11日、春季東北地区高校野球大会決勝 八戸学院光星3―2仙台育英
これぞ、4番。勝負を決めたのは、八戸学院光星の長谷陸翔(はせりくと)選手(3年)の執念の一打だった。
1―1で迎えた八回表。1死二塁で中軸に打順が回ってきた。ところが、仙台育英ベンチは3番打者を申告敬遠した。「打ち取るなら、4番のほうが確実」と選択したわけだ。
「悔しかった。そのぶん、気持ちでバットを振ろうと思いました」
しかし、相手の判断もうなずける。この日はここまで3打数無安打。前日の準決勝も4打数無安打に倒れていた。打ち急ぐあまり、変化球で打ち取られる打席が目立っていた。
1死一、二塁。投手は、やはり変化球を投げてきた。「今度は絶対に食らいつく」。カーブが来た。「待って、待って、自分のスイングができるところまでボールを引きつけました」
打球はライナーで左中間を破り、勝ち越しの2点二塁打となった。
身長184センチはベンチ入り選手の中で最も高い。その体格を生かし、大きく踏み込んで打つ。思い切りのいいスイングが持ち味だ。
理想の4番とは「チャンスの場面で、ライナーで外野を抜く打者」と言う。言葉通りの一撃で「強打の光星」の底力を見せつけた。(渡部耕平)
【長谷選手の紹介】
184センチ78キロ 左投げ左打ち
ポジション:ライト・ファースト
高校通算2本塁打、手足の長い長身のリーチを活かし引っ張り長打を生み出す左のスラッガー。腕の長さを活かしアウトコースをうまく拾い、ライト方向にもしっかり打ち返せるため左投手のスライダーも苦手とせず、左打者ながら対左は4割を超える打率を誇っています。またインコースをしっかりと巻き込んでライト方向に引っ張れるパワーも持っており、緩急が武器の左投手からライト席に本塁打を放つシーンも披露しています。
チームでは主に4番で起用。3年生から本格的に起用されるようになるとファーストからライトに転向。持ち前の勝負強さを活かし3年夏の青森大会では5試合で19打数5安打1本塁打ながら4打点と打点を稼ぎチームの甲子園出場に貢献しました。
リーチを武器とするスラッガー候補としてさらなる活躍が期待されます。
【指名への課題】
課題はリーチが長いゆえに手を出してしまうゾーンが広いこと。アウトコースを拾えるため外に逃げる球に手を出してしまうことが多く、リーチが長いゆえに空振りにならず引っかけたゴロになってしまい打ち取られています。緩急を意識させるとタイミングを崩されやすく、そこにバットが当たってしまうリーチの長さが組み合わさり引っかけ打ち取られてしまっています。
また腕が長くアウトコースに対応したスイングのためインコース攻めに弱く、インコース攻めでは変化球を投げることが多いため巻き込んでスイングできる左腕は問題ありませんが、ストレートを投げ込める右腕相手だと対応に苦労しており、対右では2割前後と打てていません。
【指名順位予想】
守備能力はあまり高いほうではなく走塁でも盗塁数は1と走塁面も目立つものはありません。そのため注目すべき点は打撃となりますが、打撃でもインコース攻めには苦労しており、アウトコースをレフト・センター方向に打ち返すことが多いため中距離打者のような打撃内容となっています。しかし中距離打者としては守備・走塁面が物足りないため、現状では指名漏れの可能性が高くなっています。