読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2023年ドラフト指名選手の巨人における起用方針と課題  育成3位指名 愛媛マンダリンパイレーツ 宇都宮葵星選手 独立リーグ右内野手

巨人から育成3位指名を受けた四国IL・愛媛の宇都宮葵星(きさら)内野手が29日、愛媛・松山市内の同球団事務所で榑松スカウト部次長、岸スカウトから指名あいさつを受けた。宇都宮は「すごくうれしい。小さい時からジャイアンツのユニホームでプレーすることが夢だった」と声を弾ませた。

 松山工高から今季独立リーグ入りした宇都宮。父もかつては愛媛でプレーした珍しい独立リーグの親子鷹だ。50メートル走5秒9の俊足を一番の持ち味としている。今季は43試合に出場し、打率2割5分6厘、14打点、出塁率3割5分3厘の成績を残した。

 まだ19歳と若く、伸びしろ十分。「支配下に上がって、いつかショートで侍ジャパンのショートだったり、ショートと言えば自分と言われるような選手になりたい」と明るい未来を思い描いた。

【巨人】 育成3位・宇都宮葵星(きさら)「ジャイアンツのユニホームでプレーするのが夢だった」50メートル走5秒9のスピードスター : スポーツ報知

 

【宇都宮選手の紹介】


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176センチ66キロ 右投げ左打ち

ポジション:サード・ショート

   経歴:松山工業ー愛媛MP

  解禁年:2023年

 

 チームでは俊足好打型として評価される小柄な左打ち内野手。武器は50m5.9秒の俊足と巧打を活かしたチェンスメイク。平凡な内野ゴロでもぎりぎりになる足の速さは本人も売りとしており、愛媛MP入団後に磨きをかけています。

 1年目はチーム内に不動のショートである河野聡太選手(オリ育成5位)がいたため、主にサードで出場。安定した守備とバットを短く持つヒッティングスタイルで43試合に起用され、129打数33安打で打率.256となっています。

 松山工業監督からも「NPBを目指すならいい環境だが、目指さないならやめた方がいい」と忠告される。父も愛媛MP創設時に入団した宇都宮勝平選手であり、二人に背中を押されNPB入りを目標とし入団。球団初の親子入団として注目されました。

 小柄ながらもバットに当てる技術と俊足を武器とする内野手として成長が期待されます。

【なぜ獲得されたのか】

 中堅層の内野手の多くが戦力外となり、2・3軍内野手は中田・村山・田上選手と10代が中心。宇都宮選手も高卒1年目で今年で20歳となるため、去年・今年入団した高卒内野手と競わせるために年齢の近い宇都宮選手を獲得したと語られています。

 またここ2~3年の育成指名はコロナにより練習・試合が中止となったことで、実績が少ない、成長しきれないままドラフトを迎え、本来より低い順位で獲得できた選手が目立ちました。しかし今年はコロナが5類になったことでコロナ前の運営になったため、育成本来の素材型選手が中心となっています。

 23年の盗塁数はリーグ4位の48盗塁、1位の阪神は79盗塁と倍近くの差をつけられています。機動力の強化のためにも俊足型の選手は補強ポイントであり、宇都宮選手はショート・サードを守れるため守備固め・代走要員としても計算できる選手となります。

 

【1軍起用への課題】

 現状の大きな課題は打撃、特に長打力となります。宇都宮選手の打撃はバットを短めに持ち、長打よりも転がして内野安打をもぎ取るといったヒッティングとなっています。

 ただしこの打撃スタイルにより課題が明確化しており、一つが低めに手を出すやすく引っかける当たりが多くなっていること。宇都宮選手はあまりパワーがありライナー性の強い打球を打てるタイプではないため、低めを引っ張り二遊間を狙う打撃が多くなっています。しかしパワーがないため打球が弱く、正面に回り込まれるためヒットにつながっていません。

 また低めを引っ張る原因はもう一つあり、高めに押し負けファウルになる打撃が多いこと。宇都宮選手はパワータイプでないうえバットを短く持つためパワーが乗り切らず、高めだと打球が前に飛ばずファウルになることが多くなっています。低めは変化球も混ざるものの、高めを意図的に投げる場面はストレートが多いことも押し負けている原因となっています。

 この長打の少なさは打撃結果にも表れており、33安打に対し二塁打三塁打はわずか3本、本塁打は0となっています。打球が外野深くや間に飛ばず正面に回り込まれてしまう外野前の安打が多いことも長打が少ない理由となっています。

 

 宇都宮選手は長打よりも巧打と足が評価された選手ですが盗塁もわずか2つ。スタートからスピードが乗り切るまでに時間がかかっており、二塁送球が高く抜けたものでもぎりぎりなため、売りの走塁もまだ荒さが残っています。

 SBから舟越選手を獲得するなど機動力強化を重点を置いており、阿部監督も1軍で求められる結果を出せる選手を重点的に起用すると語っています。1軍は盗塁の少なさが課題のため、盗塁技術の向上と中堅層が多い守備固め要員として見通しが立てば、打撃が2割前半でも支配下が見えてきます。