読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

巨人の若林晃弘内野手(30)と日本ハム郡拓也捕手のトレードが成立。郡選手の巨人での立ち位置は。ドラフトへの影響は

巨人の若林晃弘内野手(30)と日本ハム郡拓也捕手(25)の1対1のトレードが11日、両球団で合意に達した。

 若林は内外野どこでも守れるスイッチヒッター。郡は本職の捕手だけでなく一塁、二塁、三塁に加えて俊足を生かして外野も守れる超ユーティリティーだ。経験豊富な野手を求める日本ハムと、支配下の捕手が大城卓、岸田、小林、山瀬、喜多と5人で、有事には捕手もできる万能野手に注目した巨人の思惑が一致した。

 昨年10月の阿部慎之助監督就任後、ソフトバンクと1対2のトレードでウォーカーを放出して先発候補の高橋礼、リリーフの泉を獲得。オリックスからは金銭トレードでリリーフの近藤を獲得していて、新監督となって3件目のトレード。

 積極的な補強で4年ぶりリーグ優勝、12年ぶり日本一奪回へ戦力整備を進めている。

巨人・若林晃弘と日本ハム・郡拓也の電撃トレード成立…阿部監督就任後3件目 - スポーツ報知

 

【巨人が今年3件目のトレードを発表】

 ソフトバンクの泉・高橋⇔ウォーカー、オリックスから近藤選手を金銭トレードに加え、若林選手と日ハムの郡選手のトレードを発表。

 中堅ユーティリティー内野手が欲しい日ハムと、支配下捕手が大城・岸田・山瀬・小林・喜多選手の5名のみと故障時の層の薄さを補いたい巨人の思惑が合致した形と報道されています。

【郡選手の特徴】


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 郡選手は16年7位で帝京高から入団。50m6.0秒の俊足と遠投120mの強肩が武器。俊足を活かし捕手だけでなく内外野と経験したユーティリティーで、日ハムも代走からマスクをかぶるという新たな戦略を組み立てられる捕手になると評価していました。

 ただ1軍出場はあまりできておらず、ピークは21年の33試合69打数13安打で打率.188。去年はわずか7試合にとどまっています。日ハムは今年のドラフトで上武大・進藤選手を獲得しただけでなく、マルティネス・清水・伏見・古川・郡司・田宮選手と捕手が7名おり、打撃能力の高い郡司選手が内野に入るほど捕手が飽和していました。

 このため郡選手は2軍でのあまり捕手としての出番がなく、一番多いのが外野手で二番目が一塁手という状態でした。このまま日ハムにいても出番が少ないため、新天地での活躍を願ってのトレードとなっています。

 

 

【巨人における郡選手の起用について】

 巨人は大城・岸田・小林・山瀬・喜多選手の5名が支配下支配下捕手は少なく、育成でも捕手メインなのは高卒3年目の大津選手と大卒3年目の亀田選手のみで、前田・萩原・坂本勇人選手はファースト・DHで起用されることが多くなっています。

 このため捕手として計算できるのは、育成を含めてもわずか7名。1~3軍まであることを考えると、捕手が一人故障するだけで運用がぎりぎりの状態となっています。

 1軍捕手は正捕手が大城、2番手が岸田(山瀬)、3番手が小林選手と4人まで固まっているため、郡選手の役割は1軍捕手が故障し捕手が一人昇格した場合のファーム捕手要員。またサード・外野守備は比較的安定しているため、育成で高卒1~2年目が多いファームで途中交代後に空いたポジションを補う試合成立要員ともなります。

 今回のトレードは即戦力を期待してではなく、どちらも新天地での飛躍を期待してのトレードのため、メインはファームでそこで花開けば1軍という形となります。

 また1軍にあがっても俊足ではあるものの盗塁能力は高いほうではないため、あくまで第3捕手、足が遅い大城・岸田選手に勝負所で代走を出したいときに、代走兼その後の捕手が一人で済むベンチ圧縮要員となります。

 

【ドラフトへの影響は?】

 今回の若林内野手のトレードにより郡捕手を獲得したことでドラフトに影響はあるか。残念ながらほとんど影響はありません。

 もともと若林選手はユーティリティーだったものの、即戦力で泉口選手を獲得し、守備能力の高い中田選手を支配下。足が速く守備能力の高い湯浅選手に守備固め要員も奪われており、2軍で若手内野手の出番を奪っている状態でした。特に巨人はチーム再編の真っ最中であるため、伸び悩む31歳の中堅内野手は扱いに困っており、今年は2軍内野手もティマ・岡本大・中田・中山・加藤選手たちに打席を与える必要があるため、厳しい言い方をしますが、若林選手は構想外に近い立場でした。

 このことからも若手の出番を与えるための放出であり、戦略に大きな影響はありません。また郡選手の獲得も緊急事態対策で即戦力でなく次代の正捕手候補の獲得路線は変わりません。

【大津選手の支配下という選択肢はダメだったのか】


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 今回の郡選手獲得に対し「ショートやセカンド・センターができて俊足で捕手能力の高い大津選手の支配下では駄目だったのか」という声があります。

 それについては、郡選手に求められる役割と、大津選手に期待されることは異なるため、大津選手の支配下では条件は満たせません。

 大津選手はWLに派遣され首脳陣からも期待されているものの、2軍公式戦出場は0でこれからの選手。今年は主に2軍で捕手経験を積んでさらなるレベルアップを図る必要があります。特に課題の打撃がどれだけ伸ばせるかが求められているため、できるだけ打席に立たせる必要があります。

 

 一方で郡選手は1軍に上がれても代走・メインはベンチでいつ出番がくるかわからない第3捕手。打席はもらえても1打席で、2軍も様々なポジションを経験し、ポジション別の守備の確実性を上げて便利屋としての信頼を得ることが求められている役割です。大津選手をこのポジションに置いてしまうと打席を与えられないため、大津選手にこの役割をさせるべきではありません。