラフトの中で一番打撃が評価されている右打ち内野手。注目ショートとして名前が挙がっていた選手であり、通算11本塁打の長打力が魅力となっています。

 2年冬に膝を故障し長打を伸ばせず3年生では右打ちのコンパクトなバッティングスタイルに変更。そのため3年生になってから本塁打が伸び悩んでいます。しかしスタイルを変えても安打を維持できるバッティングセンスは魅力であり、バランス型の村山選手、俊足素材型の宇都宮選手の中で田上選手は打撃型のため、コンバートも見据えた獲得。

 3軍は外野転向していたデラクルーズ選手が自由契約、保科選手が戦力外。さらに三塚選手は復帰時期未定で3軍外野手は大城・鈴木大・笹原・立岡選手とぎりぎりの人数。育成7位で平山選手を獲得したものの外野手はぎりぎりとなっています。

 

【育成5位指名:福岡工大城東高・園田 純規選手】高卒右腕投手

投手 2005年7月7日・18歳
183センチ 72キロ 右投右打
福岡工業大学附属城東高

■最速145キロのストレートに角度がある右オーバーハンド。投球フォームのバランス、腕の振り、指先の感覚と良く、投手としての素材は申し分ない。将来性は高く、近未来のエース候補として楽しみである。(武田康スカウト)

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 最速145キロ、長身右腕の高卒投手。高校入学後に最速を20キロ伸ばした成長性が魅力であり、ストレートを軸にスライダー・カットと投げ込んでいきます。

 2年冬に体づくりを行い体重を8キロ増やしたことでストレートの球威が向上しました。しかし地方予選では初戦敗退してしまいアピール不足となり、実績不足のまま育成指名となりました。

 まだ体が細く去年の吉村・田村・森本選手のように1年目は体づくりと1~2イニングの中継ぎ登板。今年は例年に比べ高卒指名が少なく、そこからさらに育成下位まで残る選手となると大きな課題があるか、成長性が薄く1.5軍止まりになり可能性が高いか、実績がほとんどない地方選手となるため、伸びしろを期待し素材型として指名されました。

 

 

【育成6位指名:旭川明成高・千葉 隆広選手】高卒左腕投手

投手 2005年5月15日・18歳
175センチ 77キロ 左投左打
旭川明成

■140キロ台のストレートと素晴らしいキレのスライダーが魅力の左腕。マウンド上での戦う姿が良く、打者に対して攻める気持ちを前面に出した投球は見ていて気持ちが良い。1年の春から1試合を除いて公式戦の全てに出場した体力と精神的な強さも持っている。(柏田貴史スカウト)

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  最速144キロ、小さな腕の振りからキレのあるカーブが魅力の高卒左腕。本人は育成でもプロに行きたいと語っており、旭川明成高初のドラフト指名選手となっています。

 1年生から登板しており、父が監督を務める旭川明成高校に入学後最速も15キロアップ。3年生の最終戦ではクラーク相手に9回1失点と好投。チームが無得点で負けましたが、高卒左腕の中では名の知れた選手の一人でした。先発としての実績も制球力もある選手。総合力が魅力の選手で今年になって覚えたシンカーもあり、今後さらなる伸びしろも期待される選手。スケールがあまりないのと、指にかかったストレートは魅力ですが、高めに抜けると打者が全く反応しないなど球威面でまだ課題がある選手。

 シンカーが持ち球に出来れば他にはない差別化も図れるため、1年目から中継ぎとして登板し、ある程度まとまったコントロールとカーブなどを武器に2~3年後の中継ぎ候補として支配下を狙いたいところです。

 

【千葉スカイセイラーズ・平山 功太選手】 独立リーグ右外野手

外野手 2004年3月16日・19歳
185センチ 82キロ 右投右打
千葉スカイセイラーズ

■恵まれた体格に、スピードを備える大型選手。打球の飛距離も魅力で、早期の支配下登録、一軍デビューを期待できる外野手。(織田淳哉スカウト)

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  高卒1年目に年齢となる大型外野手。環太平洋大を中退し千葉スカイセイラーズに入団。以前のドラフトでは中退者は卒業時に年齢になるまで指名できなかったものの、現在は中退であっても1年目から指名できるようになっています。

 千葉スカイセイラーズは新設されたチームで今年からベイサイドリーグに所属し、YKKホワイトキングスとの2チームで構成されています。そして来年はBCリーグ加盟のために活動休止となるため、年齢が重要な指名ポイントとなるドラフトにおいて、今年指名されるかどうかが重要となっていました。

 平山選手自体は主にセンター・ライトで起用され、持ち前のパンチ力で本塁打王盗塁王に輝いた身体能力型外野手となります。今年身体能力型の保科選手を戦力外としており、新たな身体能力型センター・ライトメインの外野手となります。まだスイングに粗さがあり、当たれば飛びますが引っかけも多い選手。1年目からスタメンで起用されながら技術を確立していき、本塁打王よりも盗塁王の足を活かし、センターを守れる中距離打者として1番、6番辺りを起用される選手が理想となります。

 

【なぜこのような指名となったのか】

 今年の育成ドラフトは去年に比べ全体を見ても高卒や独立リーグが多めです。加えて全国知名度が薄い原石タイプが多く、九州や千葉の独立リーグからも指名されています。
 去年は地方NO1と評されていた田村選手や高校代表にも選ばれた吉村・森本選手。スラッガーの三塚選手など、この選手が育成で?という知名度の高い選手が数多く選ばれました。今年は全国大会や代表出場なし、課題を持っていてすぐに戦力というのは厳しい選手が中心と育成指名らしい選手が選ばれたという印象てす。

 細さが目立つ選手が多く、今年も育成3位の吉村選手が体づくりに成功し球速を大きく伸ばしているため、今年も体づくりが必要な選手を中心に指名。ゴールドジム・鈴木雅選手とトレーナー契約以降肉体改造に力を入れており、実績よりも体を作る必要がある=伸びしろが期待できる選手が中心となりました。
  /> 指名内容は投手2名、内野手4名、外野手1名と野手中心。投手は笠島・木下・京本・吉村・森本選手が順調に育っているため、投手は唯一候補が足りていない中継ぎ左腕をとり、残りは去年の育成選手が3軍で起用される間は体づくり、そして夏ごろに3軍で少しずつ気試合数を増やしていく流れとなります。そのため去年のドラフト選手のような1年目からガンガン結果を出すような選手は少ないと思われます。

 一方で戦力外で育成の高田・山本・阿部剣・奈良木・谷岡・太田龍選手。支配下で堀岡・高木・鍵谷・鍬原・田中豊・三上選手と多くの投手を戦力外としています。一方で獲得した投手は西舘・森田・多木・三浦選手が以外は高卒。西舘・森田・多木選手は1軍戦力となるため、2・3軍を回す投手が明らかに足りていません。このため現役ドラフトは野手を出して投手を獲得。戦力外からも投手を取ると思われます。