◆第105回全国高校野球選手権準々決勝 慶応7―2沖縄尚学(19日、甲子園)
沖縄尚学の仲田侑仁(3年)に今春の選抜大会に続く甲子園2本目の本塁打が飛び出した。4回1死二塁で左翼スタンドへ運ぶ先制2ラン。「(三ゴロだった)前の打席は変化球で攻められたので、2打席目も変化球が来ると思って」と初球のカーブを捉えた。「狙った球が来るとどうしても力が入るけど、1球目で仕留められて良かった」と完璧な当たりだった。
いなべ総合(三重)との初戦の3日前に、練習で右太もも裏を肉離れした。「出場せずに悔いを残したくない」と比嘉公也監督に「出られます」と直訴し、患部にテーピングを巻いて3試合強行出場した。今春の甲子園では大垣日大(岐阜)との1回戦で満塁弾を放ち、最後の試合で高校通算22本塁打とした強打者は「プロに行きたい。プロ志望届を出します」と次の夢へ進む。
【仲田選手の紹介】
186センチ96キロ 右投げ右打ち
ポジション:ファースト
高校通算22本、力強いスイングで長打を生み出す右の恵体スラッガー。両ひざを曲げ重心を落としどっしりと構える独特の構えをしており、チームでは4番で起用され、20打数8安打1本塁打打率4割とチームの甲子園出場に大きく貢献しました。甲子園では直前の肉離れで万全といえない状況の出場となりましたが、慶応戦では2点本塁打を放つなど存在感を見せました。
また打撃では長打力だけでなく、ライト方向にしっかりと打ち返せるコンタクト力も魅力であり、対左では5割以上の打率を残しています。巨人・岡本和真選手を参考としたスイングで左も苦手とせず、右投手のインコース攻めにも腕を畳み左中間深くに持っていく技術も持ち合わせています。精神面でもチャンスで打席が回ってくるとプレッシャーを感じるどころか、より気持ちが入ると称するメンタルの強さも売り。
プロ志望届を提出しており、勝負強さが魅力の恵体スラッガーとして注目されています。
【指名への課題】
課題としては打撃のみの評価となってしまう素材と打撃内容。まず仲田選手は盗塁企画数は少なく足も遅い方となります。また守備もメインポジションはファーストですが、ファースト守備も動きが機敏な方ではなく、他のポジションで起用できる可能性は低くなっています。
そして売りである打撃ですが、課題はタイミングをうまく取れていない打席が目立つこと。特に右投手からの縦の変化球に弱く、スイングのタイミングを失い見逃しを奪われたり、タイミングが合わず空振りになる場面が多くなっています。このため左に比べ右のほうが打てておらず、スカウトからもタイミングの取り方をコメントされており、打撃でもまだ課題を残しています。
【指名順位予想】
評価ポイントは打撃と恵体の素材型。走塁と守備を考慮する限り、ファースト以外のポジションでの起用は難しく、高卒でありながら起用の幅が狭いのはポテンシャル評価が求められる高卒にとって大きなマイナスポイントとなっています。
打撃面ではタイミングの取り方に課題は残しているものの、スラッガー型ながら長打だけでなくケースバッティングもできるコンタクト力があり、インコースの直球にも肘を折りたたんで長打にできるインコース捌きもあるため、本塁打を量産するタイプよりも二塁打で打点を量産する3・5番タイプが理想となります。
現状の評価では6~7位候補。やはりファーストしか守れないのが大きなネックとなっています。