読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

肘痛から復活した小さな巨人 徳島インディゴソックス 戸田 懐生選手 独立リーグ右腕投手

f:id:okimono:20200419215438p:plain

ポストシーズンでも四国アイランドリーグチャンピオンシップ1回0失点、ルートインBCリーグ覇者・栃木ゴールデンブレーブスとのの日本独立リーググランドチャンピオンシップでは初めての失点と敗戦を経験するも2Sをあげて日本一獲得に大きく貢献。NPBドラフト指名解禁となる2020年は戸田にとって、さらなる飛躍を遂げる一年となるはずだった。しかし……。
 
 新型コロナウイルス感染拡大による度重なる開幕延期。「もう一度体を作り直すことができた。体力面、筋力面をアップさせたり、フォーム固めができる期間」としてもう一度ストレートで押す投球に向けた体づくり、よりよい準備ができたとはいえ、実戦感覚の不足は否めなかった。

 それでもエースとして当然のように指名された開幕投手の座。そして対戦相手・香川オリーブガイナーズの先発は前年まで阪神タイガースに所属していた歳内 宏明。「100%の力で入ろうと思った」戸田も最速147キロのストレートにスライダーや、チェンジアップを駆使して三者凡退2三振で返した初回から一転。2回・3回は二死無走者から連続失点を喫する。

その課題を明確に指摘したのが吉田 篤史監督である。現役時代はヤマハ都市対抗野球MVP(橋戸賞)を獲得し、千葉ロッテマリーンズ阪神タイガースでの13年間で中継ぎを中心に292試合に登板し、NPB・ルートインBCリーグ関西独立リーグでの指導経験を経て今季から、徳島インディゴソックスを率いる知将はこう話す。

「相手が良かったから、(力みが出る方向へ)それに引っ張られた。そこで自分のピッチングしなきゃって振り返ってできるようになれば」。ただ同時に吉田監督は収穫を得た上での次なるテーマも口にした。

 「6回裏一死満塁のピンチを切り抜けたことは評価するが、目一杯(力を)使っていたから7回裏からは継投させざるを得なかった。彼が大エースになるにはあのピンチを乗り切って、さらにもう一回ピンチを乗り越えられるようにならないと。一番最初(の試合)なので変えましたけど、続投させて、負けても完投して負ける、そういうふうになれるといい」
 
 超えなければならない壁。指揮官の想いは当然、戸田にも伝わっている。
「失点の場面はインコースが使えなくて外でかわしに行き過ぎた。もっと使えたら楽に行けたと思う。僕と比べて歳内さんは追い込んでからの制球力が高かったので、もうちょっとそこの精度を上げていかないと」

 この試合、11奪三振3安打完封勝利で「NPB基準」を戸田に見せつけた歳内。でも、開幕戦で明確な指針を理解できたことはむしろ戸田にとって幸いであろう。「勝負の2020」。目指すものはこれで定まった。歳内を超え、チームの、いや、リーグの“大エース”と呼ばれる存在となり、NPBを夢から現実にし、さらに活躍できる右腕へ。「小さな大投手」戸田の挑戦はこれからも続いていく。

小さな大投手・戸田 懐生(徳島インディゴソックス) NPB基準を超える「勝負の2020」はじまる(高校野球ドットコム) - Yahoo!ニュース

 

 

【戸田選手の紹介】


2019.9.12 徳島インディゴソックス 戸田懐生投手 【阪神タイガース戦で奪三振】

170センチ69キロ 右投げ右打ち

変化球:スライダー・カーブ・カット・チェンジアップ

 経歴:東海大相模(中退)ー徳島IS

解禁年:2019年

 

 セットから腕を顔の高さまで掲げた後にさらにもう一段高く上げ、二段モーションのような時間差を感じる駆動から投げ下ろすフォームから最速148キロ、常時140前後のストレートを投げ込む右腕投手。

 140前後ながら150近くだと錯覚させるような伸びのあるストレートで押していき、130後半の高速スライダーとのコンビネーションで打ち取っていきます。ストレートとスライダーのコントロールがよいため、初球からストライクで攻めていくことが出来、四球で崩れることもないため攻めの投球が出来ています。

 東海大相模ではエース先発として注目株となるも、ひじ痛に悩まされ野球を続けられず高校も中退。通信制高校に通うも、ひじ痛が消えたことで相模の顧問から徳島ISを勧められ入団しました。

 

 徳島では一年目からリリーフに抜擢されると19回1/3で21三振を奪い自責点0を記録。さらに2年目からは先発として起用され、球威とリリースの安定を目的に現在の2段モーションにフォームを変更。徳島のエースとしての飛躍が期待されています。

 

【指名への課題】

 課題は変化球とのコンビネーション。ストレートとスライダーがメインとなり、スライダーは緩い縦の変化でタイミングを外すように投げていますが、ストレートに対しスライダーの球速が速いため、タイミングを外し体勢を崩させたのにバットに当てられ粘られています。スライダーとストレートの球速差があまりないことから空振りに繋がっていません。

 

 このためスライダーはタイミングを外すためでなく、低めに落として空振りを奪うほうが有効に使えており、ストレートをさらにいかすためもう一つストライクゾーンで勝負できる沈み込む球の精度アップが求められます。落ちる球は指に引っかかってバウンドしてしまうことも度々見受けられたため、先発として計算できるにはこの点が鍵となります。

【指名順位予想】

 今年で20歳と高卒社会人と伸びしろが評価してもらえる年齢のため、即戦力とならなくても期待できる部分があれば上位指名候補となります。確実な上位指名候補となるには現状ストレートメインで押していく投球のため、1年ローテとして投げていけるスタミナを証明しないといけません。スタミナ切れで夏ごろに球速が落ちてストレートが走らなくなるようであれば成績も伴わなくなることが予想され、さらに野球をやめるほどのひじ痛の経験があるため、再発の可能性が低いことを証明するためにも1年間投げぬくことが求められます。

 このまま先発実績が残せれば指名順位は2~3位と上位指名候補となりますが、上半身のコンディション不良で離脱するようなことや、シーズン中盤で球速が落ちて打ち込まれるようなことがあれば4~5位とまだ時間がかかる素材型として順位は落ちます。